| K君の2003年3月の劇場映画評 |
小さな中国のお針子

“薫り高い中国新世代の秀作”
| 閲覧時期・場所 | 2003年3月 劇場にて |
| 監督 | ダイ・シージエ |
| 出演 | ジョウ・シュン/チュン・コン/リィウ・イエ/ツォン・チーチュン/ワン・シュアンバオ/ワン・ホンウェイ/シャオ・ション |
| 評価 | A |
| 批評 | 監督を務めるダイ・シージエが自身によるベストセラーの映画化。カンヌなどの映画祭でも話題になった作品。 中国の文化大革命時代に、2人のインテリ青年が反革命分子の子として、山村で再教育を受ける。そこで出会ったお針子との恋とバルザックなどの文学との出会いを通じた成長を描いた作品。西洋文学などの焚書が行われるような抑圧された時代、しかも山村には字を読める人はほとんどいないという環境で2人はお針子に教育を施すが、お針子は教養だけでなく自由をも手に入れ、その結果2人との別離を選択する。 文化大革命というと、“シュウシュウの季節”などひたすら気の毒で悲惨な作品が多いが、この作品はそういったトーンは全くなく、どちらかといえば爽やかな青春ものである。またラストでかつての山村がダムに沈む27年後の再会を描き、単なる青春もの以上の薫り高い作品となっている。非常によく出来た映画だと思う。 |
シカゴ

“これは傑作!アカデミー賞12部門13ノミネート作”
| 閲覧時期・場所 | 2003年3月 株主試写会 |
| 監督 | ロブ・マーシャル |
| 出演 | レニー・ゼルウィガー/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/リチャード・ギア |
| 評価 | A |
| 批評 | “ダンサー・イン・ザ・ダーク”“ムーラン・ルージュ”“8人の女たち”など注目作が続々公開されているミュージカル映画の大本命。監督は“現代ブロードウェイの寵児”といわれるロブ・マーシャル。冒頭のノンリニアっぽい編集など特出すべき点が多いが何とこの作品が初監督作。主演は“ブリジット・ジョーンズの日記”のレニー・ゼルウィガー、“トラフィック”のキャサリン・ゼタ・ジョーンス。とにかくこの2人は、歌・ダンス・演技どれをとっても素晴らしい。 ボブ・フォッシーの舞台“シカゴ”の映画化。1920年代の欲望渦巻く猥雑な街シカゴを舞台にキャバレーの踊り子たちが繰り広げるドラマ。アカデミー賞12部門13ノミネートも当然と思わせる非常にクオリティの高い作品。物語・音楽・ダンス・映像等どれをとっても重厚。個人的には作品賞と主演女優賞は最低でも獲ってもらいたい。 |
ダークネス

“スペイン映画久々の駄作”
| 閲覧時期・場所 | 2003年3月 劇場にて |
| 監督 | ジャウマ・バラゲロ |
| 出演 | アンナ・パキン/レナ・オリン/イアン・グレン/ジャンカルロ・ジャンニーニ/フェレ・マルティネス/ステファン・エンキスト |
| 評価 | D |
| 批評 | “アザーズ”や“オープン・ユア・アイズ”(“ヴァニラスカイの元ネタ”)等近頃のスペイン映画特にホラー・サスペンス系は非常に勢いがある。またジャンルは違うがペドロ・アルモバドルはアカデミー監督賞ノミネート。しかし、この映画ははずれ。 かつて日蝕の日に8人の子供が行方不明になり、1人だけが発見された謎の事件があった。その40年後の再び日蝕が起ころうというときに、付近に引っ越してきた家族に様々な怪現象が起こるという話。 不気味な映像はいいのだが、音でびっくりさせるような演出がNG。また、後半に用意されているどんでん返しが、物語半ばで予想ができてしまうためわくわくもしない。ラストの何の救いもないような終わり方も気に食わない。“ピアノ・レッスン”の天才子役アンナ・パキンも、普通の女の人になっていてがっかり。 |
戦場のピアニスト

“ユダヤ人を描いた作品ではまあまあだが、作品としては凡庸”
| 閲覧時期・場所 | 2003年3月 劇場にて |
| 監督 | ロマン・ポランスキー |
| 出演 | エイドリアン・ブロディ/トーマス・クレッチマン/フランク・フィンレイ/モーリーン・リップマン/エド・ストッパード/エミリア・フォックス/ルース・プラット |
| 評価 | C |
| 批評 | 60年代から70年代にかけ“ローズマリーのちゃん”“チャイナタウン”などの傑作を作るも愛妻シャロン・テートが惨殺されたり、レイプ事件を起こしたことによりハリウッドを追放されるなど不遇時代を過ごしたポランスキー監督の新作。カンヌのパルムドール(最高賞)受賞作。 監督自身もユダヤ人で家族をナチスに殺された経験があり、辛すぎるが故にこの題材と向き合うことができなかったが、この実在したピアニストの物語で遂に映画化を実現した。この映画は一部で教科書的といわれる通り、よいドイツ人も悪いポーランド人も出ており、二次大戦のナチスによるユダヤ人排斥運動がリアルに描いている。変に感傷的になることなく、非常に乾いた視線で描かれており好感が持て、僕の評価は“ライフ・イズ・ビューティフル”より上。 主演のブロディの演技もよい。ただし、映画としてすごい傑作かと言われるとそういう風には思えない。カンヌでも、この映画がパルムドールで、アキ・カウリスマキの“過去のない男”がグランプリ(第2位)だったが、“過去のない男”の方が、パルムドールにふさわしいといわれており、この作品がパルムドールと発表された際にはブーイングが起きたということである。 |