K君の2003年10月の劇場映画評

 

キル・ビル


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“脚本家としての原点に戻って欲しい”

閲覧時期・場所 2003年10月 劇場にて
監督 クエンティン・タランティーノ
出演 ユマ・サーマン/デイヴィッド・キャラダイン/ルーシー・リュー/ダリル・ハンナ/ヴィヴィカ・A・フォックス/マイケル・マドセン/マイケル・パークス
評価 C
批評  “ジャッキー・ブラウン”以来6年ぶりとなるタランティーノの新作。タランティーノといえば、“レザボア・ドックス”で颯爽と登場し、“パルプ・フィクション”の大ヒットで時代の寵児となった男。当時はまるでロックスターのような人気ぶりだったが、長年の不在の中でトレンドは大きく変化し、ちょっと懐かしい存在になってしまった。彼の本職は本来脚本家であり、ヒネリの効いたストーリーを書かせたら一級品。監督としては、自身が影響を受けた香港ノワール等様々なスタイルを取り入れたうえで独自の世界を構築してきた。
 凄腕のヒットマンであるザ・ブライドはかつての恋人でありボスであったビルに自分の結婚式で襲われ、夫及びお腹の子供を失い4年間の昏睡状態に。目を覚ましたザ・ブライドは自分を襲ったビルをはじめとするかつての仲間を殺す復讐の旅にでる。
 この作品では、これまで成功してきた脚本家としてのタランティーノの色は薄くどちらかといえば監督として自分自身が見たい映画を作るということに集中している。よって日本のヤクザ映画や香港映画、マカロニウェスタンなどひとつの映画でいくつかの異なるスタイルが同居している美味しいとこ取りの作りになっている。ただし何か中途半端な印象と、U・サーマンやルーシー・リューのしょぼい日本語の台詞のせいでただでさえB級感が強いのを一層ダメな作品に見せている。

 

インファナル・アフェア


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“レベルアップした香港ノワールの新しい形”

閲覧時期・場所 2003年10月 劇場にて
監督 アンドリュー・ラウ
出演 アンディ・ラウ/トニー・レオン/アンソニー・ウォン/エリック・ツァン/チャップマン・トウ/ケリー・チャン/サミー・チェン
評価 A
批評  これまでの香港映画のイメージを塗り替える記念碑的な作品。これまでは香港映画というと、カンフーアクションやノワール映画でストーリーよりもアクションやスタイルに凝っていることが多かった。脚本の存在は軽視されており、荒い脚本を現場のアドリブで変えていくというスタイルだった。ただしこの映画では綿密に練られた脚本を用い、緊張感溢れるサスペンスを展開している。ちなみにブラッド・ピットがこの映画を気に入り史上最高額でリメイク権を購入したそうである。
 マフィアの親分の命令で、警察学校に入ったラウ。一方、同じ警察学校に通うヤンは、マフィアへの潜入捜査を命じられる。10年後2人はお互いを追い詰め対決することになるという話。
 緊張感溢れる演出と非常によく出来た脚本のおかげで素晴らしい作品となっている。男優2人もいい。少しセンチメンタルになりすぎている気もするが香港映画の新時代を飾る作品。

 

マッチスティック・メン


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“前半のだらだらした展開に思わず席を立ちそうになった”

閲覧時期・場所 2003年10月 劇場にて
監督 リドリー・スコット
出演 ニコラス・ケイジ/サム・ロックウェル/アリソン・ローマン/ブルース・マクギル/ブルース・アルトマン
評価 E
批評  古くは傑作近未来映画“ブレードランナー”近頃はオスカー作品“グラディエーター”“ハンニバル”“ブラックホークダウン”の大作で巨匠の名を手に入れたリドリー・スコット作品。マッチョなストーリーと凝った映像でどちらかというと大味の作品を得意とするが、この作品ではコメディに挑戦。主演は最近変わった役の多いニコラス・ケイジ。
 潔癖症の詐欺師と別れた妻の間に娘がいることが判明し、娘が居候したころから調子が狂っていくという話。一応最後にどんでん返しが待っている。
 詐欺師の映画というと“スティング”という傑作がある。あの映画は主人公が詐欺師だが、映画自体もよい意味で詐欺のような鮮やかな展開で素晴らしい。この映画も恐らく同じように意外な結末で観客を楽しませようと思ったのだと思うが、前半のあまりにもたもたした展開ですっかり疲れ果て、最後のどんでん返しもいまいち冴えがない。駄作。こういう映画は感覚的に映画を撮る監督には恐らく無理だろう。