K君の2003年11月の劇場映画評

 

イン・ディス・ワールド


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“臨場感溢れるロードムービー。”

閲覧時期・場所 2003年11月 劇場にて
監督 マイケル・ウィンターボトム
出演 ジャマール・ウディン・トラビ/エナヤトゥーラ・ジュマディン/イムラン・パラチャ/ヒダヤトゥーラ/ジャマウ/ワキール・カーン/ラル・ザリン
評価
批評  ベルリン金熊賞受賞作。イギリス人監督のウィンターボトム監督(24アワーズハッピーピープルetc)がドキュメンタリータッチでアフガニスタン難民の少年が自由を求めてイギリスに不法入国するまでを描く作品。主人公を演じた少年は撮影後そのままイギリスに亡命してしまった。
 パキスタンの難民キャンプに住むアフガニンスタン人少年とその従兄弟が、密入国業者の手はずでイギリスを目指す。しっかり金は渡したはずなのに、数多くの危険や困難を伴う旅となる。
 
命懸けの過酷なロードムービーである。パキスタン→イラン→トルコ→イタリア→フランス→イギリスとめぐる旅は監督自らデジタルビデオで撮影しており臨場感溢れる素晴らしい映像が味わえる。

 

ほえる犬は噛まない


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“ほのぼのとした秀作”

閲覧時期・場所 2003年11月 劇場にて
監督 ポン・ジュノ
出演 ペ・ドゥナ/イ・ソンジェ/ピョン・ヒボン/キム・ルェハ/キム・ジング/コ・スヒ/キム・ホジョン
評価 B
批評  “猟奇的な彼女”等最近本当に面白い映画の多い韓国映画。南北統一をテーマとした映画には少し食傷気味だが、近頃の韓国映画は、国や文化を選ばない普遍的な物語の秀作が増えてきたと思う。
 マンションで起こる飼い犬の失踪事件を中心に犯人である大学の講師とその妻、マンションの管理事務所に勤務する女の子とその友達、犬の買主のおばあさん等普通の人が巻き起こすドラマ。
 何と言うこともない話の連続なのに、それとなく面白く見せてしまうのはすごいと思う。またたくさんいる登場人物のキャラクターそれぞれ面白い。ほのぼのとしたよい作品である。

 

再見〈ツァイツェン〉/また逢う日まで


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“中国得意の人間ドラマ。感動!”

閲覧時期・場所 2003年11月 劇場にて
監督 ユイ・チョン
出演 ジジ・リョン/ジャン・ウー/シア・ユイ/チェン・シー/ツイ・ジェン/デヴィッド・リー/ヤン・チンウエイ
評価
批評  中国で大ヒットした心温まる作品。監督は新人のユイ・チョンで、この作品によりジャ・ジャン・クーらと供に中国第6世代の注目監督となった。また中国の伝説的ロッカーであるツイ・ジェンが父親役で出ている。
 生き別れた兄弟を探すアメリカから20年ぶりに帰国した音楽家を中心に展開する現在の話と、20年前の両親と子供4人の中国田舎町の貧しいが幸せな家庭で、両親が事故により急死し、それぞれの子供が再会を誓い異なる家庭に里子に出される話がシンクロしながら展開する。
 とにかくこれでもか!というくらい切ない話である。幸せな家庭が両親の急死により、兄弟が生き別れになるシーンは涙が出た。中国の監督はこういう作品を撮らせたら本当にうまい。

 

マトリックス・レボリューションズ


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“ついに完結。少し失望した。”

閲覧時期・場所 2003年11月 劇場にて
監督 アンディー・ウォシャウスキー/ラリー・ウォシャウスキー
出演 キアヌ・リーブス/ローレンス・フィッシュバーン/キャリー=アン・モス/ヒューゴ・ウィービング/ジャダ・ピンケット・スミス/モニカ・ベルッチ/コリン・チャウ
評価 B
批評  1作目、2作目の大ヒットを受け世界中で大きな期待を受けた作品。そもそも香港映画の影響(カンフー、香港ノワール)とジャパニメーション等の世界観、アメリカの最新VFXがミックスされた映画というだけで面白くないわけがないと思わせる。
 ザイオンに襲い掛かるセンティネルズ。ネオはトリニティとともに最後の戦いのためにマシンシティへ。その中枢で強大になりすぎたスミスを倒すことで人類に対する攻撃を止めさせることを約束する。
 数多くの議論を巻き起こした難解な謎が、気持ちよく解き明かさせるわけではなく多少ストレスは溜まるが、それらの謎についてはネット上で多くの議論がかわされており、その事実こそがまさに21世紀型の映画であると言える。見終わったときに意外なあっけなさに少し失望したが、やはりすごい作品であることに違いはないと思う。

 

アララトの聖母


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“カナダアカデミー賞5部門受賞作品”

閲覧時期・場所 2003年11月 劇場にて
監督 アトム・エゴヤン
出演 シャルル・アズナブール/クリストファー・プラマー/アーシニー・カンジャン/イライアス・コティーズ/ブルース・グリーンウッド/エリック・ボゴシアン/ブレント・カーヴァー
評価 B
批評  『スウィートヒアアフター』のエゴヤン監督の作品。カナダ映画。前作は米アカデミー賞監督賞にノミネートされており、新世代の非常に優秀な監督である。
 監督自身のルーツであるアルメニア人がオスマン・トルコに大量虐殺された事実(トルコは認めておらず虐殺の事実は闇に葬られた)を検証する映画である。直接的にトルコを断罪するという手法はとらず、実在のアルメニア人亡命画家アーシル・ゴーキーの生涯を映画化する現代のアルメニア人のエピソードを軸に物語を展開する。
 非常に構成・編集に優れた映画である。監督の非凡さが伝わってくる。自らのルーツを探る旅、そこには哀しみと苦しみを伴うが、同時に親子や民族の絆を浮かび上がらせる。印象に残る作品である。