K君の2006年1月〜3月の劇場映画評

 

SPIRIT



SPIRIT

“シリアスな格闘映画”

閲覧時期・場所 2006年3月 劇場にて
監督 ロニー・ユー
出演 ジェット・リー/中村獅童/ミシェル・ヨー/原田眞人/コリン・チョウ/ネイサン・ジョーンズ/スン・リー
評価 C
批評  ジェット・リーが最後のアクション映画と宣言した作品。伝説の実在の武術家フォ・ユァンジャをモデルに中国人のプライドをくすぐる作品になっており、中国では大ヒットした。
 
武術の強者として名をはせるフォ。ある日、彼は弟子に大ケガを負わせた武術家チンに戦いを挑んだすえに殺害するが、その報復として母親と娘を殺されてしまう。悲しみに暮れたフォは街から忽然と姿を消す。
 
格闘シーンはこれまでの同種の作品と比較して特に派手なものではないが、この種の映画でこんなシリアスなストーリーは珍しい。中村獅童演じる日本人格闘家が武士道を体現する素晴らしい描かれ方で、中国映画であることを忘れる。

 

単騎、千里を走る。


単騎、千里を走る。

“見る人を選ぶ趣味の作品”

閲覧時期・場所 2006年3月 劇場にて
監督 チャン・イーモウ
出演 高倉健、リー・ジャーミン、ジャン・ウェン、チュー・リン、ヤン・ジェンボー
評価 D
批評  それまでの小規模な芸術作品ばかりのキャリアから一気に“HERO”“LOVERS”で世界的な映画監督となったチャン・イーモウの原点回帰の一作。主演は監督が昔からのファンだという高倉健。
 長年の確執を抱えたまま病に倒れてしまった息子が交わした約束を代わりに果たすため、高田は中国大陸奥地への旅を決意する。民俗学を研究する息子の健一は、舞踏家・李加民の仮面劇「単騎、千里を走る。」を撮影するために中国・雲南省を再訪する約束をしていたのだった。単身訪れた言葉の通じない異郷の地で途方に暮れる高田だったが、息子のためにという一途な思いが、通訳の青年チュー・リンをはじめ現地の人々を次第に動かして行く。
 僕のあまり好きではない“あの子を探して”と同じように作品中に素人を多く使い、即興的に作られた趣味のような作品だという印象。たどたどしいストーリーはいまいち。

 

クラッシュ

 


クラッシュ

“地味だが丁寧に作られた秀作”

閲覧時期・場所 2006年3月 劇場にて
監督 ポール・ハギス
出演 サンドラ・ブロック/ドン・チードル/マット・ディロン
評価 B
批評  本年のアカデミー作品賞を受賞した作品。人種差別をテーマとしてはいるが、非常に地味な作品で本作の受賞は結構なサプライズであった。監督は昨年オスカー受賞作の“ミリオンダラー・ベイビー”の脚本家。 
 
クリスマス間近のLAのハイウェイで交通事故に巻き込まれた刑事のグラハムは、偶然、事故現場脇で若い黒人男性の死体を発見。その前日、自動車強盗と若いカップルが、白人警官と黒人夫婦がトラブルを巻き起こしていた。
 とにかく地味な作品。いわゆる群像劇ではあるが、一気に最後に全員がつながるというようなカタルシスもなく、地味に始まり地味に終わる。ただし、非常に丁寧に作られておりよい作品であることは確か。

 

PROMISE


PROMISE

“キテレツなシーン目白押しの芸術的エンタメ作品”

閲覧時期・場所 2006年3月 劇場にて
監督 チェン・カイコー
出演 真田広之、チャン・ドンゴン、セシリア・チャン、ニコラス・ツェー、リィウ・イエ
評価 B
批評  カンヌパルムドール受賞の“さらばわが愛 覇王別姫”や“北京バイオリン”で知られる中国第5世代を代表するチェン・カイコー監督。ライバルのチャン・イーモウが“HERO”“LOVERS”で商業映画の世界でも成功したのに影響されたのかよく似た作品を製作。キャストは、日本、韓国、中国の人気俳優を集めた豪華なもの。 
 
何不自由ない暮らしを手に入れながらも、真実の愛を探し求める王妃・傾城。伝説の甲冑を身につけることを許された英雄・光明。そして、奴隷として生きる男・昆崙。3人はやがて出会い、それぞれの運命に変化が訪れる。
 異様に速く走るチャン・ドンゴン等何を狙っているのか分からなキテレツなシーンが目白押しだが、チェン・カイコーならではの映像美は失われていない。

 

ビッグ・スウィンドル!



ビッグ・スウィンドル!

“韓流の幅の広がりをみせる作品”

閲覧時期・場所 2006年1月 劇場にて
監督 チェ・フンドン
出演 パク・シニャン、ヨム・ジョンア、ペク・ユンシク、イ・ムンシク
評価
批評  韓国で実際に起こった事件を題材に作られた作品。韓国では大ヒット。出ている人や監督については一切情報なし。
 韓国銀行で事件が発生した。50億ウォンもの大金が盗まれたのだ。容疑者は5人。1人は警察との逃走劇の末に死亡。1人は事故に遭い逮捕。大金は見つからず、後の3人は指名手配された。死亡したのは、チャンヒョク。サギの常習犯である。この計画は彼が詐欺師キム先生に持ちかけたものだった。
チャンヒョクには古本屋を営む兄チャンホがいた。チャンヒョクの死により、チャンホには保険金5億ウォンが支払われることになるが…。

 冒頭1分から騙されるというようなキャッチコピーで宣伝されていたとおり、かつての“スティング”のようなタイプの映画。とはいえ、韓国っぽいドロドロの復讐劇の面があったり、これはこれで新鮮。脚本も若干分かりにくい部分やあざとい部分があるが、まあ優秀。

 

七人のマッハ!!!!!!!

 

七人のマッハ!!!!!!!

“意外とシリアスな映画だった。エンタメ性なし”

閲覧時期・場所 2006年1月 劇場にて
監督 パンナー・リットグライ
出演 ダン・チューボン、ゲーサリン・エータワッタクン、ピヤポン・ピウオン、アーモンテープ・ウェウセーン、ラッタナポーン・ケムトーン
評価 C
批評  ワイヤーアクションはCGが全盛の時代に体を張ったリアルなアクションが話題となった“マッハ!”のスタッフが作った作品。 
 国家特殊部隊に所属する麻薬取り締まり担当の刑事デューは、部隊長のリーダムロンとともに、麻薬王ヤン将軍を逮捕するために組織に潜入する。だが、逮捕寸前に自分たちの正体を将軍に見破られてしまう。壮絶な大追跡の末、デューは将軍逮捕に成功するが、隊長は命を落としてしまう。失意の日々を過ごすデューを見かねた妹のニュイは、兄を励まそうとトップ・アスリートの一団との地方慰問に誘う。穏やかな田園風景の中、傷ついた心を癒すデュー。だがその頃復讐に燃える麻薬組織が村を包囲していた…。
 結構ユーモラスな描写の多かった“マッハ!”のような作品を想像していたが、とてもシリアスな話(ありえないけど)で結構残酷な描写もありびっくりした。アクションは確かにすごいが、もっとエンタメ性のある作品を期待してただけに幻滅した。