+ 五木村の置かれている状況についてのまとめ

以下は参考までに作成した、個人的なまとめです。


                                                                2003年8月3日
 
五木村の置かれている状況についてのまとめ
 
                               
子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る福岡の会
五木東小学校を保存し、五木の村づくりを応援する会(仮)
川辺川流域を考えるユースの会(Youth Kawabe)
寺嶋 悠  
 

1,移転の現状
<代替地>
・移転は9割がた完了。80数世帯が移転対象となっているうち、すでに70世帯ほどが移転完了。
・水没予定地に残る公的機関は森林組合、商工会、寺社(新泉寺)、五木東小学校旧校舎(8月半ば解体予定*)、子守唄公園、温泉センターなど。その他、7、8軒ほどの民家、茅葺き茶屋(五木屋本舗経営)、五木屋本舗(久領)、やませみ(国交省の頭地資料館)、各区公民館と銀杏、墓地やお堂など。水没地に残る民家のほとんどもすでに移転契約に調印したが、移転を拒否している村民もいる。

<五木東小学校>
・今年4月から代替地へ移転。新校舎のランチルームが未完成なので下の小学校を使っている。今年9月には新校舎にランチルームが出来る予定だが、完成はもう少し遅れるという話もある。旧本校者は8月末までに解体予定。解体に当たっては、村内外に強い反対の声もあるが、老朽化とシロアリ被害、維持のためのコストがかかるため、保存は無理というのが村の態度。ダム中止後のことも考慮に入れ、校舎全体をひとまず保存するよう望む声が村内外に強いが、内部からの働きかけのみでは村の方針は変わらない現状。

<人口>
・今年1月現在で1621人、594世帯。微減はあるがほとんど減少は止まっている。
・村民の3人に1人が65歳以上(34%)。
 (参考)昭和56年4月の補償基準日現在では:
      総人口   3356人  1019世帯
      水没地人口 1457人  493世帯
 

2,附帯工事の進捗状況
<国道など>
・頭地までの左岸道路(国道445号線)は平成13年開通。頭地までの右岸道路は、逆瀬川付近など2箇所で現在建設中。(逆瀬川付近で斜面崩壊中)
・頭地以北の左岸国道も現在途中まで建設中。「掛橋」付近の共有地で未買収の土地がある。今年は「九折瀬」付近で工事が始まる(川側に脚を作る計画)予定。頭地より上流右岸道路の村道も工事中。

<橋>
・五木小川合流地点には、南・西・北(頭地大橋)側に3つの大橋が建設予定。
・南側の橋は現在橋脚を建設中。西側の橋はすでに完成。頭地代替地と高野代替地をつなぐ「頭地大橋」は、最近工事に着工したばかり。旧頭地地区の田口公会堂付近に橋脚を作る予定という話がある。
・「頭地大橋」は球磨郡一の長さで、村長も観光スポットとして期待??

<代替農地>
頭地の代替農地は、まだまったく造成されていない。国道445号線の川側に盛り土をして、その上に造成予定。住居だけ移転した人には、日々の野菜や米を耕作する場所がないため、住居だけ移転して下の空き地を勝手に耕作するなど、困難を強いられている人もいる。
逆に高野代替農地では、減反や耕作者不足で荒れ地になっている土地もある。

<清水バイパスと選択取水装置について>
・国交省は対外的には、この2つは川辺川ダム計画に含まれているとし、その効果についても言及している。しかしながら、地元での正式な説明会はまだ開かれていない。村と議会が、川辺川ダム関連事業としてではなく、新規事業の説明会としてやるよう求めているが、国交省は正式な返答はせず身動き取れない様子。今年中に説明するかどうかも未定。先に、地質調査などは行っている様子。住民討論集会において、国交省は五木村にすでに説明したとしているが、実際には行われていない。

<その他>
・頭地大橋を造るために、頭地右岸左岸側の斜面伐採が始まっている。右岸側には運動公園を造成予定。
・国交省は現在でも水没地に残る村民を訪ね、移転契約への調印交渉を行っている。
・国交省によると、移転は平成15年度中が目途としている。今年後半、水没予定地家屋に更に移転のプレッシャーがかかると思われる。
・来年オープンで、道の駅計画が進んでいる。頭地代替地に物産館などを作り、温泉は移転して三セクで経営。三セク支配人は熊本の民間出身者。

3,合併問題について
・村長はこれまで、「合併問題の前にまずダムが先」として明確な回答を避け続けてきた。推進ではない姿勢もある。しかし今年3月の議会からいよいよ議会で提議され、議会の委員会で6月以降本格的な議論が始まる見込み。
・村議会でも合併の是非については思案中。合併の道を選ばなかった村の視察にも行っている。
・上球磨+人吉の6町村(又は錦町を除く5町村)での合併ができなければ、合併すべきではないという声もあり、また人吉市・相良村の先駆け合併の動きに焦りを感じる声などもある。合併しなかった自治体への交付金給付などについて、国の具体的な案が示されていないので、それを待っている状況もある。極端な推進、極端な反対などの動きはまだない。
・人吉市・相良村の合併計画が白紙に戻ったため、五木村でも今後の方向性へ影響を与える様子。

4,ダム反対運動への五木村の態度 ほか
・村長、村議会議長は「(苦渋の選択をした)五木村民のためにも、ダムを早く作ってほしい」というのが公式発言。しかし、それが村民すべての意見ではない。
・利水訴訟、収用委員会の動きには多くの人が強い関心を寄せている。
・ダム中止の可能性も出てきたと考える声もあるが、それを公に話題にすると、「ダムありき」で進められてきた自分たちの将来に強い不安があることを認めることになる。そのため公言は避けている。
・極めて少ないが、水没地に残る人や村内にもダム反対の声がある。
・役場、森林組合、郵便局など公的な仕事に就く人のほとんどと、建設業などに従事している人は「ダム反対」とは表明できない。
・非水没地には、ダム第一、水没地第一の村行政に対し不満の声もある。また、水没地住民の補償金をねたむ声もある。(実際には、村内に移転した人のすべてが楽な生活になったわけではないという話も聞く。ただしまだ聞き取りをしていないので分からない。)
・長年ダム問題に翻弄され続けてきたことと過疎化のためか、村づくりについても行政に依存しがちな面もある。

5,感想・印象
・ダム反対運動と五木との反目、誤解を解かない限り、例えダムが止まっても半永久的に村と「下流」でしこりが残る。五木もまたプロセスに参加できなかったことに不満が出ると思う。
・ダムが止まれば、五木はただの「被害者」になる可能性も。ダムが止まった後、村外からも五木村を支援する動きが出てくるかどうか。村づくりに対して、行政や村内の雰囲気として、どこまで建設的なものが出せるか疑問。
・当事者である地元住民の声を表現する場がないため、村内に閉塞感が漂っている面も。・「ダム反対運動=環境保護団体」「ダム反対運動=下流のエゴ」というふうに思っている人もいる。五木村がダム反対運動をしていた時に、下流や全国でその支援の動きがなかったことを根に持っている人もいる。そのため本心では“ダムはいらないのではないか”という気持ちもあるが、下流のダム反対運動を支持したくない、支持できないという心情もある。
・「ダム反対運動は五木のことはまったく考えていない」と思っている人が大多数。そのために、疎外感や反感が増幅されている。
・ダムには内心反対・慎重派も結構出てきているが、ダムと一緒に道路建設などが止まることに対して、強い不安感もある様子。これまで「ダムありき」で(補償金と代償に)生活のすべてを捨てざるを得なかった水没予定地にいた人々にとっては、「では自分のこれまでは何だったのか」という思いが強いためか、ダム反対・慎重の声は表には出てこない。
・ダムが止まれば尚更、ダムが止まらなかったとしても頭地代替農地計画自体の規模見直しが迫られると思われる。いずれにしても、頭地代替地は多くの農地を潰して造成されているため、元地権者の方への早急な対応が必要である。ダム中止の際には、現在移転補償により耕作放棄せざるを得なくなっている旧頭地地区に農地を造成することを承認するという解決法もあるのではないか。
・若手村議、商工会青年部などの中には柔軟な発想を持ち、意欲のある人もいる様子。
・村内にはさまざまな意見があり、いちがいには言いづらい面もある。
・財政難は村の大きな悩みの様子。また附帯工事を通して以外に村のインフラ整備計画が
ないため、ダム拒否を言うことが難しいという状況。民主党管直人氏や潮谷義子知事が
「ダムと五木の振興策を切り離して考えるべき」と発言しているが、具体的政策として行わ
れていないため、五木村にとっては絵に描いた餅でしかないという声もある。
 
 



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