ダブルトラップ(タクシードライバー)


妻が日本旅行から帰ってくる日、当初オレは用事があったので迎えに行かないつもりだった。
が、用事が早く片付き、「驚かせてやろう」という気持ちが高ぶり、迎えに行く事にした。
はっきり言って、2年ぶりに一人でタクシーに乗った。
「空港まで。」
「へい。」
オレは明らかにドラマティックな自分に酔っていた。

空港
それは別れには辛すぎる場所。
しかし、再会は欧米人なら恋人同士の厚い抱擁、キッスの雨あられ・・・。
台湾人も負けてはいない。

タクシーはいつものように、片道5車線の中山路を縦横無尽?にとばしまくった。
〜これで事故がなけりゃ、タクシーは使えるんやけどな・・・〜

空港到着。
メーターは155元を表していた。
オレは160元を渡し、3秒ぐらいお釣を待って、ハッと気付いた。
「5元ぐらいチップであげればええやん。」
と同時に司機
(ドライバー)も台湾語で何か言ってきた。

オレは「悪い悪い」と愛想笑いを浮かべながら、そそくさと立ち去った。
「オレってなんて気がきかんのやろ・・・。」

「8時半に飛行機が着く」という情報だけを握り締めて、8時15分にオレは空港に着いた。
到着を表す電光掲示板に、妻の乗った飛行機は表示されてなかった。
携帯による連絡もつかず、オレの「再会燃え上がり計画」は見事に消え去り、
9時半、オレは一人でバス
(一律12元)に乗った。
タクシーではないところに生活感でてる。

うちに帰ると、妻が玄関の前で待っていた。
飛行機は予定より早く7時45分につき、一人で帰ってきた。
そして、どうやら家の鍵を持っていかなかったらしい。
疲れた顔で悲しい目をしていた。
オレの「再会燃え上がり計画」は、音を立てて転げ落ちていった。


後で妻に、タクシーの件を話すと、
「今タクシー料金は
10元値上がりして、表示額+10元払わないといけないのよ。」だって。

じゃ、オレは5元、チップとしてあげたんじゃなくて、踏み倒したんや。
司機の台湾語はそれを意味してたんか。

オレ・・・かっちょわり〜〜〜〜〜〜。