10:青い火花−続・ねこ−
何かを手にいれればかわりに何かを失わなければならないのかしら。
彼女は新しい子猫を抱いて小さくつぶやきました。
彼は懸命に彼女のいなくなったねこを探しながら
いなくなったねこの気持ちを考えていました。
同じくらいの量で2匹を愛しても2匹にとっては同量ではないのかもしれない。
彼はそっと彼女の腕から新しい子猫を抱きとって言いました。
でもきっと、2匹ともわかってくれる日が来ると思うよ。
彼はそう言うと彼女の背中をトン、と押しました。
彼女は気まずそうにこちらを見ているねこを見つけて、
半泣きでねこの元にかけより、強く抱きしめました。
彼は一緒にいたねこをちらりと眺め、背中をそっとなでました。
小さな青白い火花が散って、夕闇を一瞬照らしたのでした。


2003.5.14.



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