24:そよかぜ

風に願いをのせたことがありますか。
そよかぜは彼に尋ねました。
いいや、ないなぁ、と、彼はちょっと困ったように答えました。

そうですか、でも人間は無意識のうちに風に願いをのせるんですよ。
ほら、見て下さい、とそよかぜは自分の背中を見せました。
そこには数えきれないほどのたくさんの、そよかぜの背中からはみださんばかりの
願い。
願いがたくさんのっていました。

こんなにたくさんの願いをかかえながらも、この願いを叶えるすべを知らないのです。
そよかぜは悲しみをこめた目で彼を見ました。

でも、これ以上願いをのせるすきまはないじゃないか。
彼がそう言うと、そよかぜはもっともだと言うようにうなずいて
だからこれから、ひとのいない空高く、遠くに行こうと思うのです。
きっとこの広い世界、この願いをどうしたらいいか知っているひとが
1人くらいいるかもしれませんからね。

そう言うとそよかぜは空高く、高くあがって行きました。
虹を越えてどこまでも遠くへ。

いつか願いがかなったら、きっとそよかぜのことを思い出そう。
願いが叶わなくてもそよかぜのことを忘れないでいよう。
そう彼は思って、そばをふきぬける風にそよかぜへの思いをのせるのでした。


2003.7.23



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