シェイクスピア・シアター 「ハムレット」 観劇レポート
☆日時:2001年2月24日(土) 14:00〜
☆場所:シェイクスピア・シアター NEW PLACE (座席…クローディオ)
【ものがたり】
デンマークの王子ハムレットは、国王の突然の死の知らせにヴィッテンヴェルクの大学から帰国する。
しかし彼を迎えたのは、葬儀の鐘の音とほとんど間をおかずに鳴らされた婚礼のファンファーレだった。
故デンマーク王の妃でハムレットの母であるガートルードと、王の弟クローディアスが結婚し、
そのクローディアスが王位についたのだ。
このあまりにも急な事態を素直に受け入れることのできないハムレットに前に、国王の亡霊が現れる。
その口から告げられた衝撃の真実は、一瞬にしてハムレットを悲劇の舞台に引きずり出す。
『悪逆非道な人殺しの恨みをはらしてくれ。…わしは、実の弟によって、命も王冠も王妃も一度に奪われたのだ。』
亡霊に復讐を誓いながらもハムレットの心は揺れ動く。『このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ。』
運命の歯車は、急速に確実に晴れを悲劇へと導いていく―――
先ほど帰ってきたばかりですが(笑)、忘れないうちに&忙しくなる前に書いてしまいましょう〜〜。
今回注目していた点は以下の3つでした。
(リンク先に、講義で教わった内容を絡めつつ、なぜそこに注目したかの理由を書いてみました。)
@ to be, or not to be, that is the question- から始まり、次の尼寺の場(「尼寺へ行け」)まで。
→ハムレットの中で一番有名なところだし、授業でも気合が入ってたから(笑)。尼寺の場は先生のお気に入りのようだった。
→実際は:尼寺の場 の方にいっしょに載せてみたのでよろしければそちらを見てください<(_ _)>
A 劇中劇が終わって、母親が呼んでいることを知らせに来たローゼンクランツとギルデンスターンに
「この笛を吹いてくれないか?」と頼む場面。
→私が冬休みのレポートで取り上げた場面。笛を吹けないと言ったギルデンスターンに怒り出すハムレットが気になって。
→実際は:…カットされてました(爆)。私的には重要な場面だったのに(><)
B 最後の決闘の場面
→これは単なる興味。どうやって闘って見せてくれるんだろう!?って感じ(笑)。
→実際は:特に派手にすることもなく、木で作ってある剣でぶつかり合い、音を出していたくらいだった。思ったより普通に過ぎた。
【感想】
まず出だしは、白い服を着た数人の人たちが映像を見ていた。その映像はローレンス・オリヴィエ版「ハムレット」。
このローレンス・オリヴィエ版というのは、映像化されたハムレットと言えばこれ!という決定版(白黒無声)。
映画が始まると白い服を着た人たちは立ち上がってその画面にぺちぺち触る…。そして、実際の舞台が始まる。
全体の中でこれが一番新しかった。結局最後まで私にはその意図がわからなかったのだが…(汗)、
昔の「ハムレット」と、今日演じられる 新しい世紀の新しい「ハムレット」というのを表しているのかなあと勝手に考える。
全体的にハムレットは「エモーショナル」。とことん悔しがり、全身で怒り、心からオフィーリアを愛した。
殊、「怒り」に関してはもう本当に全身でのたうち回っていた。涙もよく流した。
それはつまり、より観客が感情移入しやすいハムレット像なのではないかと思う。
いっしょに泣いて、一緒に怒れる。ハムレットからはもう、目が離せない。
「ハムレット」は私にとってはすごく難しい。授業で先生にいろいろ聞かなかったら全くわかってなかっただろう。
ここに載せた文章も半分以上受け売りなのがお恥ずかしい限り。
だが、初めて「ハムレット」を見たときと、そして今また舞台を見て、共通に感じることがある。
ものすごく素人的な疑問かもしれないが、それは、「ポローニアスは何者?」ということ。
ハムレットとオフィーリアは本当に愛し合っていた。それなのに、ポローニアス(オフィーリアの父親)が
オフィーリアに変なことを言うから、2人は結ばれることができず、しかも起こらなくてよい悲劇まで招く結果となった。
自分で2人の中を裂いておきながら、ハムレットの狂乱の原因は、彼(ポローニアス)の中では
もう勝手に「失恋」と決めつけられてしまっているのだ。
王クローディアスは 失恋ではない、他に何かがある、と言っているのに、彼は いや失恋ですと言って意見を変えない。
ポローニアスがガートルードの部屋で再び立ち聞きを計画するのだって、ハッキリ言って
自分の「失恋説」を証明したいがためとしか言いようがない。それで彼は殺されるハメになる。
彼はどうしてその「失恋説」にこだわったのか?そこがよくわからない。
例えばその説が正しかったとして、それがポローニアスにとって一体なんだというのか。
自分の考えが間違っているのがいやだから・王にいいところを見せたいから・
王にはっきり「その話が間違っていたら首を切り離してもらってもいい」とまで言ってしまったから・
実は二人の仲を裂いてしまったことを反省し、申し訳ないと思っていたから・
自分の娘が美しいということを誇りに思っていたから…等々理由はいくつも思い付くが、
それがポローニアスにとって重要だったとはあまり思えない気がする。
王だって(失恋説が間違っていたとしても)そのことでポローニアスを責めたりはしなかっただろう。
王は悪逆非道だが、その王よりも私はこのポローニアスがどうしても好きになれない。
というのが私の「ハムレット」に対するいちばんの心残り。
あるいは、いちばん私が「こうであってほしい」と思うのはこうだ→ ポローニアスが失恋説にこだわったのは
自分の思い込み(ハムレットの恋心はいっときのものだという考え)がもしかしたら間違っているかもしれないと思い、
ハムレットは 失恋で狂ってしまうほど娘を愛していたのだ という事実を確認することで
自分の忠告を誤ったものと認め、再びハムレットとオフィーリアが結ばれるように計らい
愛する娘をしあわせにしようという考えからだ…というのだったら最高。これならこの行動も納得がいく。
さて、主人公のハムレット自体は、それが復讐という恐ろしいものではあるが、
世の普通の若者と同じように、自分の成すべき事について悩み、葛藤し、時には自己嫌悪に陥り、
その使命に向かって力強く自分を駆り立てていく様が好きだと思う。
私がいちばん好きな台詞を、(ちょっと長いですが)ここに書いて感想を終わりたいと思います…。
見るもの聞くもの、すべてがおれを責め、
にぶった復讐心に拍車をかけようとする!
食って寝るだけに生涯のほとんどをついやすとしたら、
人間とはなんだ?畜生と変わりがないではないか。
人間に前後を見きわめる大きな力を授けた神は、
その能力、神にも似た理性を、使わないまま
かびさせようとしてお与えになったのではあるまい。
ところがこのおれはどうだ、畜生のもの忘れか、
それとも事のなりゆきをあれこれ考えすぎての
臆病なためらいか、そう、考える心というやつ、
もともと四分の一は知恵で、残りの四分の三は
臆病にすぎないのだ、いずれにしろおれにもわからぬ、
「これだけはやらねば」と言いつつのめのめと暮らす
おれ自身が。そのための名分、意志、力、手段には
こと欠かぬのに。大地をおおう実例がおれを駆り立てる。
見ろ、あの兵士たち。あれだけの兵力と費用を
率いる王子のいたいたしいまでの若さ。
だがあの王子の胸は崇高な大望にふくらみ、
いかなる結果が待ちうけるかは眼中になく、
はかない頼りないいのちを運命にさらし、
死と危険に敢然と挑戦する、それもただ
卵の殻ほどの問題のためだ。真の偉大さとはなにか。
たいした理由もないのに軽挙盲動することではなく、
名誉がかかわるとあらば、たとえ藁しべ一本のためにも
死を賭して闘う理由を見いだすことこそ偉大なのだ。
ところが、見ろ、おれを。父を殺され、母を汚され、
理性も情熱もわき立つほどの理由がありながら、
それを眠らせているではないか。ええい、恥を知れ!
今もあの二万の兵士が死地にいそいでいる、
気まぐれな、ものの役にも立たぬ名誉のために、
ねぐらに帰るように墓場にむかっている。
彼らがいのちを賭ける土地は、あれだけの大軍を
動かす余地もなく、戦死者を埋める墓場にもなるまい。
ああ、いまからはこのおれの胸のうちを、なさけを知らぬ
残忍な思いで満たすぞ、でなければ男のうちに入らぬ。
なんとなく親近感がわきませんか?…私は、わきました(笑)。
シェイクスピアの作品では、どの登場人物もしっかりと「人間」だ。悪役もまた。
それらすべての登場人物が、今日なお私たちの共感を得るのは(というか私たちが共感してしまうのは)、
シェイクスピアがそれだけ「人間」を描くのが上手かったからだと私は思う。
この「ハムレット」は、本当に様々な解釈がなされていて、
ハムレットに関する研究本をすべて読むには命が足りないとかなんとか先生も言っていた気がする。
その中でちょっと面白いと思った見方がある。
それは、3人の男性…主人公ハムレット、侍従長の息子レアティーズ・ノルウェー王子フォーティンブラス。
彼らはみな同じように尊敬する父親を失っている、ということ。
この3人の関係はたどっていくと不思議な円を描き出す。3人ともその復讐は果たされるが…それも微妙だ。
ハムレットは向こうが仕掛けてきた罠をそのまま相手に返す。レアティーズは最後にはハムレットを許し、
そして自分も命を落とす。フォーティンブラスは、現れてみると、自分では手を下さずにその復讐は
すでに遂げられたあと…。
などなど、注目し出すとキリがないこのお話なのである(笑)。
最後にひとこと…。ホレーシオはいい!(^^)
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