*第23回医療講演『慢性関節リウマチの治療を受ける際のポイント』*

長野県厚生連篠ノ井総合病院 リウマチ膠原病センター 浦野 房三 先生
(H11.4.18 サンアップル)


 今回は患者さんからよく質問される内容を中心に、質問形式で療養における要点を申しあげたいと思います。

問1 慢性関節リウマチは遺伝するのでしょうか?また、なぜリウマチになるのでしょうか?

 自分の免疫機構に異常をきたして、自分の細胞が自分の臓器を攻撃する『自己免疫疾患』という病気の分類があります。慢性関節リウマチは自己免疫疾患のひとつです。なりやすい体質にウイルスなどの外的な要因が加わって免疫異常がおこり、その結果、発病するといわれています。HLAという白血球の型をきめる抗原があるのですが、そのなかでHLA-DR4陽性の人が慢性関節リウマチになりやすいといわれています。病気そのものを運ぶ遺伝子が存在する遺伝病ではありません。また、リウマチ菌とかリウマチウイルスというのは存在しません。

問2 リウマチの診断と合併症については?

 診断はリウマトイド因子だけで決定するわけではありません。関節の腫れや全身の症状を加味して診断されます。他の膠原病や境界型(未分化型)膠原病も最初の頃は鑑別診断の対象となります。年数がたってから、症状が多彩であったり、検査値の異常が多岐に及ぶ場合は、他の膠原病の合併、あるいは内臓病変の合併した悪性関節リウマチも考えなければなりません。

問3 リウマチの病状と環境とは無関係ですか?

 気候・風土など周辺環境、また、職場や家庭内の人間関係、あるいは、仕事の質と量も病状に影響することがあります。ですから、患者さん本人が病気を理解する必要があることはもちろんですが、周囲の人々の理解と協力も不可欠です。医師に相談したり、良心的な書物、あるいは、このようなセミナーなどで病態や治療について勉強していただくこともよいと思います。

問4 薬物療法と副作用については?

 治療は基礎療法・薬物療法・リハビリテーション・手術と4本柱はご存知のとおりです。薬物療法では抗リウマチ薬・抗炎症剤、そしてステロイド剤が使われます。いずれも必要な薬剤ですが、高齢者の方は各臓器の余力が少ないので抗リウマチ薬は慎重に投与される必要があります。胃腸障害は頻度が高いので、抗炎症剤の選択にも注意が必要です。

問5 なぜ、いろいろな検査をするのでしょうか?

 関節や脊椎破壊の評価、あるいは血液造血器・心・肺・腎・消化器・内分泌器官など、リウマチに関連した全身各臓器のチェックのためにおこないます。病気の活動性は血沈・CRPなどでみてゆきます。また、他の自己免疫疾患の合併はないかどうか、時に詳しく検査します。
 一方、薬剤の副作用のチェックも大切です。血液と尿検査を定期的に行なわないと薬物療法は安全にできません。特に高齢者の方は血液(白血球・赤血球・血小板)の検査は短い間隔で必要です。腎障害は血液検査と尿検査から総合的な評価が必要です。胸部レントゲン・心エコー・CTではリウマチの心肺病変、MRIでは脊椎・関節のリウマチ病変、また、眼科的検査・耳鼻科的検査・内視鏡検査も時に必要となります。リウマチでは様々な皮膚病変がありますので、専門医の診察が必要な場合が少なくありません。

問6 リウマチのリハビリは、なぜ必要なのですか?

 変形を予防し、筋力の低下と関節破壊を最小限に防ぐためにおこないます。発病してまもないころから、作業療法士(OT)に指導を受けるとよいと思います。高度の変形や機能障害にたいして、自助具などもOTに相談しましょう。

問7 なぜ、手術をするのですか?

 手術だけでリウマチをコントロールすることはできませんが、薬物療法を併用して、多関節滑膜切除をおこない、活動性を数年間沈静化させることも可能のようです。また、人工関節手術にはタイミングがあります。一方、心臓・腎臓、あるいは呼吸器などに高度の内臓合併症がみられる場合は、安易に手術にはふみきれません。
 近年、人工関節の手術が普及しましたので、リウマチで寝たきり、あるいは車椅子の生活を送る患者さんは、以前より少なくなりました。

 以上、項目別に述べましたが、リウマチの療養には、ひとつ、ふたつ気をつければよいということではなく、多方面の工夫が必要であること、また、全身病な観点から療養を見直して行く必要があることをご理解ください。


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