エンタ評インデックスへ | HPトップへ | HeartLand-Cosmosへ


 

「パプリカ」と「アイランド」 2007年9月17日

長女IがレンタルしてきたDVD「パプリカ」を観ました。筒井康隆原作のSF小説を「千年女王」の今敏が映像化したアニメーション。原作も映画も全然知りませんでした。松江に帰ってからは「ぴあ」すら読まないで、80年代の曲の練習ばかりしている?ので、感性が錆び付き気味ですが、時々長女が、こういう前衛的かつ良質な作品で、ギャップを埋めてくれるので助かります。

最新の科学技術で人間の「夢」の世界に入り込んでいるうちに、現実と夢が混濁しはじめ、マッドサイエンティストの暴走で現実世界が侵食されるが、主人公達の愛の力で平穏を取り返すという定番SF活劇。今敏らしいテンポの速い印象的な情景の連続で飽きさせませんが、前半は意味がわからず、はからずも私自身が夢の世界に何度か引き込まれてしまいました。「千年女王」と違って、主人公がやたら空を飛んだり、大友克洋的グロ・シーンが多かったりと、引っかかるシーンは多かったのですが、アニメーション作品として非常に高いレベルにあることは間違いありません。林原めぐみ、古谷徹といった声優陣もいい仕事をしています。疲れた刑事のキャラが、江口寿史の描く毒島探偵にそっくりで、個人的ににやにやしていました。

最新の科学技術で完璧なクローンを作り上げ、その健康な臓器をオリジナルの人間に移植するビジネスを進めていたが、クローンから消去したはずのオリジナルの記憶が甦り、反乱を起こしてマッドサイエンティストを退治するという、同じような定番SF映画「アイランド」も観ました。こちらは「アルマゲドン」のマイケル・ベイ監督による、莫大な資金力を使って、最高のCGとLA市街戦実写を見せるだけの作品。スカーレット・ヨハンセンがとても美しく魅力的に描かれていること、スティーブ・ブシェミ(現在もNYFDで働いているのでしょうか?)が良い味を出していることが救い。本当に、それだけの映画です。ユアン・マクレガーは、すべてが整いすぎているせいでしょうか?水準の仕事をこなしていますが、なかなか「これは!」という代表作がありません。
 

「復活の日」 2007年8月7日

日本沈没に続いて、小松左京の壮大なSFを角川春樹が映画化した昭和の大作ですが、なぜが当時は観ていませんでした。監督・深作欣二、主演・草刈正雄&オリビア・ハッセー、主題歌・ジャニス・イアンという顔ぶれをみるだけで、おおかた想像がつくように、ストーリーもディテールもハチャメチャで、多岐川裕美がオープンエアのクルーザーで南極を目指すような「ありえねー」シーンと、世界の名優たちによる「臭い」シーンの連続でした。今から20年後に、ローランド・エメリッヒ監督作品を見る機会があれば、同じ感想を抱くことになると思います。オリビア・ハッセーが「yoshizumi!」と叫ぶ感動的なラストシーンでは、のんきな気象予報士の顔が浮かんでき、思わず笑ってしまいました。

それにしても角川春樹はジョージ・ケネディが好きですね。「人間の証明」と本作で、実に重要な役どころを与えています。私の中では、「エアポート」シリーズおよび、「裸の銃を持つ男」シリーズの準主役というイメージしかないのですが…。
 

DVD「ダ・ヴィンチ・コード」 2007年5月5日

「いまさら」ですが、DVD「ダ・ヴィンチ・コード」を(初めて)観ました。さすが大ベストセラー原作の映画化。ストーリーは面白いし、映画としてもとても良くできています。肝心の「宗教の暗黒」部分は難解で、一度みただけでは誰が敵で、誰が味方なのか?すら、よく理解できませんでしたが、原作をじっくり読むことで深く知りたいという気持ちになります。そういえば、普段読書なんかしそうにないタナカヨシキが、会社の朝礼で同書を絶賛していたことを思い出しました。

監督ロン・ハワード、主演トム・ハンクスという、元々TVコメディ出身の二人が、年齢と経験を重ね、素晴らしい映画人になりました。メイキングで、ロンが
「今後CGが発達すれば、ロケは無くなるかもしれないけど、ロケが必要とされる時代に監督できてラッキーだ」
と発言していました。昨日観た「スカイ・キャプテン」がオールCGであっただけに、考えさせられるコメントです。確かにルーブル美術館や、古い寺院の画像は素晴らしく、苦労してでも本物を撮影する意義は十分ありそうです。海外で8年も暮らしましたが、なぜかヨーロッパへは渡ったことがありません。リタイヤしたら、奥さんと二人ゆっくり歩きます。
 

DVD「スカイ・キャプテン」 2007年5月4日

amazon他でみられる、本作に対する酷評の数々、あれらは一体何なのでしょうか?ブルースクリーンCGに対するアレルギー?ジュード・ロウの臭い芝居に対する批判?本作品が楽しめない批評家は、何をみれば良いのでしょうか?

「鉄腕アトム」「バットマン」「ディック・トレーシー」を楽しんた人であれば、本作のCGは十分許容範囲。「007」シリーズや「インディ・ジョーンズ」シリーズのファンであるならば、ジュード・ロウの今後の成長に期待しましょう。何よりも、グウィネス・パルトロウと、アンジェリーナ・ジョリーが、きちんと期待通りの演技をしているのです。Gagaのバイヤーの趣味と目線が大好きです。
 

「千年女優」 2007年3月11日

長女I絶賛のアニメ映画「千年女優」を観ました。日本のアニメにも、エロやグロ、バイオレンスやスプラッターのない、そのうえ誰も空を飛ばない(?)けれども、素晴らしい作品ってあるんですね。ストーリー展開、脚本がとくに素晴らしいです。

原案・脚本・監督・キャラクターデザインと、ほぼすべてをこなした今敏という人は1963年生まれ。ということは、映像体験をはじめ、私とさまざまな同時代性を共有しているはずで、
「あ!これは…」
と思わせるシーンがいくつもありました。例えば、過去と現在の行き来は「2001年宇宙の旅」「タイムトラベラー(の最終回)」、現実と映画(撮影現場)の行き来は「蒲田行進曲」、老人の邂逅は「日本沈没」「タイタニック」などなど。(やたらと転ぶ)主人公藤原千代子のキャラが(江口寿史の描く)薬師丸ひろこに似ていると思ったら、今敏は「老人Z]で、江口氏と一緒に仕事をしているのですね。1960年生まれの私のツボにはまる映画で、純粋な恋心の結末には思わず涙もほろりでした。
 

DVD「コープス・ブライド」 2006年8月18日

ご存知ティム・バートンのストップモーション(コマ撮り)アニメーション。「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」をしのぐ映像と、泣かせるストーリー。ティムは、私が初めてみた「ビートルジュース」からしてそうですが、「あちら側の世界」を、やたらと楽しく、茶化して表現していますね。こちらの世界で感じる矛盾を「 before it's too late 」と、しゃかりきになって正していく努力なんてしなくたって、あちらの世界へ行ってしまえばハッピーになれるのかしら?と、戸惑ってしまいます。
 

「クローサー」DVD2006年8月13日

なんとも酷いストーリーで、善人が一人も出てきません。4人の男女を結びつけるのは「嘘」と「妥協」。「真実」を求めると、あっという間に関係が崩れていく。一番純粋と思われたナタリー・ポートマンですら、愛する人には最初から嘘をついていたことに愕然。夢のない、実に腹立たしい展開の映画です。舞台であれば、面白いかもしれませんね。
 

2006年7月2日 「東京タワー」

不倫も、修羅場も、東京の景色も、きれいでフワフワしていて嘘っぽいですが、江国ファンタジーの映像化ですから、それはそれで「あり」です。
「恋愛の抗えない甘やかさと野蛮さは 人生と相容れない」
「壊れたオモチャはいらないの」
考えさせられるセリフ満載で、原作も読んでみたくなりました。

この作品の世界に、多くの女性が共感しているのだとすると、それは世の亭主どもがいかに奥さんを大切に扱っていないか?あるいは、世の奥様方がマスコミに洗脳されて「集団勘違い」をしているか?のどちらかです。多少とも身に覚えのある男性は、久しぶりに奥さんを映画にでも誘ってみましょう。(昨日の尾崎亜美ライブ、私は一人で行きましたが、パーソネル杉原君は奥さんと二人でした。ちょっと気まずい…。)

黒木瞳、寺島しのぶの二人はもちろんですが、岡田准一と松本潤の二人の演技力は、予想外の素晴らしさ。「木更津キャッツ」「花より男子」で十分承知はしていましたが、ジャニーズの子供たちは侮れないですね。
 

「コーラス」 2006年3月11日

次女Kと一緒に、島根県民会館で映画「コーラス」を観ました。なんと、今年1本目!の映画です。

南仏版「熱血教師物語」ですが、決してシリアス過ぎず、熱過ぎず、お気楽な展開。好感の持てる映画ですが、「フランスで7人に1人が観た、とびっきりの感動作!」は、明らかに過大広告です。個人的には、子供たちの度重なるいたずらの背景にある寂しさみたいな心情を、もう少し丁寧に描いて欲しかったと思います。

JBモニエの歌声は、まさに奇跡!の美しさ。2年前に公開された映画ですから、きっと今ごろは声変わりしているのでしょうね。残念です。
 

「恋におちたシェイクスピア」 2005年12月11日

DVDで映画「恋におちたシェイクスピア」を観ました。ハワイへ行く機内でみて以来ですから、本当に久しぶりですが、さすがは98年アカデニー賞の主要部門を総なめした名作。悲劇であり、コメディであり、半分史実であり、ラブ・ストーリーであり、私は中世〜近代ものがあまり好きではないのですが、実に楽しめる作品でした。

シェイクスピア自身の実らぬ恋と、「ロミオとジュリエット」が出来上がっていく過程をテンポよく絡めた素晴らしい脚本を、グウィネス・パルトロウの名演技と、サンディ・パウエルによる衣装で盛りたてています。「ウェストサイド物語」ほどバイオレントやシリアスでなく、「ムーラン・ルージュ」ほど素っ飛んでなく、奇異に感じるられかもしれませんが、私は「恋に〜」に、つかこうへい「銀ちゃんが、ゆく」によく似た、せつなさを感じました。

シェイクスピアの戯曲の中だけでなく、当時の人々が日常会話の中であれだけ詩的でロマンチックな表現を好んで使っている様子が面白いですね。劇と劇中劇に境界線がないのです。そういえば、我々だって少し前まではもっと気の利いた日本語を使っていたような気がします。言葉は進化していくものですから、現代の日本語が悪いとは思いませんが、味わいのある会話というものに憧れを感じます。

ジュディ・デンチも良いですね。本作でのエリザベス女王といい、老アイリスといい、彼女でしか出せない存在感です。英国らしい女優さんといえば、「ハリー・ポッター」マクゴナガル先生役や「秘密の花園」ミセス・メドロック役のマギー・スミスの顔が浮かびますが、アクの強さではひけを取りません。

グウィネスは文句なしです。やはり「スカイ・キャプテン」は必須のようです。
 

「17歳のカルテ」 2005年12月4日

 ウィノナ・ライダーのモノローグで始まる、いつものスタイルで、まずドキドキ
 演じるキャラは「親友は日記帳、時折発露する激情」という、典型的パラノイア「ノニー」
 そして、随所で魅せる強い目力
ウィノナマニアを喜ばせる要素満載ですが、作品としても「 HEATHERS 」に匹敵する快作で、いい意味で予想を裏切る映画です。

 狂気と正気との境界、
 精神病院と、戦争やドラッグや嘘にあふれた外の世界との境界、
 仲間の心を傷つける言葉の凶暴さと、日記帳の中に秘めておく狡さとの境界…。
境界をはさんでの振れ幅に個人差はあっても、誰もが持っている心の痛みや悩みを実に巧く描いています。実話に基づいた原作も良いのでしょうが、ジェームズ・マンゴールド監督は、要注目ですね。

大人になるということは、境界線のコントロールが巧くなってしまうことで、誰もが事の本質から自然に目をそらしているような気がします。本作のテーマではありませんが、絶対に譲れない、自分だけの境界線を意識することの大切さを思い出しました。

「17歳のカルテ」を快作ならしめている、もうひとつの大きな要素は、本作でオスカーを獲ったアンジェリーナ・ジョリーの名演です。「トゥームレイダー」「Mr.&Mrs.スミス」でみせるアクション女優のイメージが強いですが、狂気と弱さを演じわける表現力(「エクソシスト2」のリンダ・ブレア級)は見事。ウィノナとアンジーが対峙する場面は、まるでジャック・ニコルソンとアンソニー・ホプキンスがそれぞれに乗り移っているよう(怖!)でした。そうそう「ボーン・コレクター」でアンジーがみせた、苦悩と決断の演技がなかなかのものであったことを思い出しました。一応「スカイキャプテン」も、チェックしておこうかな?

どうでもいいですが、ウィノナとアンジーの17歳コンビは、トラボルタとオリビアの「グリース」くらい無理がありますね。これも、どうでもいい話ですが、ウィノナ演じるスザンナのボーイフレンドの名前がtobyで、二人が出てくるシーンは何度もリプレイして観ました。
 

ミラクル・バナナ 2005年11月15日

大崎IMAGICAで、錦織良成監督作品「ミラクルバナナ」の試写を観ました。(愛知・岐阜ではすでに先行上映中だそうです。)

私の身近にも、2年間の在外公館(下働き)勤務を経験した人が何人もいて、ワシントンDCで勤務した従兄弟ススム君は別格ですが、キューバで頑張った元同僚小林ショウコなどは、まさにこの「ミラクルバナナ」の世界を体験したわけです。体力や精神力も大事ですが、中南米の「おおらかさ」と「ええかげんさ」に同化できるキャラの持ち主でないと、勤まらない仕事でしょうね。

さて「ミラクブバナナ」。良くも悪くも、錦織監督らしいまじめで、まっすぐで、平坦な映画。モチーフもテーマもすばらしいのですが、例えばハイチの政情不安や、紙漉きが成功した瞬間ですら、「え!これだけ?」と突っ込みたくなるくらいの平坦な演出。一番肝心の、バナナ紙を作るために人を動かしていくプロセスも、妙にもどかしく、「ウルルン」や「プロジェクトX」のスタッフにでも作らせたほうが、よほどわかりやすい作品になったことでしょう。やらせが嫌いなら、「新日本紀行」や「シルクロード」のようなドキュメンタリー・タッチにする方法もありかもしれません。脚本・演出・編集…どれもが平坦でした。私は、もっと映画らしい映画を望みます。

KENも私も涙した、「白い船」に手を振るシーンも、島根以外の人がみれば、実はこの程度にしか感じられなかったのでしょうか?

小日向文世とかとうかずこが素晴らしかったです。緒方拳の演技には、キレもやる気も感じられず、あれも錦織監督の演出なのでしょうか?他の俳優さんは、上手いのか下手なのか、まったく判断できず。

最高の収穫は、角松敏生による主題歌「smile」。名曲です。私が今年聴いたなかで、間違いなくベストの一曲です。
 

「若草物語」 2005年10月24日

ウィノナ・ライダーが、アカデミー主演女優賞にノミネートされた、古典リメイク。善良であること、夢を求めていくことの尊さと、家族愛の大切さについてのエピソードは涙を誘いますが、あれだけのエピソードを2時間の映画に詰め込むのは無理です。年末に放送される大河ドラマの総集編みたいで、ストーリーをなぞるので精一杯、焦点がボケボケです。ウィノナ作品でいえば、伝記もの「グレイト・ボールズ・オブ・ファイヤ!」と同じ失敗です。

おかげで演出もバラバラ。ウィノナの演じるジョー・マーチは、真っ直ぐだけど、難しいタイプの女の子(ある意味、ウィノナが得意とするパラノイア少女?)。妹エミーの結婚を素直に受け入れられるはずがないとハラハラする観客の期待を見事に裏切っての満面の笑み、そして物語は大団円!そりゃないでしょう?たった20分では、人間はそこまで成長しません。

まったく作品の恵まれない大スターです。「 Heathers 」「 Beetlejuice 」を超える作品は出てこないのでしょうか?
 

HOOK! 2005年10月23日

大人になって、ネバーランドのことを忘れてしまったピーターパンを、ロビン・ウィリアムスが好演。「ジュマンジ」に通じるハートウォーミングな作品です。ネバーランドの子供たちの遊びが、スケートボードなど「Xゲーム」ものであったり、とことん汚しまくる「ニケロデオン」ものであるところが、あまりにも今風で違和感がありますが、観客の子供たちの笑顔を引き出すには仕方のない演出かもしれません。途中「グーッド・モーニング・ネバーランド!」など、害のない小ネタをはさみつつ、最後は家族愛でホロリとさせる、王道ファンタジーです。トム・ハンクスが妙に社会派に傾いてしまい、ロビン・ウィリアムスも多少年を取りすぎました。次のハリウッドのファンタジー王って誰なのでしょう?ジュリア・ロバーツのティンカベルが最高にキュートです。
 

True Lies 2005年10月1日

TVで映画「 True Lies 」を観ました。もう何度も観ていますが、シュワルツネガー作品の中では一番テンポが良くて楽しめる作品です。奥さん役のジェイミー・リー・カーティスも最高です。一般的には、ホラー映画「ハロウィン」シリーズの女優さんで有名ですが、「 A Fish Called WANDA 」「 Trading Place 」そして本作「 True Lies 」は、彼女が最高のコメディエンヌでもあることを示しています。上野樹里には、ぜひジェイミーの路線を目指して欲しいものです。まだ、「ジョゼ虎」と「スウィングガールズ」しか観ていませんが、最近「亀は意外と速く泳ぐ」「サマータイムマシンブルース」と面白い役どころが続いています。
 

オーロラの彼方へ 2005年9月24日

ずいぶん前にサンプルを頂いていながら、封も開けていなかったDVD「オーロラの彼方へ」を初めて観ました。「憑依もの」とならび、映画ならではのファンタジー「タイムスリップ」ものとして、なかなかの佳作です。エンタテイメントに徹した「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と、結構マジな「タイムライン」のちょうど真ん中あたりのポジション。デニス・クエイドの父親とジム・カヴィーゼルの息子がなかなか良いです。クライマックスの、過去と現在の同時進行は手に汗握ります。

「サマータイムマシン・ブルース」まだ上映しているかな?
 

「チャーリーとチョコレート工場」2005年9月11日

久しぶりに六本木ヒルズへ出かけ、映画「チャーリーとチョコレート工場」を観ました。ファンタスティック!ティム・バートンが、ロアルド・ダールの原作「チョコレート工場の秘密」を忠実に再現、期待通りの素晴らしい作品を届けてくれました。会場は、ジョニー・デップ目当ての若い女性が多かったようですが、なんと言ってもティム・バートン様です。

映画のオープニングは「マーズ・アタック!」の宇宙船。チョコレート工場のある町並みは「ビートルジュース」のジオラマ。工場の中はまるで「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のような情景。ファクトリーツアーを始める時のウォンカの右手は「シザーハンズ」。そしてマイク・ティーヴィー少年が小さくなってしまうシーンは、そのまんま「2001年宇宙の旅」の名シーンと、自作はもちろん、キューブリックのSF大作までパロディにしつつ、残酷で皮肉たっぷりながら読者を引き込む、原作の面白さをすばらしい映像で表現しています。ウンパ・ルンパの音楽とダンスも最高です。今年は、近年になく映画を観ていませんが、ここにきて面白い作品が続いています。

チョコレート工場内のシーンでは、会場内にチョコレートの香りを漂わせる仕掛付き。視覚・聴覚に加え、チャールトン・ヘストン「大地震」ではセンサラウンド音響で揺れを体験しましたが、ついに映画に嗅覚が加わりました。
 

「駅STATION」2005年9月10日

久しぶりに「駅STATION」のDVDを観ました。高倉健と倍賞千恵子が表現する寂しさと哀しさに引き込まれ、しみじみとしてしまいますが、日本アカデミー賞では、主演男優賞しか獲得できなかった作品です。冒頭の、いしだあゆみの健気な作り笑顔にウルウルしますが、あとはエンディングまで、ずっと肩透かしでした。昔観たときは、もっと感動したような記憶があるのですが。

主演二人はもちろん、宇崎竜童や烏丸せつこも(ちょっと臭いけど)渾身の演技。厳しい北国の冬の情景と、その対極にある「桐子」店内の暖かさは、人々の心象を見事に代弁しています。監督は仁侠映画中心のキャリアですが、「鉄道員(ぽっぽや)」でもメガホンを取った降旗康男。となると、倉本聡の脚本が甘かったでしょうか?別れた妻に電話するシーンが、退職を決意する決め手であるとすれば少々説明不足です。また退職届を破るシーンは、桐子を助けに向かう前のほうがよりドラマチックで、ストーリーにメリハリが生まれたのではないでしょうか?

いしだあゆみと倍賞千恵子の美しさには、ほれぼれします。現在の私よりはずっと若い時の作品だと思いますが、まさに大人の女性の色です。そういえば、出光カードCM「盆踊り編」の菅野美穂が好きです。だんだんといい女になってきました。もちろん、若く瑞々しい女性も好きですが、年齢と経験を重ねた、したたかな美しさには、独特の味わいがあります。
 

「メゾン・ド・ヒミコ」2005年9月4日

久しぶりに映画を観にいきました。「 NANA 」「 Be Cool 」「サマータイムマシン・ブルース」「リンダリンダリンダ」など、いくつか候補はありましたが、今日私が選んだ映画は「メゾン・ド・ヒミコ」。「ジョゼと虎と魚たち」と同じ犬童一心監督&渡辺あや脚本コンビによるヒューマンドラマ。「昭和歌謡ディスコ?シーン」以外は、全編が暗く重たいテーマに覆われていましたが、傑作です。

「ジョゼ虎」では、
「帰れ!って言われて、帰るような奴は帰れ!」 「あの人、そんなご立派な人と違うもん」
など、印象的なセリフが散りばめてありましたが、本作でも渡辺あやは、オダギリジョー、柴咲コウ、田中泯らの口を介し、辛口だけどぐっとくるセリフの数々を見事に操っています。犬童監督の絶妙な「間」の使い方は、時にユーモアを誘い、時に熱を冷まし、また時にじっくり考えさせたりと、実に見事です。時折挿入される海辺の風景は印象的ですし、コンビニのシーンやサクランボのシーンの「間」は最高でした。

ゲイの老人ホームなんて設定自体がありえないわけですが、「ジョゼ虎」同様、強い人や立派な人は誰も出てこない、飾らないリアリティみたいなものがあります。映画を見終わった客を
「これからは、オカマを差別するのはやめよう!」
なんて気持ちに、少しもさせないところもリアリティを感じます。

キャストは全員が個性的で立っていましたが、なかでも柴咲コウは今までで一番良かったような気がします。ブス化粧も見事でした。

渡辺あやは、島根県で雑貨店を経営、二児の母として多忙な中、素晴らしい創作活動を続けており、ブラハウス松田登美、歌手の浜田真理子と並び、島根から創作・発信している三賢女の一人だと思います。岡本さん、特番でも作りませんか?
 

エピソード3その後 2005年7月13日

毎晩のように地上波でSTARWARSクラシックを放映しているので、嬉しくて嬉しくて・・・。今夜は、エピソード6「ジェダイの帰還」。

以前は、ジャバ・ザ・ハットのエグさ、イウォークの可愛らしさや勇敢さばかりが気になっていたのですが、エピ1〜3を観たあとでは、ルークとアナキンの親子愛に心を奪われます。昔エピ4〜6だけを観ていたときは思わなかったのですが、直情的な父アナキンに比べ息子のルークは、実に忍耐強く大人です。アナキンがマスクをはずしてルークと対面するシーンは、何度も見ているのですが、今夜初めて涙が流れました。私のような「4〜6」→「1〜3」族だけでなく、「1〜3」→「4〜6」族の若いファンでも共感できるエピソードです。

ラストシーンで、ヨーダ、オビ・ワンに並んで登場するアナキンの精霊が、劇場公開時は年老いた禿頭のアナキンだったのが、新バージョンではダークサイドに落ちる前のヤング・スカイウォーカーに変わっていました。

「STARWARSエピソード4」のDVDを観ていたら、冒頭のシーンで追撃される、レイア姫が乗っている宇宙船が、エピ3の最後のシーンでオーガナ元老院議員が乗っていた宇宙船と同じで、感激しました。ファンを喜ばせる仕掛けとこだわり満載です。

エピ3で一番良かったのは、ジャージャー・ビンクスの登場シーンが少なかったこと?そういえば、パドメの葬儀のシーンって、笹倉鉄平の作品や、東京ディズニーシーの夜景みたいに幻想的でした。エピ3体験は濃密です。あとから効いてきます。
 

エピソード3 シスの復讐 2005年7月9日

一週間の(飲み)疲れで、日中は社宅でごろごろしていましたが、夕方には居ても立ってもいられなくなり、大雨の中、草加シネマまで「STARWARS エピソード3」を観にいきました。

私のSTARWARSとの出会いは、高校時代に買ったPOPEYE20号「特集・スターウォーズはもうみない」の表紙を飾ったストームトルーパー。多くの新聞や雑誌の評にありますが、20数年前の第一作から今日の第六作まで、同じ時代をSTARWARSのSAGAと過ごすことができた幸せを感じます。濃密なストーリー展開と脆い良心が生み出す悲劇の向こう側に、いままで5作のあらゆるシーンが浮かび上がってきました。そしてラストシーンは、まさにエピソード4「NEW HOPE」を予感させる、美しく感動的な出来栄えでした。ありがとう、ジョージ・ルーカス。ありがとう20世紀FOX。

ナタリー・ポートマン演じるパドメは、どこまでも美しく悲しく、生きる希望を失った悲壮さに胸を打たれました。エピソード2でカミーノ星人にクローンアーミーを準備させていたパルパティーンの、用意周到な「悪」には言葉を失いました。エピソード1での、サミュエル・L・ジャクソンの起用は意外な感じを受けたのですが、3部作通しての存在感に、十分納得させられました。旗艦インビジブル・ハンドが、炎に包まれながら大気圏突入し着陸するさまは「スペースキャンプ」「アルマゲドン」、グリーバス将軍のホイール・バイクは手塚治虫の「ワンダー・スリー」、飛行中の戦闘機に群がって破壊するバズ・ドロイドは「ジュラシックパーク2」のコンピー、ホイールバイクに乗ったグリーバス将軍と、トカゲに乗ったオビ・ワン・ケノービのバトルは「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」のトロッコ追撃シーン、そしてダースベイダーと化したアナキン・スカイウォーカーとオビ・ワン・ケノービが対決する惑星ムスタファーは「エイリアン2」と、SF名作の場面を彷彿させるシーンの数々に、製作者の強い想いと「こだわり」を感じました。

いつもの銀座や六本木の映画館に比べると、画面は小さく音響も貧弱で、上映中に何度も扉がギシギシ音を立てて開くし、携帯メールをチェックする行儀悪い観客は多いしと、劣悪な鑑賞環境でしたが、それでもエピ3は素晴らしい映像体験でした。今夜は、朝までエピソード4〜6のDVDを観て、再びSAGAとフォースを感じようと思います。
 

砂の器 2005年6月18日

原作を読んで泣き、映画を観て泣き、ビデオやDVDで何度も泣いた名作が、デジタルリマスター版でスクリーンに帰ってきました。東銀座東劇で「砂の器」を観ました。初日朝一番の上映はオールドファン中心に満員の入りでした。

私が持っているDVDよりも明らかに良質で瑞々しい画面と音声。何よりも大きなスクリーンで、感動もまた新たです。いつものことですが、本浦親子別離のシーンでは、涙がこぼれ、千代吉の「こんな人、知らねえ!」では、体が震えました。何よりも、島田洋子さまの肌のきめ細かさ、そして聡明な美しさまでもがデジタルリマスターで見事に甦りました。NY「クラブt」で何度かお見かけして以来ご無沙汰ですが、お元気でしょうか?
 

オペレッタ 狸御殿 2005年6月12日

「久しぶりに映画を観に〜」という昨日の日記をみて、「四日間の奇跡」「交渉人・真下正義」「クローサー」などの作品レビューを予想された皆さん、残念でした。今日私がみてきたのは、鈴木清順監督作「オペレッタ 狸御殿」です。覚悟はしていましたが、予想を遥かに上回るキワモノでした。

「え!世界のチャン・ツィイーがそこまでやるの?」
「お願いだから、薬師丸ひろ子にそんな真似させないで!」
「いったい何だ?この安っぽいデジタル書割りの学芸会は!」
「おいおい、それは無いだろう!」
突っ込みどころが多すぎて、開いた口が塞がらないというべきか?見ていられないというべきか?正直言って、冒頭の30分間は不快感あふれるものでした。

これを救うきっかけになったのが、チャン・ツィイー、オダギリジョー主役二人のどこまでも爽やかな笑顔、そして前面に出てくる、役に対する真面目な思いです。本物のプロは仕事を選びません。常に全力投球です。そしてストーリーが進んでいくにつれ、私が持つ日本人のDNAが、歌とセリフとお芝居に徐々に同調し始めました。戦前から戦後高度成長時代にかけてシリーズ化され、映画や舞台で大衆を沸かせた「狸御殿」ものです。面白くないはずはないのです。

歌舞伎、宝塚歌劇、場末の温泉場の歌謡&剣劇ショー、山田風太郎の作品、映画「真夜中の弥次さん喜多さん」をはじめとするクドカン作品・・・どれも最初は「おいおい、それは無いだろう!」と突っ込みたくなるキワモノですが、日本人ならば最後はすうっと心に入り込んでくるのです。映画「グリース」では、「 Look At Me, I’m Sandra Dee 」も「 Beauty School Dropout 」もエンディングの「 We’ll Be Together 」も日本人的には「おいおい!」でしたが、平均的アメリカ人の心にはすうっと入り込んでくるのでは?

それにしても、何故チャン・ツィイーだったのでしょうか?オダギリ・ジョーの相手は、仲間由紀恵でも、上戸彩でも、伊東美咲でも、綾瀬はるかでも悪くはなかったはずです。そもそも唐からやってきた狸の姫君が人間と恋に落ちるという設定からして無茶苦茶ですし、途中からセリフはずっと北京語ですから、ずいぶんと違和感のある展開でした。ただひとつ言えることは、私は、チャン・ツィイー主演作だったからこそ1,800円払ったのであり、そしてその価値は十分にあったということです。彼女の作品は、「 HERO 」も「 LOVERS 」もみておらず、「初恋のきた道」とシャンプーのCMでしか知りませんが、本当に凛々しく美しい人です。今日からは、ウィノナ・ライダー並みに、のめり込みそうです。

平幹二朗、由紀さおりの怪演は期待通り。薬師丸ひろ子、山本太郎、市川実和子の3人は素晴らしいの一言。浦嶋りんこは、本作品で新しい一歩を踏み出しました。
 

「愛の神 エロス」 2005年4月21日

親不知の抜歯は30分で終了。Tシャツ1枚で外歩きできる陽気だったので、まっすぐ帰るのがもったいなくて、シネスイッチ銀座まで足を伸ばし、映画「愛の神 エロス」を観ました。

ウォン・カーウァイ、スティーブン・ソダーバーグ、ミケランジェロ・アントニオーニという三巨匠が、エロスをテーマに撮ったオムニバス。しかしながら、刺激に満ちた日々を送る現代人にとって、この映画で描かれるエロスは、取り上げ方が古臭いのか?脚本が凝り過ぎなのか?語り口が冗長なのか?少しも面白くありませんでした。途中で何回もとろとろしてしまったのは、決して麻酔のせいばかりではありません。コン・リーが素晴らしい女優であることを再認識できたことは収穫でした。
 

「海を飛ぶ夢」 2005年4月17日

久しぶりに映画を観ました。「海を飛ぶ夢」というスペイン映画で、尊厳死をテーマに、実話に基づいて作られた作品です。

若き日の事故で半身不随となり、26年もベッドで過ごしたラモンという男性が、自らの尊厳と魂の自由のために死を選択するストーリー。並外れた勇気と自由と冷静さを身にまとい、それでいてユーモアあふれるラモンの前に、尊厳死の協力者は何人も現れますが、そんなラモンに対して協力者の誰もが「生きていて欲しい」と感じてしまう人間味の発露に、ほっとします。希望通り尊厳死を選択したラモン、家族や友人の愛情にすがって生きることを選択したフリア、いずれの行為も気高く美しいものです。

ラモン役のハビエル・バルデムはじめ、すべての俳優が、愛情あふれる素晴らしい演技をみせてくれました。
 

君に読む物語 2005年2月13日

2005年最初の映画は「君に読む物語」でした。昨年、ギャガのプレビューを観て以来、かなり期待していたのですが、残念ながらいまひとつの作品でした。ホンジャマカ恵さんが
「あの脚本はないだろう」
と酷評した気持ちがわかります。

見え見えのストーリー展開ながら、じっくりと盛り上げていき、ついに過去と現実がつながった最高の瞬間に「落とす」ところは許せます。ところが、なぜそこからいきなりラストシーンへ持っていくのでしょうか?ラストシーンそのものは(同じく見え見えですが)あれで良いのです。ただあまりにも唐突で、涙も出ません。「オータム・イン・ニューヨーク」でも同じことを感じたのですが、アメリカの観客はああいう展開で「奇跡」を感じることができるのでしょうか?あの程度の脚本で泣けるのでしょうか?私の琴線を揺さぶるのは、例えば、TV「砂の器」最終回の中井君の演技であり、映画「黄泉がえり」の竹内結子の走りです。

映画「アイリス」も同じテーマを扱っていましたが、真面目で難解すぎる「アイリス」よりは何倍も楽しめました。アメリカの田舎町や大自然の描写は、素晴らしいの一言。アリーの両親が、実はいい奴だったところも救いでした。
 

「ハウルの動く城」2004年11月23日

「ハウルの動く城」は、期待を裏切らない、もうひとつの「宮崎ファンタジー」でした。

魔法で老婆になったり、城が歩いたりと、ストーリーは突拍子もないし、
お約束通り、いきなり空を飛んでくれるし、
背景画は、細部に至るまで息を呑むほど美しいし、
久石譲の音楽は、その背景画以上に美しいし、
犬やかかしのサブキャラは、いつもながら「いい奴」ばかりだし、
意味のない「争い」が繰り広げられるし、
(本作の「争い」の理由は、なんと魔法使いの私怨!でした。)
主人公ソフィの強い愛情が、ハウルをそして世界を救うしと、
実に多くの点において、期待を裏切らない、もうひとつの「宮崎ファンタジー」でした。

その一方で、期待以上だったのは、倍賞千恵子、木村拓也ら声優陣の素晴らしいパフォーマンスくらいで、残念ながら「トトロ」や「神隠し」を超える作品ではありません。期待を裏切らない宮崎監督の新作だから必ず観にいくのですが、それはちょうど、大晦日になったので、おそばを頂いて紅白を観る。そしてお正月がきたから、初詣にでかけるといった程度の動機です。「寅さん」や「極妻」シリーズの新作を必ず観にいく行為と似ています。

誤解しないでください。決して批判しているのではありません。今日は早朝9時から、全席リクライニングシート、飲み物(もちろん生ビールをオーダー!)つきのプレミアム・スクリーンで観たものですから、つまらない映画であれば途中で大いびきでした。まばたきする時間すら惜しく感じられる、密度の濃い2時間の映像体験でした。
 

「世界でいちばん不運で幸せな私」2004年11月20日

銀座スネスイッチで映画「世界でいちばん不運で幸せな私」を観ました。この週末でロードショー終了ですから、ぎりぎり間に合いました。ベタな表現ですが、とても面白い映画でした。ゲームが進んでいくたびに、思わず「うそ!」「まじ?」と声が出て、自らの倫理観とか、躾けといったベールとのギャップにドキドキさせられた90分間でした。

お互いが、素直に好きと言えないもどかしさは、トレンディドラマのようであり、エキセントリックなゲーム「 Cap ou pas cap ? 」は、「電波少年」ノーアポもののようであり、次第に、ヒッチコック映画のような底なしの恐怖と、狂気に彩られたロマンスが深まりゆくドラマティックな展開。そして最後は、大河ドラマ最終回のような大団円、面白い要素のてんこ盛りでした。何より良かったのが、ソフィー役のジョゼフィーヌ(子役)と、マリオン・コティヤール。この女性のためなら危険なゲームも悪くない?と思わせるほど魅力的でした。

図書館でのリハーサルや、患者すり替えのシーンでは思わず声を出して笑いました。ティム・バートンを彷彿とさせる映像美と評したメディアもあり、確かに印象的でポップな色使いは楽しめましたが、コマ割などは、「木更津キャッツアイ」や「マンハッタン」といったクドカン作品に近いものでした。あれが現代映像の潮流なのでしょうか?
 

「いま、会いにゆきます」2004年11月3日

映画「いま、会いにゆきます」について、主演の竹内結子は、
「自分が出ている映画の試写をみて、初めて泣いた」
と評していましたが、私も泣きました。「黄泉がえり」「星に願いを」に続く、竹内結子「幽霊三部作」(そういえば「天国の本屋〜恋火」は観ていませんが、あれも蘇えりモノでしたっけ?)の中では最高傑作でしょう。登場する誰もが、純粋で、優しくて、弱くて、悲しくて、本当に素敵なラブ・ストーリーです。「超常現象」「奇跡」「ありえない」なんて野暮なこと考えずに、きれいな涙を流しましょう。

中村獅童、竹内結子、そして子供役の武井証の3人がすばらしい演技をみせています。特に、自分がいなくなってからのことを夫の同僚の女性に託そうとする場面での竹内の表現力は、観る者の心を突き動かします。お約束の、走るシーンは「黄泉がえり」の草なぎ剛、「星に願いを」の竹内結子に続き、本作では中村獅童によって演じられましたが、何回みてもどきどきさせられます。映画「死ぬまでにしたい10のこと」を思い出させるバースデー・ケーキのエピソード、TV「ずっとあなたが好きだった」同様、最後に「あっ!」といわせる「タイトル」の意味、内気な高校生の片思い、そして美しい諏訪の自然と風景、素敵な要素がちりばめられた佳作です。帰りに原作も買いました。早速読んでみます。

作りも丁寧で好感が持てる映画ですが、たった一ヶ所だけ、大学のキャンパスのシーンはあまりにも不自然な天気雨。映画「冷静と情熱のあいだ」ミラノ電話ボックスのシーンとよく似た失敗です。陽が陰るまで撮影を待つことができなかったのでしょうか?残念!
 

東京国際映画祭「隠し剣 鬼の爪」2004年10月23日

新潟県中越地震がおきた時、私は六本木ヒルズ53階にいました。ふらついて足がもつれるので、
「やばい!脳梗塞か?」
と思いましたが、美術館の展示物が揺れているのを見て、地震だと気づきました。携帯電話で、東京の地震でないことを確認できたので安心しましたが、高層ビルの揺れというのは怖いものです。18時30分からの東京国際映画祭オープニングレセプションは、エレベーターが点検のためしばらく使えなくなるし、オープニングスクリーニングの上映が遅れるし、散々なスタートでした。小泉首相はじめ、参加できなくなった方も多数いたようです。森前首相は楽しそうに、大声を出していましたが・・・。

六本木ヒルズに早く着いたので、けやき坂のレッドカーペットを見物、レセプション会場とあわせ、たくさんのセレブと接近遭遇することができました。セイン・カミュと萬田久子は、超小顔でカッコ良い。まるで外人みたい・・・おっとセインは外人でした。オープニングスクリーン「隠し剣 鬼の爪」主演の、松たか子と永瀬正敏は今夜の主役。周囲の扱いも違いますが、自信に満ち溢れ、圧倒的な存在感でした。上戸彩、長谷川京子、竹内結子、遠山景織子(こんな字でしたっけ?)といった旬の美しさも素晴らしいのですが、ジュディ・オングと松坂慶子の美しさと存在感には息を呑みました。他にも、ジョン・カビラ、別所哲也、市川昆なんて顔ぶれを確認しました。もっともっと有名な映画人や有名人がたくさんいたのでしょうが、よくわかりませんでした。知り合いは一人もいませんし、52階からの首都夜景もあまりの人ごみで風情なく、ワインとオードブルをしっかり頂いて、さっさとヴァージンシネマズのオープニング・スクリーニングへ向かいました。

さて、映画「隠し剣 鬼の爪」。

年配者に対しては鉄砲を用いた近代戦法を説く一方で、自らの戦いにおいては真剣勝負にこだわる。家老に対して不信感を抱きつつも、藩命であれば親友と戦わなければならない。女中に対して深い愛情を抱きつつも、世間体もあって実家に帰してしまう。様々な矛盾と弱さと葛藤のなかで、正しいと信じる道を静かに進む主人公の生き方に共感をおぼえます。永瀬正敏、松たか子、吉岡秀隆、小沢征悦といった若い実力派が素晴らしい演技をみせました。往年の「必殺仕掛人」俳優が、仕掛けられてしまう展開には、時間の流れを感じました。高島礼子の演技は、もうほんの少し「凄み」が欲しかったです。

とても丁寧に作られた、いい名画だと思っていましたが、クライマックスでの「手首」シーンがすべてをぶちこわしました。あんな悲惨な演出にしなくても殺戮や鉄砲の非情さは十分に伝えられるはず。永瀬正敏ほか、頑張った俳優陣に対しても失礼です。
 

「スウィングガールズ」 2004年9月23日

日比谷みゆき座で、映画「スウィングガールズ」を観ました。大ヒット作「ウォーターボーイズ」の柳の下にあやかった、フジTVの強力なPRもあってか?会場はほぼ一杯でしたが、二匹目のドジョウは、やや小ぶりでした。

主演上野樹里のエーカゲンな人物設定、貫地谷しほり、本仮谷ユイカ、豊島由佳梨のお約束ギャグ、あまりにもナイーブでフォークに転向する兄弟など、今風コメディの要素たっぷり。そして、ラストのライブのシーンは「ウォーターボーイズ」同様、映画の観客と会場の観客とをシンクロさせてしまう手法で盛り上げてくれます。平均的日本人が、観おわったあとニッコリできる佳作です。仲間と一緒に音楽を作り上げて、ステージで演奏する快感を思い出しました。またバンドやりたくなりました。

スウィングジャズの映画といえば、古典「グレン・ミラー物語」を思い出します。伝記ものにありがちの、あまりにたくさんのエピソードを盛り込みすぎた映画ですが、最後はしっかり泣けます。スウィングガールズによる、グレン・ミラーの「ムーンライト・セレナーデ」の演奏も、じわりとさせる、素晴らしい出来でした。

白石美帆の薄っぺらな演技だけは、もうたくさんです。
 

「華氏9/11」 2004年9月19日

3年前の「911」は、絶対に許すことのできない蛮行であり、テロリズムを短期に押さえ込むための集中的な武力行使は仕方ないと考えている私にとって、パウエルが「イラク戦争に大義が存在しなかった」ことを正式に認めたことは、少なからずショックであり、「華氏9/11」を観ることで、いくらか考え方の整理ができるのではと、期待したからです。

しかし残念ながら、同作品はよくできた「反・ブッシュ」「反戦」プロパガンダに過ぎず、真面目に真実を検証し、伝えたドキュメンタリーとはいい難いものでした。フジTV「報道2001」のほうが、よほど良質です。同作品に対するアメリカ人の反応が、意外と冷静である理由がわかりました。

妙に静かな描写であったWTC爆破直後のシーンに比べ、イラン戦争のシーンでは、怪我や流血はおろか、無残な死体の映像までも使われており、マイケル・ムーアの作為が感じられました。事実と批判と皮肉が入り混じった「華氏9/11」だけを観て、ブッシュの戦争の大義を判断することは不可能です。

4年前、もしフロリダ州でアル・ゴアが勝っていれば、いまや激しい「反・ゴア」キャンペーンが繰り広げられていたでしょう。「反・小泉」「反・ブレア」「反・プーチン」・・・どこの国や地域においても、しばしば見られる動きです。唯一ありえないのが、「反・金正日大将軍様」キャンペーンでしょうか?

 ブッシュ・ファミリーと、中東オイルマネーの緊密な関係。
 米国政権と、イラン復興事業で大儲けするカーライル・グループとの癒着。
 地方都市の貧困層にとって、軍隊以外まともな就職先がないという事実。
 ジョージWブッシュは、こうした真実を隠匿するためにサダム・フセインの犯罪を捏造したのか?
 民主党政権下であれば、こういう問題は起こりえないのだろうか?
マイケル・ムーアが提起した問題点を、国連とマスコミはきちんと検証していく義務があります。もっとも、パワーレス国連や、取材能力を失ったマスコミなら、期待しても無駄でしょうか?

家族を殺されたイラク人女性と、戦闘で息子を失ったアメリカ人女性が、それぞれの信じる神の名前を泣きながら連呼していましたが、失われた生命が戻ることはありません。人間の蛮行は、神の存在すらパワーレスにしてしまいます。
 

デイ・アフター・トゥモロー 2004年6月6日

早起きして六本木ヒルズへ。ヴァージンシネマでティム・バートン監督作品「ビッグ・フィッシュ」を観ようと考えていたのですが、今週末から上映時間が変更になっていたため観れず。替わりに「(ザ)デイ・アフター・トゥモロー」を選択しましたが、他の映画にすれば良かったです。

LAを襲う竜巻、NYを飲みこむ洪水、そして大都市が急激に凍りつくシーンの臨場感は素晴らしい出来で、手に汗を握りました。愛する人を思う挿話の一つひとつにはホロリとさせられました。でも、そこまでの映画です。「スペクタクル巨編監督」ローランド・エメリッヒは、ここらで一度、お金をかけない普通の映画(「世界の中心で愛をさけぶ」「下妻物語」など)で勉強しなおす時期ですね。

戦う相手が「宇宙人」や「ゴジラ」であるうちは、観客も「荒唐無稽を納得したうえ」で騙されますが、「異常気象」が相手の映画では、あの程度の中途半端なリアルさしか表現できないのでしょうか?

エメリッヒ監督作「インディペンデンス・デイ」でビル・プルマン扮する米国大統領が
「国も人種も関係ない。今日は、人類全員にとっての独立記念日だ!」
と演説するシーンは、無条件に「格好良い!」と思えたのですが、本作中で米国副大統領が(難民となった米国民を受け入れた)発展途上国に対する感謝のスピーチをしたところで、何の感動もないのです。観客がSF大作に求めるのは、 外交や地政学上のキレイゴトよりも、嘘っぽいヒロイズムです。

デニス・クエイドの起用も失敗です。この手の映画の主役に必要なのは、「アルマゲドン」でブルース・ウィルスがみせた「マッチョ」あるいは、「インディペンデンス・デイ」でジェフ・ゴールドブラムがみせた「知性」のいずれかでしょうが、デニスの演技からはどちらも伝わってきませんでした。「臭い」「わざとらしい」と思わせるくらいのわかりやすさが欲しかったです。デニスは、所詮「インナースペース」「グレート・ボールズ・オブ・ファイヤ」クラスの俳優です。

氷河に閉ざされたNYの空が突然に晴れ上がり、人々が救出されるという唐突で無節操な展開には、開いた口がふさがりませんでした。
 

「世界の中心で愛をさけぶ」 2004年5月16日

六本木ヒルズで映画「世界の中心で愛をさけぶ」を観ました。片山恭一の200万部ベストセラーの映画化であり、まして長澤まさみ出演作とあらば、美少女マニアtobyにはマストの作品だったのですが、正直いって、ティム・バートン「ビッグ・フィッシュ」を観たほうが良かったかなと、後悔しています。

原作はずいぶん前に読んで、すぐに長女にあげたので、詳しくは覚えていませんが、原作と同じ「ベタな白血病悲恋物語」に徹したほうが、まだましな映画だったような気がします。「13年間渡すことができなかった思い出を届ける」という新しい設定は面白かったのですが、結局「ベタ」も「13年間」も十分に描ききれず、オーストラリア・ロケの空撮シーンと平井堅の切ない歌声でごまかしてしまいました。だいたい、アキの思い出をあれほど引きずっている、朔太郎と律子がこのまま一緒になっても幸せになれるとは思えません。また、朔太郎が、現在の婚約者を、亡くした思い出の「後片付け」扱いする感覚にも、また、律子がそれを受け入れる感覚にもついていけません。

大沢たかお、柴咲コウ、森山未来、長澤まさみ、いま旬の俳優たちがすばらしい仕事をしました。山崎努に至っては「神」のごとき存在感。これだけのキャストを集めていても映画が面白くないのは、やはり脚本なのでしょうか?それともダンディ坂野でしょうか?

長澤まさみは剃髪までしてがんばりましたが、最期までまるまると健康的で、映画「命」で豊川悦司が演じた癌患者のリアリティには、残念ながら足元にも及びませんでした。鈴木杏・蒼井優の「花とアリス」コンビに、多少遅れをとったようです。綾瀬はるかと並んで、制服や体操服の似合う美少女です。着られるうちに、もっともっと名作と出会うことができるといいですね。そして、これぞ長澤まさみ!という名演を見せてください。

ウォークマンIIは懐かしかったです。
 

「名探偵コナン 銀翼の奇術師」2004年4月17日

ヴァージンシネマで「名探偵コナン 銀翼の奇術師」を鑑賞しました。

お約束の、江戸川コナン誕生秘話(誰もが知っている!)から始まって、犯行予告手紙文の謎解き、毛利小五郎の大ボケ、怪盗キッドとの知恵比べ&空中戦、殺人事件の謎解きと、ストーリーはテンポよく続きましたが、従来の劇場版とはずいぶん趣きが違いました。本来、「劇場版 名探偵コナン」の面白さとは「殺人事件の謎解き」×「その背景にある壮大かつ感動的な歴史」×「毛利蘭に正体がバレそうになるコナン」から生まれる緊張感なのですが、どれも中途半端でした。

本作を一言でいうならば「エアポート2004 featuring 江戸川コナン」です。着陸のシーンは思わず両足に力が入ってしまう臨場感でした。いつもとは違う種類の、でもやっぱり良質のエンタテイメントです。
 

花とアリス 2004年3月28日

日比谷で映画「花とアリス」を観ました。

独特の映像と音楽を通して、雰囲気だけは十分に伝わってくるのですが、ストーリーにメリハリがなくダラダラした、いかにも岩井俊二っぽい(?)作品。(実際には、岩井監督の作品はあまり観ていないのですが、そういうイメージは強いです。)途中何度も、本気で席を立とうかと思いました。

もっとも実際の女子高生の生活に、例えば「台風クラブ」のような事件や「セーラー服・百合族」のような刺激的な題材が、ゴロゴロしているはずもなく、実はああいう展開が一番自然なのかもしれません。席を立とうと思った理由は、意味のない挿話(相田翔子の掃除、広末涼子の電話など)であったり、作業が丁寧でない場面のつなぎとかが続いたせいかもしれません。

鈴木杏、蒼井優の二人は、予想を遥かに上回る名演!天真爛漫な女子高生の顔、嘘をつくときの顔、オーディションでの不安げな顔、嘘がばれたときの顔、涙ながら告悔する顔・・・。芸暦十分な二人とはいえ、まだまだ十代!どうしてあれだけ人の心を動かす表情が作れるのでしょうか?すでに鈴木杏は、大竹しのぶと舞台で共演しました。蒼井優もTV、映画、CMで抜群の存在感をアピールしています。実に将来が楽しみな二人です。

大沢たかおは、チョイ役ながら、今までみた中で最高の演技。どうやらこの人は、軽いキャラのほうが合っています。北陽の虻ちゃんやテリー伊藤もよかったですが、写真好きの同級生を演じた黒澤愛が抜群でした。この子の将来は、菅井きんか?市原悦子か?これまた楽しみです。

「エクソシスト2」 2004年3月6日

先日、表参道ブックオフで中古DVD「エクソシスト2」を750円(!)で売っていたので思わず購入、今日ゆっくりと観ました。学生時代以来の、懐かしい再会です。当時、北高写真部OB仲間で、コクモの真似をしてイナゴの大群を追い払うアクションが大流行(?)したことを思い出します。

センセーショナルな第一作に比べるとずいぶんと難解な作品。(かなり後で「羊たちの沈黙」のヒットを意識して作成された第三作は、この数倍難解でした。)現代精神医学であっても、キリスト教組織であっても、リーガンを救うことはおろか、邪悪に対峙することはできず、結局は「リーガン本人および、エクソシズム(悪魔祓い)を行う神父個人の勇気がすべて」という展開。二人の精神のシンクロが象徴的です。そういう世界観が好きな人にとっては、多少物足りない「テーマの掘り下げ」、一方、第一作のシークエンスとしてのストレートな恐怖を求めた人にとっては、ひたすら難解である本作品は、どうにも中途半端な内容だったように思います。ちょうど原田美枝子「地獄」が、そんな映画だったのではないでしょうか?

個人的には、リンダ・ブレアがいい女、失礼!いい女優さんになったと感じられるという意味で、結構好きな作品です。第一作のストレートでビジュアルな怖さよりも、いろいろと考えさせられるという意味でも、興味深い作品です。

悪魔にとりつかれた南米の女性が「ポルケ?(why?)」と懇願するシーンを見て、当時は「ポルケ」が崇高な宗教用語だとばかり思っていました。そういえば、最新ホラー映画「ゴシカ」でも「 why me? 」というキャッチが使用されています。決して偶然ではないでしょう。「エクソシスト」シリーズは、その後のホラー映画全般に、いろいろな場面で多大な影響を与え続けています。

「ゴシカ」のハル・ベリーはオスカーを取ったこともある女優さんなのですね。全然知りませんでした。スパイク・リーの「 Do the right thing 」だか「 Jungle fever 」に出演していたらいしので、必ず見ているはずなのですが記憶にありません。ちょっと注目したい人です。

DVD「 SKI JUMPING PAIRS 」2004年2月29日

山根夫妻から、最近売れているらしいDVD「 SKI JUMPING PAIRS 」を借りて観ました。スキーのジャンプにペア競技ができたという想定のもと、同じ板の上で二人のジャンパーがとる様々な空中姿勢をCGで作り上げたお笑い作品。飛形のアイデアも面白いのですが、淡々とした実況中継が絶妙で、スネークマンショーの桑原茂市を彷彿とさせます。

本作をみていると、改めて最近のCG技術の凄さと恐さを感じます。本来はありえない、生身の人間には実行不可能なジャンプが実にリアルに表現されています。CGを使えば、私でも空を飛んだり、ボブ・サップに卍固めをかけたり、小泉今日子とデートしたりと、何でもできるのです。本作中で、競技中に板から落下するシーンがいくつかありますが、妙にリアルでどきどきします。映画やTVゲームで、高水準のCGを当たり前に受け入れている子供たちは、いったいどう感じるのでしょうか?現実と仮想世界の境界線をきちんと意識したうえで楽しんでくれれば良いのですが・・・。

「ドッグヴィル」2004年2月22日

カップルでいく映画ではありません。涙も笑いもありません。これだけ苦い映画は初めて観たような気がします。不安、偽善、嘘、裏切り、暴力、復讐といった形で出現する「人間の弱さ」について、じわりじわりと問いかけられ、3時間後、映画館を出るときはグレース同様、重たい鉄の首輪をはめられたような気分でした。

途中までは聖書の挿話のように物語が進むのですが、「弱さ」が徐々に「傲慢さ」という牙を剥き始め、最後には「最強の傲慢」がすべてを制します。貧村の住民だけでなく、すべてを許す殉教者のようであったグレースですら「弱さ」と「傲慢さ」を内在していたことが、ショッキングでもあり、きわめて現実的でもありました。(「宿命」は和賀英良一人が背負うものではなく、「狂気」はカーツ大佐一人に宿るものではないのです。)そして、ドッグヴィルが、実はどこにでもあるコミュニティであることに気づいたとき、苦さは3倍に増えました。

ラース・フォン・トリアー監督作品は初めてでしたが、これから長らく付き合うことになる作品になりそうです。本当に中身のある映画に、豪華なセットや凝ったCGは不要であることも知りました。現実感のないセットのおかげでしょうか?凄惨な場面でも、妙に淡々と観ていたような気がします。グレースを演じるニコール・キッドマンは文句なし。

「タイムライン」 2004年1月25日

今日は六本木ヒルズのヴァージンシネマで「タイムライン」を観ました。

SF大作とはいえませんが、「インナースペース」「アビス」「コア」クラスの佳作で楽しめました。家族やカップルでの鑑賞がお勧めです。個人的にヨーロッパ中世の世界があまり好きでないのですが、当時の戦闘のスケール感がリアルに描かれていて面白い展開でした。マレックは格好良すぎでした。

ヴァージンシネマの客席は全体に階段状になっているので、画面を見上げる必要がなく、とても快適です。

「半落ち」 2004年1月24日

掲示板で人気の映画「半落ち」を観ました。アルツハイマー介護や臓器移植ドナーといったテーマを、あれだけの名優陣が演じる作品で、感動できないはずはありません。途中何度か涙がつーと毀れ、ラストシーンでは体が震えました。

寺尾聡&原田美枝子の圧倒的存在感を表現する言葉が見つかりません。「折り梅」では介護する側の苦悩を演じた原田が、今回は、自分自身がこわれゆく不安と悲しみを見事にみせてくれました。高島礼子、奥貫薫の二人は、それぞれに素晴らしい「妻」を演じ、吉岡秀隆は、ドクターコトー同様、軽そうで重たい演技でドラマ後半を盛り上げました。樹木希林は、まだまだ進化しつつあります。最近観たなかでは、「命」での柳美里の母親役に並ぶ怪演でした。(柴田恭平&田辺誠一だけは、ハズレでした。)

最近観た「ジョゼと虎と魚たち」「死ぬまでにした10のこと」においては、誰もが我々と等身大で、弱さもずるさもある役柄で、別離や死の残酷ささえサラリと描いていた映画であったのに対し、「半落ち」はずっしりと重量感のあるドラマでした。

ただ、エンドロールで森山直太郎の歌を聞きながら思ったのですが、物語前半の「警察および検察の組織腐敗」についてのエピソードおよび、中盤の「人間は何のために生きるか?」の問いかけが、いつのまにか薄まっていました。「捏造された調書」問題が契機になって、検事・弁護士・判事・メディアのそれぞれが、自分自身の「生きる意味」を通して裁判に臨んでいく展開が、恐らく原作ではしっかりと描かれているのでしょうが、2時間の映画では中途半端な印象でした。

「ジョゼと虎と魚たち」 2004年1月18日

今年の映画第一号は、掲示板で有紀子さん絶賛の「ジョゼと虎と魚たち」。新春早々いい映画とめぐり合いました。緻密でリアルな脚本を、若くて才能あふれる役者さんがきちんと演じた佳作です。

香苗が、恋敵ジョゼに言う
「だって、あの人(妻夫木扮する恒夫)そんな立派な人と違うもの」
というセリフに象徴されるように、役の誰もが、弱さも嫌らしさも持ち合わせた「普通の人」だからこそ、我々にも共感できるリアリティがありました。「トキメキ」と「セツナサ」。久しぶりに観た、本物の恋愛映画です。ジョゼが、初めて恒夫に弱さをみせ、
「帰らんとって・・・」
としがみつくシーンには胸がしめつけられました。

観客には、始めからいつか終わることがわかっている恋愛。交通事故や白血病でなく「よくある理由」であるところが(多少唐突ではありましたが)これまたリアルで、あっけにとられ涙も出ませんでしたが、最後の「焼き魚」で、心がすっとまとまりました。

こんな気持ちになれる恋愛はとてもできませんが、若い頃に、こういう映画に共感できるだけの体験ができたことは幸せだと思います。

金井晴樹君が最高でした。

映画「死ぬまでにしたい10のこと」2003年11月16日

六本木ヒルズのヴァージンシネマで映画「死ぬまでにしたい10のこと」を観ました。過度なお涙頂戴ではなく、最後はモノローグでサラリと締めくくるあたり、とてもよくできた演出。出演者一人ひとりのセリフの意味が重たく、原作も読んでみたくなる映画でした。ただ、タイトルだけは、原題「 my life without me 」のほうがしっくりきます。

私なら、どんなトップ10リストになるのでしょうか?主人公アンが行った「娘達が18歳になるまで毎年贈る誕生日メッセージを録音する」は、ぜひ真似してみたい項目です。一方「夫以外の男性とつきあってみる」は如何なものでしょうか?決して自棄になったのではなく、刺激の少なかった人生を悔まずに済むよう、淡々と他の男性と関係を重ねる狂気は、どうも納得できません。仕事や遊びを通して、それなりの刺激を受け続けている男性と違って、専業主婦の人生ってそんなものなのでしょうか?

死の宣告をする気弱な医師、ダイエット命の同僚、監獄の父、隣に住む看護婦、出演者の誰もがいい味出しています。元ブロンディのデボラ・ハリーは、カッコいいおばさんになりました。

映画「アイラブピース」2003年10月17日

有楽町マリオン朝日ホールで行われた、映画「アイラブピース」完成披露試写会にでかけました。監督や俳優による簡単な舞台挨拶だけの、よくあるロードショー初日なんかとは比べ物にならないくらい、ゴージャスな試写会でした。

まず、エレベーターで宍戸錠と一緒だったことで驚いたのですが、よく考えれてみれば、息子の宍戸開が出演しているので、当然といえば当然のことでした。

セレモニーの始まりは、映画の主題歌を担当した小野正利の歌。驚いたことに、唯一のヒット曲「 You're The Only・・・ 」の替え歌でしたが、あのきれいなメロディと歌声を生で聴けたのはラッキーです。

次はいよいよ舞台挨拶。監督の大澤豊氏、出演者の忍足亜希子、林泰文、宍戸開、三船美佳、佐藤康恵、岡崎愛、アックバール氏。そしてロケ中通訳で活躍したフローラ・ジャスミン。何よりも、忍足さんの美しいこと!軽く眉間にしわを寄せながら、懸命に手話で語りかける様子を見ているだけで、「黄泉がえり」「auのコマーシャル」「半年くらい前やっていたウルルン風の特番」などの、美しく感動的なシーンが目に浮かび、思わずうるうるとこみ上げてきます。どちらかといえば、三船美佳の方が美人顔なのでしょうが、忍足さんの内面からにじみ出る美しさには神々しさすら感じます。

舞台挨拶には、パリザット役のアフガン少女アフィファも来るはずでしたが、残念なことに航空機トラブルで来日できず。ジャスミンが代読したアフィファのメッセージは感動的でした。曰く、
「(地雷で片足を失った)パリザットはアフガニスタンそのもの。傷ついて、自信をなくしている。周囲の手助けで、自ら歩き出そうと努力している」
パンフレットに掲載されている彼女のメッセージも、ずしりと重たいです。
「私の国は、私が生まれるずっと前から戦争をしていました。だから平和がどういうものかよくわかりません。ただ、地雷の恐怖から開放され、どこでも自由に歩けることが平和なら、私は平和を愛します。」

ゴージャスの極みは、秋篠宮妃紀子様が来場され、一緒に試写をご覧になったこと。グリーンのスーツが目に鮮やかな紀子様は、上映後、忍足さんに手話で話し掛けられましたが、それはそれは優雅な振る舞いで、会場中をうっとりとさせました。退場の際は、忍足さんとも紀子さまとも1メートルの近さまで超接近!ゴージャスでロイヤルな瞬間でした。

さて、映画「アイラブピース」。正直いって脚本が甘い・・・いまどき北高映研でもあんなクサい展開の映画は作りません。そんなふうに感じてしまうのは、普段我々がハリウッド映画やTVドラマで、メリハリあるストーリーや演出、巧妙なCGなどに慣らされているせいでしょうか?それとも、何十年もの間、映画制作のなかったアフガニスタンでの撮影には、いろいろな制約やご苦労があったせいでしょうか?私の想像ですが、あまりにも描かれている「現実」が凄すぎて、どんな映画の演出もかすんでしまうのではないでしょうか。

 アフィファ自身、地雷で片足と家族を失ったという現実。
 アフガニスタン全土が、今でも大量の地雷に覆われている現実。
 国中が貧しく、ひとり立ちできない現実。
 人々の表情に笑顔が少ない現実。
 ろう者が、いまだに社会的ハンディキャップ(欠格条項)を背負っている現実。
 モデルとなった大田市石見銀山の中村ブレイス社が、火災に遭ったモンゴルの少年などの義肢をつくるなど、感動的な活動を続けている現実。
 カブールは砂煙に覆われ、石見銀山は緑と桜と藤に囲まれている現実。

無理やり詰め込んだ(?)美しい島根県内観光名所の数々も、ストーリーの流れを断ち切る無粋な邪魔者でしかありませんでした。アフガニスタンと違い、どこでも安心して歩けることを明確な対比するため演出として見せるのであれば、我慢もできるのですが・・・。

DVD「 Preacher's Wife(天使の贈りもの)」2003年8月23日

クリスマスを描いた名作は「34丁目の奇跡」「ホームアローン」「クリスマスキャロル」「ナショナル・ランプーンズ・クリスマス・バケーション」など、いろいろとありますが、本作の情景も美しく、暖かく、心豊かになれます。アメリカに住んでいた頃にも感じていたのですが、家々の飾りつけ、凍てつくなか帰宅した瞬間の我が家の明るさと暖かさ、クリスマスショッピングや音楽の楽しさ・・・あの季節特有の「幸福感」は、奇跡の存在を予感させます。

全編に流れるホィットニー・ヒューストンの歌は「ボディガード」の時ほどの力み(♪エンダ〜ア〜イヤ〜♪)もなく、サントラもヒットしませんでしたが、クワイヤの見事さと相まって、心地良いです。「 I Believe in You and Me 」さらりと歌っていますが、名唱です。

というわけでこの映画は、観客が共有するクリスマス特有の幸福感とホィットニーの名唱だけに頼ったC級作品でした。アメリカで夜7時台によくTV放映している、ファミリー向けコメディのほうが、よほどマシなストーリー展開です。グレゴリー・ハインズ扮する悪徳不動産屋は、どうしていとも簡単に改心したのでしょうか?デンゼル・ワシントンには、いつものような緊張感漂う役柄が似合います。

グレゴリー・ハインズは、主演映画「 TAP 」でも、ビリー・クリスタルと共演の「 Running Scared 」でも、ひたすら渋くてクールで、大好きでした。8月9日がんのため57歳の若さで亡くなられました。合掌。
 

DVD「エイジ・オブ・インノセンス」2003年7月20日

ウィノナ・ライダーに関する本はいくつも読みましたが、いずれも初期ウィノナの名作は「ヘザーズ」であるとしています。これには私も大賛成で、「 dear diary... 」で語られる彼女のパラノイア性は、共演クリスチャン・スレーターのそれを遥かに凌駕していると言えます。彼女が、それをそのまま、フランシスFコッポラやゲイリー・オールドマンにぶつけていたならば「ドラキュラ」は、まったく違った、それこそ後世に語り継がれる名作になっていたことでしょう。

中期ウィノナ(最新作「ミスター・ディーズ」までは中期と呼ぶことにします。彼女には、まだこれから何十年も輝いてほしいのですから)の名作選びには、ほとほと苦労します。一般的には、グラミーにノミネートされた「若草物語」がそうでしょうし、「 Reality Bites 」も、大仰なコスプレでない等身大の彼女自身を演出できたという意味で、快作ではあります。マーティン・スコセッシ監督作品の「エイジ・オブ・インノセンス」は、今日初めて観ましたが、やはり話題にならなかった映画とは、こういうものなのでしょうか?「ギャング・オブ・ニューヨーク」を観てみたいという気持ちも失せてしまいました。いったい、本物のウィノナを引き出してくれる監督や作品はないのでしょうか?

さて「エイジ・オブ・インノセンス」。一般の映画ファンの方々であれば、はじめからニューランドとエレンの許されない純愛に感情移入して観るのでしょうが、ウィノナマニアの私は、ニューランドをずるい、汚い、最低の男として観ていました。ところが最後の最後に、実はNY社交界、そしてその「しきたり」にどっぷりと浸かったメイ(=ウィノナ)が、とんでもない輩であることがわかって、実は本作がある意味で大変恐ろしいホラー映画(?)であることに気付かされるのです。同じ社交界に身をおきながら、メイとローズ(ケイト・ウィンスレット=タイタニック)とは正反対の女性なのです。

こんな面白いストーリーの多くを、マーティン・スコセッシ監督はこともあろうに、ナレーションで流してしまいました。ニューランドがパラソルにキスしたり、エレンの手袋を脱がせるシーンは斬新なエロスに満ち溢れていますが、もっともっと、ウィノナやミシェル・ファイファーに演技をさせて、ストーリーを語らせても良かったのではないでしょうか?「目線で殺せる」稀代の名女優2人の使い方が根本的に間違っています。

それにしても、ウィノナは綺麗です。
 

DVD「 Once Upon A Time In America 」2003年7月12日

DVD「 Once Upon A Time In America 」は、語る言葉がみつからないほどの名作です。「一番好きな映画は?」と問われると、常々「ディア・ハンター」と答えていますが、「ワンス〜」も負けずに素晴らしい作品です。劇場では観ていないのですが、この10年以上VHSが擦り切れるほど観て、いままたDVDで感動しています。ギャングスターが題材なので、残念ながら私の嫌いなバイオレンス流血シーンは少なからずありますが、それでも好きなのです。「ワンス〜」は、そんな嫌なものすべてを超越する「友情・時代・記憶・愛と憎しみを描いた、壮大なお伽話」なのです。

マックス(ジェームス・ウッド)の直情を、いつもはぐらかすヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)。
年老いても、ファット・モーの店にすぐには入らない用心深いヌードルス。
最愛のデボラには、最後まで裏切られ続けるが尊厳を失わないヌードルス。
デ・ニーロ様のファンにはこたえられない229分間(!)です。「ディア・ハンター」では、彼のベトナム帰還を待ちわびて集まった友人に合わせる顔がなくて、結局一晩待たせたうえ帰してしまうシーンが象徴的でした。相手の言動にストレートに反応することができず、必ず一歩引いて熟考し苦悩する、あのデ・ニーロのスタイルが「渋すぎ」です。私には真似できません。

ところで、私が一番好きなシーンは、子供が我慢できずにケーキを食べてしまう、ストーリーとは直接関係のない挿話だったりするのです。そんな子供でもいっぱしのギャングスター、撃たれて死ぬときは「滑っちまったよ」と強がりを言ったりします。クールすぎます。

デボラは、どうしてもヌードルスを捨てなければいけなかったのか?
いったいマックスは、自殺したのか?
ラストシーンのヌードルスの笑顔の意味は?
観るものの想像力をかきたてる、名画です。

エンリオ・モリコーネによる音楽も素晴らしいです。パン・フルートの音色だけで、ロウワー・マンハッタンのセピア色の景色が蘇ります。「デボラのテーマ」のストリングスの美しさは心が震えます。ロングアイランドのフレンチ・レストランを借り切って、「デボラのテーマ」生演奏を聴きながら、奥さんと一緒に食事できたら、それはそれは素敵でしょうね。

映画「コア」 2003年6月14日

六本木ヒルズのヴァージンシネマでギャガの新作「コア」を観ました。超人気スポットのシネコンとはいえ、土曜日の朝9時45分から映画を観る物好きは少ないようで、結構空いていました。観終わってロビーに出ると、すごい人だかりでしたので、やはり映画を観るなら「朝」です。

スペースシャトル着陸シーンや、宇宙からの電磁波に大都市が破壊される様子は、とても凝った作りで、手に汗を握りましたが、肝心の「コア」シーンは、誰も実際に見たことのない場面を想像CGで作り上げるしかなく、TDS「センター・オブ・ジ・アース」の地底セットや、映画「インナースペース」の体内シーンのような、中途半端な嘘っぽさが気になりました。どうせなら、ティム・バートンのような「徹底した」嘘っぽさという手もありますが、こういう真面目な映画の場合、その選択肢は無理でしょう。

人間関係や心理描写もあっさりしており、アルマゲドンのような「さあ泣け!ここで、いっぱい泣け!」という演出はありませんでした。十分楽しめる映画ですが、「アルマゲドン」「インディペンデンス・デイ」を期待してはいけません。「スペースキャンプ」「インナースペース」「ボルケイノ」「アビス」級の映画です。

映画「風の絨毯」2003年5月31日

亡くなった奥さんがデザインしたペルシャ絨毯を受け取りに行った日本人の親子と、イスファハンの人々の交流を描いた映画。

「愚かで、嘘つきで、どうしようもないけど憎めない」イラン男性と、「働き者で、正直で、しっかりした」イラン女性のユーモラスな対比、そして、それらを凌駕する、子供達の純粋な思いと行動力、表情が素晴らしい映画でした。織り手の手際も見事に、美しい絨毯が出来上がっていく様子も興味深かったです。

とはいえ、フラストレーションのたまる映画でもありました。絨毯が完成したら帰ってしまう少女に対するイラン人少年の悲しみ、相手をそっと見つめるイラン人夫婦、単純なストーリーの中に様々なエピソードがあったのですが、描写も絞込みも中途半端。「ウルルン」のほうがずっとマシです。ラストは、とても大切な、あんなにいいシーンなのですから、ケチらずにいいレンズで一気にズームインするとか、CG処理するとかできなかったのでしょうか?工藤夕貴本人が、キネ旬のインタビューで語っていましたが、日本国内シーンのつくりも酷いです。三国連太郎を使えばそれでいい、というものではありません。

子役の柳生美結は本当にいい表情しています。かつての天才少女工藤夕貴は、綺麗で優しいお母さんを余裕で演技。そして、イランの大滝秀治(?)痴呆気味のおじいさんが最高にいい味でした。

DVD「ムーラン・ルージュ」2003年5月9日

「CHICAGO」にも負けないエンタテイメントです。ストーリーは、「恋に落ちたシェイクスピア」を彷彿とさせますが、思わずニヤリとさせる選曲(およびセリフ)と、CGを上手く取り入れた早いコマ割りのせいでしょうか?「恋に〜」ほどスカスカしていなく、テンポよく楽しめます。例えば、この映画をティム・バートンが作ったら、どんな画像になるか?なんて、考えてしまいました。

屋上で愛を語る「エレファント・ラブ・メドレー」は、ディズニー映画「アラジン」のマジック・カーペットのシーンを、また「エル・タンゴ・ロクサーヌ」〜「ザ・ショウ・マスト・ゴー・オン」へと続く悲愴感は、「スターウォーズ〜帝国の逆襲」で、ルーク・スカイウォーカーがダースベイダーの息子であることを知らされるシーンを、思い起こさせます。そうそう、詩の朗読に身もだえするニコール・キッドマンの演技は、コメディ映画「 A Fish called Wanda 」で、ジョン・クリースのロシア語やイタリア語に興奮する、ジェイミー・リー・カーティスを思い出しました。(ジェイミーは、エディ・マーフィー&ダン・エイクロイドの「 Trading Place(大逆転)」でも、存在感ある演技。美人ではありませんが、大好きな女優です。)

それにしても、海外のエンタテイナーは、「CHICAGO」の主役3人もそうでしたが、「ムーラン〜」のニコール・キッドマンも、ユアン・マクレガーも、演技はもちろんですが、どうしてあれほど、歌もダンスも上手なのでしょうか?「天賦の才能」×「子役時代からの努力による、揺るがぬ基礎」×「幸運」=真の才能(タレント)です。日本で人気があってタレントと呼ばれている人はたくさんいますが、「わずかな才能」と「驚くほどの幸運」だけの人が多すぎます。テツ&トモは、早く引退してサラリーマンにでもなりましょう。

映画「CHICAGO」2003年4月27日

こんな面白い映画は久しぶりです。ジャンルは全然違いますが、初めて「スターウォーズ」観たときの楽しさに匹敵するのではないでしょうか?とてつもなく猥雑で、狡猾で、スキャンダラスで・・・大体ワルが皆なこんなに格好良くてもいいのでしょうか?とはいえ、ストーリー展開、ダンス、楽曲、それらすべてが超一級品です。ミュージカル好き、ショービズ好き、エンタメ好き、楽しいこと好きの方は必須です。本作のオスカー6部門受賞は当然のことです。「戦場のピアニスト」は、正直いって足元にも及びません。赤坂ACTシアターにやってくるブロードウェイ版「CHICAGO」も観たくなりました。

そういえば、滞在中一度も行かなかったのですが、シカゴのダウンタウンにこのミュージカルと同じロゴのシカゴ・シアターという劇場があります。そこではきっと素敵なショーが見られるのでしょうね。将来自由な時間とそこそこのお金が手に入ったら、一度ノンビリと家族で米エンタメ・ツアーしたいです。

映画「星に願いを」2003年4月27日

竹内結子、この1年間で二作目の「ヨミガエリ」ものです。どうしても大ヒットした前作と比較されてしまうのか、公式BBSでも驚くほど辛口批評が多いですが、原作に忠実に丁寧に作られており、最後の20分はしっかりと泣けました。涙を流すために1,800円払った私にとっては、十分に満足できる映画です。竹内結子は本当に演技が上手くなったし(前作同様、最後はやたらと走っていました)、牧瀬里穂は何だかすでに大御所的存在感があるし、中村麻美は「白い船」の時より肩の力抜けていて等身大の演技だし、そこまで批判しなくてもいいと思います。カフェの仁さんが、笙吾を殴るシーンは原作にない演出でしたが、あれで「人が死ぬとはこういうことなんですね」の意味が、より明確になったような気がします。

「ヨミガエリ」「憑依」もので涙を誘う映画は、安易でズルいという批評もありますが、こういうジャンルこそが映画ならではのファンタジーです。「天国から来たチャンピオン」「 Chances Are 」「 Switch 」どれも大好きな映画です。

映画「名探偵コナン 迷宮の十字路」2003年4月20日

早起きして「名探偵コナン 迷宮の十字路」観に行きました。朝の8時半からコナン観ている人は少ないだろうと思っていたのですが、草加松原シネマは小中学生で満席でした。内容は、いつもながら「小中学生に独占させるにはもったいない」面白さでした。ストーリー、謎解き、テンポ、映像、すべてが一級品です。お約束の、工藤新一登場シーン、チェイスシーンの3DCGは盛上がりました。お奨めですよ。

映画「黄泉がえり」2003年3月2日

次女Kが、
「泣いたぁ!」
と絶賛していた映画「黄泉がえり」を観ました。え!今頃?と思われるかもしれませんが、草加松原団地では今週からロードショーです。

予想以上に、よくできた映画でした。予想通り(?)原作負けだった「T.R.Y」とはずいぶん違います。再会や死別のシーンをあれだけ盛り込めば、泣けるのは当たり前かもしれませんが、草薙剛&竹内結子の主演2人の演技は光っていました。黄泉がえりの理由とか、役場の対応とか、ややこしい説明をすべて省いたことが、わかりやすい作品になった理由でしょうか?ただ、黄泉がえった一人ひとり、そして周囲の人々を結ぶ、感動や戸惑いのエピソードを、もう少し踏み込んで描いて欲しかった気がします。そういう意味では、映画よりも連続TVドラマ向きかもしれません。

前の席に、行儀の悪い女子中学生7人組がいたのは残念でした。お喋りをしたり、マクドの紙袋をガサガサさせるのはまだ我慢できますが、途中ケータイでメール打つのはやめて欲しかった。液晶画面がやたらと明るくて、目障りでした。終わってから説教してやろうと思いましたが、私が涙ボロボロ顔だったので、恥ずかしくてできませんでした。

映画「戦場のピアニスト」2003年2月15日

「おすぎに騙された」
とまでは、言いませんが・・・。

「戦場のピアニスト」を観に行きましたが、期待が大きすぎたのでしょうか?どうもピンときませんでした。これは決して音楽映画ではありません。「食」と「生命」の映画です。追い詰められたユダヤ人が、生きるためにありとあらゆる「食」を求めるシーンの連続、これだけ「食」にこだわった映画は「タンポポ」以来です。主人公がドイツ将校の前で弾くピアノは、さすがに鬼気迫るものがありました。

今、米英のイラク攻撃に反対するドイツが、60年前にはあれだけ残忍な行為を繰り返していました。フセインを擁護する気持ちはありませんが、やはり戦争はやめましょう。査察と外交努力を続けましょう。

映画「裸足の1500マイル」2003年2月1日

シネスイッチ銀座で、ギャガ配給の最新作「裸足の1500マイル」観ました。

感動した、といえばもちろん感動したのですが、それよりも「悲しい」映画でした。現代の常識で考えれば、明らかに間違っている「隔離同化政策」を、当時の白人は正しいこと、善であると信じて一生懸命なのです。途中助けてくれる白人一人ひとりは(真の意味で)人道的な常識人なのに、政策に関わる警察や教会といった組織の人間はみな愚かです。

最後は無事に家族のもとへ帰ったのですが、途中で捕らわれた一人が2度と帰らなかったり、その後モリーが何度も捕まったり、と「事実は単純なハピーエンドでない」ことを知らされるのも、悲しい映画たる理由です。シドニー・オリンピック開会式で、アボリジニの女性アスリートの登場が、何故あれだけの感動を呼んだのか、その理由がわかりました。

映像と音楽も素晴らしく、親子が再開は果たすシーンの背景の空の色なんて忘れられそうにありません。

おまけ。実は今日は「映画の日」で、埼玉県内では1千円でロードショーが観られるので、草加に帰ってから織田裕二主演「T.R.Y.」も観ました。井上尚登原作のスピード感を活かしつつ、後半は更なるドンデン返しを加えていましたが、そこまで。1千円の映画でした。

映画「 JAM FILMS 」2003年1月13日

2003年最初の映画は、オムニバス邦画「 JAM FILMS 」。渋谷シネアミューズで観ました。

テーマも共通項もない短編映画の羅列を、果たしてオムニバスと呼べるのかどうか知りませんが、7つの短編の中には、
(1)エッセンスがギュっと詰まった、長編もぜひ観たくなる映画
(2)短編だからちょうど良かった、そこそこの中身の映画
(3)オムニバスに入れないほうが良かった映画
の三種類が混在していました。一つひとつの短編の出来には触れませんが、個人的には、ひとつの長編をじっくり楽しむほうが好きです。オープニングのCGと、3人の女優(「けん玉」の篠原涼子、「 PANDORA 」の吉本多香美、「 JUSTICE 」の綾瀬はるか)には惚れました、抜群でした。

篠原涼子といえば、最近の洗顔料のCMも大好きです。洗顔後のノーメイク眉毛ぼさぼさ顔を惜しげもなく披露するあの潔さ、「冷静と情熱のあいだ」や今日みた「けん玉」の女性の生き方にも通じるようで、カッコいいです。小谷実加子も同じCMやっていますが、小谷さんの場合、整っていて綺麗とはいえ、水泳時代に見慣れているスッピン顔なのでインパクトはいまひとつです。

映画「アイリス」2002年12月22日

シネスイッチ銀座で、映画「アイリス」を観ました。若い日のアイリスとジョン、年老いてからのアイリスとジョンをそれぞれ名優が演じ分け、回想と現実が見事に溶け合った演出が見事。アルツハイマー病で、言葉と記憶を失いつつあるアイリスの恐怖と苦しみ、そして介護するジョンも抱える恐怖と苦しみというテーマを、吉行和子の「折り梅」とは違う視点から描写、佳作です。ただ、多くのイギリス人にとっては常識であろう、哲学的なアイリスの言葉や思想に対して、私はまったく馴染みがないので、ついていけない部分が多く、フラストレーションが募りました。また、ケイト・ウィンスレットの大味な裸身は水浴シーンだけで十分だったように思えます。

映画「至福のとき」2002年12月8日

渋谷ル・シネマで、チャン・イーモウ監督の最新作「至福のとき」を観ました。

「初恋のきた道」の感動を期待して出かけたのですが、まったく違うタイプの映画でした。「至福のとき」は、一言でいうと(決して悪い意味ではなく)「お笑い花月劇場」です。出てくる人が皆な貧乏だけど、とてつもない善人揃いで、薄幸の少女のために一生懸命「嘘」を演じる、可笑しくも心温まるストーリー。主人公のチャオ・ベンシャンなんて花紀京に演じさせたらきっと最高です。もっとも吉本新喜劇には、あんな美少女は出演しませんから、例えば「吉本新喜劇フィーチャリング上戸彩」(そんな企画あるか?)みたいな映画、といえばわかるでしょうか?

それにしても、ヒロインのドン・ジエは、どうして何度も下着姿で登場させられたのでしょうか?(さすが5万人の中から選ばれただけあって、笑顔の美しい美少女ですが、個人的には「初恋のきた道」のチャン・ツィイーのほうが好きです。)

映画「初恋のきた道」2002年12月1日

チャン・イーモウ監督の映画「初恋のきた道」を観ました。何年か前の映画で、ずっと観たいと思っていたのですが、偶然松原団地の映画館で上映され、夢がかないました。

長い間待った甲斐がありました。気が抜けるくらい単純な(それだからこそ感情移入しやすい)ストーリー、息を飲むほど美しく厳しい自然、少女ディのひたむきな想い、そういったものが嫌味なく心に入り込んできて、自然と涙が流れました。ディ役のチャン・ツィイーの笑顔は、形容する言葉が見つからないほどの素晴らしさ。すでにビデオ/DVD化されているので、まだの人はぜひ観ましょう。心がきれいになります。

そういえば、主人公の家の壁に映画「タイタニック」のポスターが張ってありましたが、回想中心のストーリー展開は、少なからず「タイタニック」を意識しているのかもしれません。チャン・イーモウ監督の最新作「至福のとき」を渋谷で上映中のようです。これも観に行こうっと!

映画「ザ・リング」2002年11月9日

有楽町と御茶ノ水に行こうと思っていましたが、松原団地駅に着いて定期券を忘れたことに気がつき、急遽予定を変更、駅前の映画館で今日から上映の「ザ・リング」を観ました。たいして期待はしていなかったのですが、さすがは Dreamworks 。特撮やCGだけでなく、映画としても、とても良くできていました。鈴木光司氏の原作を読み、ギバちゃんのTVドラマを観、松島奈々子の映画まで観た、我々日本のファンはストーリーも結末も全部知っているわけで、妙に日米のディテールの違いばかり追いかけてしまいがちですが、なかなかの出来栄えでした。アメリカでも大ヒットしているようですし、エンドロールに「Ring & Spiral」とあったので、次は「らせん」も期待できそう、矢田亜希子「貞子」vs.ハリウッド「サマラ」の対決です。

DVD「美女と野獣」2002年10月25日

「美女と野獣(Beauty and the Beast)」DVD本日発売。早速購入して、お部屋で鑑賞しました。ロードショーで見て、ビデオを買って、ディズニーワールドでミュージカル・ショーを見て、ワールド・オン・アイスでも見て、その度に涙を流した名作です。タイトルはもちろん名曲ですが、オープニングの「朝の風景」が大好きです。ミュージカルの幕開けにふさわしい、見る者をワクワクさせる佳曲です。画像的には、中盤の、舞踏室で二人で踊るシーンのカメラ(?)ワークが見事で、この空間感覚は、宮崎アニメの空飛ぶシーンとも違う、独特の感覚です。

DVD「 Reality Bites 」2002年10月14日

94年作「 Reality Bites 」観ました。もちろん、ウィノナ・ライダー主演作だから観たのですが、監督兼助演のベン・スティラーの才能に驚きました。出口のない若者世界の現実を陰鬱に描きながら、最後はなんとかハッピー・エンドのリレイナとトロイ。この二人、この先うまくやっていけるのだろうか?との不安定感を、エンドロールの挿入ビデオで笑い飛ばす、という、気の利いた構成。TVシリーズ「ベン・スティラー・ショウ」や、他の監督作品も観てみたいです。ウィノラ・ライダーは、病気も悪霊もパラノイアも暗い過去もない、等身大の女性を演じており好感。万引き(最近、現行犯で捕まったらしいです!)は、悪いことであり、情けないことではありますが、それすら等身大のウィノナだと、妙に身近に感じてしまう私は、すでに「危ないファン」なのでしょうか?

映画「命」2002年10月12日

銀座で柳美里のベストセラー小説を映画化した「命」を観ました。原作を読んでいないので、正確に評することはできませんが、「命が生まれ、消えゆくもうひとつの命を守ろる」素晴らしいモチーフを、あまりにも淡々と描いていて物足りなかったです。大衆は(少なくとも私は)涙を流したくて1,800円払ったのだと思います。どんなに臭くても松田聖子「野菊の墓」(かなり例えが旧いですが・・・)のほうが観客の満足度は高かったように思います。そうでなければ、自殺癖(?)のあった若い頃の美里、日本における癌治療の限界などのエピソードを、もっと掘り下げて欲しかった気がします。江角マキコ、豊川悦司は抜群ですね。

DVD「Boys」2002年9月28日

ウィノナ・ライダー主演の「Boys」DVDを観ました。高校生からみた「ちょっと綺麗であぶないお姐さん」といった役どころは、なんとも当り障りなく、ウィノナマニアとしては物足りない感じでした。「Heathers」の "Dear diary・・・" に象徴されるパラノイア性、「Beetlejuice」でみせた陰鬱さ、「Autumn in New York」でみせた頑固さ、そして息を飲むほどの美しさが彼女の魅力です。

共演のルーカス・ハース君、どこかでみた顔だと思ったら、ティム・バートンの「マーズ・アタック!」で、エイリアン撃退法を発見した、おばあちゃん思いの少年の役を演じていました。地球を救った彼を、廃墟となったホワイトハウスで表彰する、大統領の娘役が、いまや「STARWARS」パドメ役の大スター、ナタリー・ポートマンでした。

映画「走れ!ケッターマシン ウェディング協奏曲」2002年9月27日

「ふるさときゃらばん」製作の映画「走れ!ケッターマシン ウェディング協奏曲」。舞台でみるミュージカル同様、楽しくて、テンポが独特で、ホロリとさせられる名作でした。

美しい日本の田舎の原風景、いつもは誰も歩かない田舎の駅前商店街を埋め尽くした自転車競走の観客、最近ではなかなか見かけない頑固親父を中心とした家族の絆、町興し、中学生の純愛・・・と、相変わらず盛りだくさんのコンテンツ。上条恒彦が突然唄いだして「ああやっぱりミュージカルなんだ!」と妙に嬉しくなったり、「噂のファミリー 百万円の花婿」でお馴染みの稲のダンスが出てきたり、エキストラに羽田孜元首相が登場したり、見所満載です。カントリーエレベーターでの結婚式〜エンディングでは思わず涙がホロリ。お奨めの映画です。

「中ちゃん」こと大塚邦雄をはじめ、沖山稔子、谷内孝志、齋藤勝洋ら、お馴染みの「ふるきゃら」メンバーも、しっかりチョイ役で出演(チョイ役なのに、存在感抜群なのはサスガ!)、思わずニンマリです。

全国1,000ヶ所の公民館・体育館などでロード上映中です。一人でよし、家族連れでよし、ぜひ!ご覧下さい。

映画「夢なら醒めて・・・」2002年9月27日

大好きな憑依もの青春映画だと思っていたのですが、期待はずれでした。

次の展開が容易に読める安易な脚本、人の死を流血でしか表現できない貧弱な演出、とてもCGとは呼べない稚拙な画面合成・・・・んむむ、いつも以上に辛口だなぁ。救いは主演の前田綾花。アイドルは無理にしても、きっといい女優になります。タイトルの「夢なら醒めて・・・・」も耳に残るいい曲です。

映画「オースティン・パワーズ・ゴールドメンバー」2002年9月16日

トム・クルーズ、ブリトニー・スピアーズ、クインシー・ジョーンズ、スティーブン・スピルバーグと豪華ゲストが最初の10分間にどどどどっと登場しましたが、それだけ。お下劣も下ネタも別にかまいませんが、それ以外何もない映画。Yahoo掲示板で「白い船」を厳しく批判した方々も「オースティン〜」と比べたら「白い船」に五つ星つけるのでは?

ただマイク・マイヤーズの名誉のために補足するならば、彼はNBC「サタデイナイトライブ」では大人気。お下劣なだけでなく、器用なパロディにみられるセンスと頭のよさ、そしてタップダンスをはじめとする基本芸をしっかりと身に付けた、生まれついてのエンタテイナーです。「ウェインズ・ワールド」でもそうでしたが、アメリカ人でないとわからないアメリカ時事ネタやエスニック・ジョークが多いので、どんなに邦訳頑張っても限界があります。

映画「エピソード2」2002年7月13日

ジョージ・ルーカス万歳!エピ2万歳!

本日封切りの映画「STARWARS エピソード2」は期待をはるかに上回る、濃密で素晴らしい作品でした。最新デジタル処理による映像や音声、最高レベルのCGやアニマトロニクスといった技術面もさることながら、コンセプト、ストーリー、デザイン、演出、音楽、すべてが濃密で、2時間22分の間息をもつかせぬ展開でした。以下思いつくままに。

○ 25年前の「エピソード4」を最新技術でリメイクしたに過ぎなかった前作「エピソード1」に比べると、はるかに映画としての完成度が高かった。
○ 「エピソード5」と同じ「次回へ続く」で終わったものの、そこへ至る内容が濃密であったため「エピソード5」のような失望感はいっさいなし。
○ 若いファンが大喜びしそうな派手な戦闘やチェイスだけでなく、随所にエピソード4〜6の旧三部作への伏線が張り巡らしてありオールドファンも十分楽しめる。特に、アナキンとルークが同じ悩みと葛藤を抱えていたことは興味深い。
○ 「デジタル・ヨーダ」「出世したジャージャー・ビンクス」「名コンビドロイドのかけあい」とお笑いも少々。
○ 結局は戦争へなだれ込んでいく大きな歴史の流れが、心に重くのしかかる。
○ ジョン・ウィリアムスの音楽が過去最高の出来。特にエンドロールの「アクロス・ザ・スターズ」は、「砂の器」の「宿命」を彷彿とさせる名曲。

「白い船」とどちらが良いかって?いじめないで下さい。どちらも観に行きましょう!

(翌日、「エピソード5」をTVでみて)昨日は批判した「エピソード5〜帝国の逆襲」ですが、あらためて観るとなかなか興味深いですね。当時はよくわからなかったヨーダの言葉の一つひとつに深い意味を見つけることができました。また、ボバ・フェットの宇宙船がジャンゴ・フェットのものと同じで感激しました。(すみません、SWフリークにしかわからない日記です。)

パドメ・アミダラ(前作ではクイーン・アミダラ)役のナタリー・ポートマンがお気に入りです。白塗り(?)の前作よりも活動的で、人間臭く、美しいです。「レオン」や「マーズアタック」の天才子役はまだまだ20歳のハーヴァード大学生。これからが楽しみです。キャリー・フィッシャーよりもずっといいです。

映画「白い船」その2 2002年7月6日

映画「白い船」東京での初日。錦織監督はじめ関係者の皆様おめでとうございます。tobyは14時20分の回を観ました。シネ・ラ・セットは小さな劇場ですが満員。角松敏生や中村麻美の追っかけミーハーだけでなく、本当の映画好きがたくさん集まった、素晴らしい初日でした。

舞台挨拶で錦織監督が
「この映画をご覧になって、感動の涙を流す人と、『ふうん』という反応をする人の二通りのタイプがいらっしゃいます。感動する人からみると『ふうん』の人は、とても汚く見えるのだそうです」
なんて笑いをとっていましたが、tobyは前者。もう涙ボロボロでした。

2月に試写会で観たときも良かったのですが、2回目の今日のほうがはるかに大きな感動を覚えました。静香先生の
「ただ、ただ船から手を振るだけなのに、なんで涙が出るのだろう」
は名セリフです。漁船で追いかけてきたじいちゃんたち、防波堤や家の窓から手を振る塩津の人たちを観て、心の底から温かい感動が湧き上がり、涙を押さえることはできませんでした。

確かに田舎の人ってああなのです。無謀な子供達を叱りもせず、無事であった子供達を涙で迎えます。みんな温かいのです。
「あんな先生はいない」とか、
「田舎は田舎で嫌な部分もたくさんある」
なんて、今日は言わないで下さい。きっと現実はその通りでしょうし、映画「白い船」はあくまでも映画です。でもやっぱり田舎の人ってああなのです。

早坂真紀のストーリーと山口はるみのイラストによる「白い船」(新潮社)を買って、帰りの電車で読みました。また涙が出ました。

「思いは届き、夢は叶うものなのです」
映画「白い船」の宣伝コピーです。自分の大きな夢を追うもよし、子どもたちの小さな夢を大きく育てるもよし。涙を流して心がきれいになった土曜日でした。

映画「名探偵コナン ベーカー街の亡霊」2002年5月6日

マイカルサティのシネコンで「名探偵コナン ベーカー街の亡霊」を観ました。何作か前の「世紀末の魔術師」もそうでしたが、「よく練られたストーリー」「キレイな絵」「殺人事件なのに残酷さや流血を押さえた、安心できる展開」とバランスの良い好作品でした。5年生の次女Kみには、すこし難しいかな?と心配しましたが、喜んでおり安心しました。

DVD「未知との遭遇」2002年4月26日

大好きな映画「未知との遭遇」のDVDを買いました。高校3年のとき雑誌 POPEYE 20号で「『 STARWARS 』と並び、まもなく公開される凄いハリウッド映画!」として紹介された記事を見つけて以来の付き合いです。一番最初のセリフが「 Are we the first? 」と記憶するほど、ビデオでも何度も観た映画ですが、DVDの音と映像は素晴らしく、ファンタジーあふれる作品を楽しみました。

久しぶりに観て改めて感心したことは、「未知との遭遇」で使われたシーンやアイデアが、それ以降(スピルバーグ本人作品であれば当然なのですが)多くのSF映画で使われていることです。
「 STARWARS 」「 Godzilla 」「 Jurasic Park 」「 E.T.」「 Men In Black 」「 Armageddon 」「 Space Camp 」「 Batteries not included 」「 Independence Day 」などなど。
(「 Spaceballs 」「 Mars Attacks! 」は最初からパロディですから、それこそ山のように使われています。)

映画「折り梅」2002年3月31日

吉行和子がアルツハイマーの姑、原田美枝子が悩む嫁、と日本を代表する名女優が演じた佳作。こういう時、ついつい介護する側の立場で見てしまいがちですが、お寺で姑が心情を告白するくだりでは思わず涙。自分もいずれ介護される側になったら、と考えさせられました。

さすがに観客のほとんどが50代以上のシニアの皆さん。でも、こういう映画こそ大人も、子供も、介護老人がいる家庭も、いない家庭も、誰もに観てほしいですね。東京でも2ヶ所でしかロードショーしていないけど、全国まわるのかな?「白い船」同様、良質な邦画です。お近くで上映の際はぜひご覧ください。

それにしても原田美枝子はいいオンナになりましたね。

映画「WASABI」2002年3月2日

「ジャン・レノ−広末涼子」の映画「WASABI」を観に行きました。最近重たい映画ばかり観ていたせいか、え!これで終わりなの?という印象。リュック・ベンソンこの程度かよ?と、言いたくなるくらい薄っぺらな脚本で、「山葵」はまったく効いていませんでした。もっともフランス人観客の目に、広末が、彼女のフランス語が、日本の街や文化がどのように写っていたのか興味あります。実は私は高倉健の「駅Station」以来広末のファンです。今回のはじけたバカ娘の役どころが彼女の女優キャリアの中で意義深いものになればいいですね。

DVD「砂の器」2002年2月24日

最も好きな邦画「砂の器」DVDが発売されたので早速購入、朝からじっくり観ました。感動しました。泣きました。

松本清張の原作も素晴らしいのですが、映画ならではの盛上げかた、特に後半の
 「交響曲『宿命』演奏シーン」
 「特別捜査本部での謎解きシーン」
 「本浦父子の旅の回想シーン」
の3つが絡まって終局へなだれこむ展開は見事です。加えて(これも原作にないのですが)本浦千代吉が生きていて、我が子の写真を見て嗚咽するシーンは何度観ても涙が止まりません。個人的には若き頃の島田洋子様のヌードもたまりません。(島田様には、昔NYのクラブtというお店で何度かお会いしましたが、本当に美しい方です。)

映画「地獄の黙示録(特別完全版)」2002年2月23日

「地獄の黙示録(特別完全版)」観ました。もう頭の中が真っ白です。当初公開時にはカットされていた53分を加えた3時間を越える大長編でしたが、畳み掛けるような狂気の連続であっという間でした。23年前のオリジナル版はいったい何だったのだろう?と思うくらい今日の「特別版」は強烈な体験でしたが、現実の戦争はそれをはるかに上回る狂気なのかもしれません。
「アメリカ軍は最初に徹底的に攻撃しておいてその後で救援活動をする。」
「人を殺すあなたと、人を愛するあなた。あなたは二人いる。」
追加された部分に、考えさせられるセリフがありました。

映画「白い船」2002年2月7日

映画「白い船」の試写会に出かけました。島根県平田市にある日本海を見下ろす小さな小学校と沖合いを航行するフェリーの交流を描いた、予想以上に爽やかな佳作でした。実話に基づくよくできた脚本、大滝秀治の名演、美しい山陰の風景をみごとにインテグレートさせた錦織良成監督の手腕は確かです。角松敏生の音楽もナイスで、ミュージカル「あいと地球と競売人」「ビリーブ・イン・ミー」に続く、島根発の、胸を張って紹介できる良質文化です。ロードショーはもう一度お金を払って観に行きます。松江・平田があんなに美しいところだなんて驚きです。

映画「冷静と情熱のあいだ」2001年11月11日

あれだけ難解な原作を、わかりやすい良質のラブストーリーに仕上げてあり、お見事でした。それでもやはり難解なのは、あおいの心理。冷静であり続けることが悪いとは思いませんが、自分の気持ちも順正の気持ちも十分わかっていながら、何故嘘をついてまで一人になろうとするのでしょうか?絶対に付き合いたくないタイプです。一方の順正は原作ほどストイックでなく、スクリーンみながら自分を同化させやすいキャラで良かったです。

脇をかためるユースケ・サンタマリアと篠原涼子は抜群でした。ユースケはまさに今が旬、何をさせても輝いています。篠原涼子は、あんなにいい女だとは知りませんでした。2人とも原作のキャラを見事に乗り越えていました。

フィレンツェというのは本当に美しい街ですね。途中出てくるミラノや東京が顔をしかめたくなるくらい汚く描かれていたのと対照的でした。美しい映像と音楽だけでも観る価値のある映画といったらほめすぎかなぁ?

「冷静と情熱のあいだ」NG集
その1。1990年の東京をトヨタヴィッツが走っていた。
その2。ミラノの公衆電話であおいが泣き崩れるシーンで、手前は雨が降ってみんな傘さして歩いているのに、交差点の向こう側は晴れていた。

DVD「台風クラブ」2001年11月10日

HMVで、先日亡くなられた相米慎二監督の「台風クラブ」を見つけ、買って帰りました。この映画で描かれている、思春期の行き場のないエネルギー、無意味な衝動、狂気と純粋さにはいつも共感を覚えます。私にとって松江北高の校舎にはそんな思い出がいっぱい詰まっています。写真部の部室、学園祭のステージ、自転車小屋。全部取り壊されて存在しないのですが、それでも思い出だけはいつまでも生き続けます。

それにしても、この頃の工藤夕貴は本当に可愛いです。