その年の夏、私はかなり参っていた。ほんとにどうしたらいいのかわからなかった。
約1年間の海外生活を送っている間に描いていた予測では、今ごろは英語を使った仕事をバリバリ
こなしていたはず。それが帰国以来半年以上も経つのに1つの仕事も決まらない。
はっきり言って、TOEICしかアピールできるものがない私にはむずかしすぎる。しかも私は選り好み
しすぎる。「これがしたい」とはっきりしたものは無いくせに、応募する職業の嫌な部分が目について
しまい、やる気になれないのだ。
でも働きたい。貯金も底をつきた。いい年齢して小遣いをもらい、毎日家にいるのはもう限界だった。
私は長期的な就職はあきらめ、とりあえずなんでもいいから社会復帰しなければ、と焦っていた。
お金もいるし、私自身家族以外の人と関わり合うことが切実に必要だった。
この日、私は失礼な派遣会社に怒りつつも、面接に向かった。
その派遣会社はたまたま携帯サイトで見つけた、無名の会社。小さいだけあって、時給も安いし、営業
担当者もいい加減。「こんな話があるんですけど」と連絡をもらってから面接まで2週間もかかった。
お盆を挟んだとは言え、その間私はなかなか連絡のとれない担当者にイライラし、結局「明日の朝10時
に駅前で待っててください。」と一方的に告げられたことにもムカつきつつも、駅で担当者を待つ。
ちなみに私が電話で聞いていたのは、「通販化粧品の電話受付のお仕事。1週間の研修もあるので安心。
しかも土日含む週5日間、シフト制なので働きながら就職活動ができるんじゃないですか?」ということ。
場所はかなり遠かったが、交通費も出るらしいし、短期2ヶ月間だけだったので、とりあえず働いてみる
ことにしてみた。
駅の出口で待っていると、同じように待つ人が2人いたので話してみた。10分遅れで担当者もようやく来て、
私たちは歩く。住宅地をひたすらまっすぐ歩く。今日は割と涼しいけれど、これから炎天下の中毎日往復
するのはきついかも、と不安になってくる。しかも15分以上経って目的地に着いた時、担当者は私を
驚かせる説明をした。「この会社はバイク部品関連の会社で、化粧品は初めて扱うことになる」というのだ。
「変な会社。」そう思いつつ面接に向かうこととなった。
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