今日はクラブAに寄った。1ヶ月近く会っていない二十歳のわかなちゃんに会うと少しは気が紛れるかもしれないと思ったのだ。僕なりにジェシーに別れを告げたことに少なからずダメージを受けていた。
クラブAに着いたときはまだ7時半を過ぎたばかりで、店にはママしかいなかった。ママに例のプロフィールの質問をしながら、女の子が出勤してくる8時を待った。
8時になってみかが出勤してきたとき、なんと5人のグループと一人のお客を伴って入ってきた。
一人の客は僕の左隣に一つだけ空席を残して、一番左端に座った。5人のグループは、一人が『ママ、店のためにカウンターに座るわな』と言いながら、ボックス席ではなく、僕の右隣にやはり一つだけ空席を残して、端から並んで座った。僕は逆に迷惑だなと思いながら、それまで座席に置いていた上着を着込み、カバンを床に置いた。
みかは僕が既に客として来ていることを確認しながら、やけによそよそしい態度をとった。グループか左の男のどちらかと同伴したんだなと感じた。
やがて、わかなちゃんが出勤してきた。ママ は僕を指して、『パパにお呼ばれしなさい』とわかなちゃんに言った。
『誰がパパやねん。』『この子の年からするとパパと言ってもええ年やない。』
そんな話をしながら、彼女が自分の娘なら自慢だろうなと思った。
わかなちゃんは小さな赤い柄が一面に付いた半袖のブラウスを襟を立てて着ていた。若くはち切れそうな胸が、ブラウスの二番目のボタンを左右に引張っていた。
彼女は無くなりかけた僕のグラスの水割りを作りながら、『私もいただいていいですか?』と聞いた。
『うん。どうぞ。』と答えながら、続けて、『わかなちゃんのボタン苦しそうやな。』
『もう、takasan!』と言いながら、ビールの小瓶を取りに行くため、僕の前を離れた。
彼女とは他愛もないことを会話した。初めて会ったときに知ったことであるが、彼女とは同郷であった。僕は意識的に田舎の話題を選んだ。
時折、彼女が笑って体を動かしたとき、ブラウスの2番目と3番目のボタンの隙間から、柔らかそうな白い肌が覗いていた。僕はそんな彼女の若さに嫉妬すると同時に、これからの人生の幸せを祈っていた。
時間はあっと言う間に過ぎていった。
『ありがとう。今日は本当に楽しかった。今週行った店の中で一番楽しかったよ。』
僕は勘定を済ませて、店を出た。みかが慌てて僕の後を追いかけて、階下まで見送ってくれた。二人を乗せたエレベータの中で、わかなちゃんに言ったことをみかにも繰り返した。
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