『takasan、ジェシーがダンナになんて言ったか知ってる?』ママの話は続いていた。
『えっ、なんのこと?』
『昨日、レニーにすべて聞いたんやで。』ママは話にもったいを付けているのか、話しづらいのかなかなか核心に触れてこなかった。
そういえば、昨日レニーさんから電話をもらっていたが出ることができなかったことを思い出した。彼女は店からかけていた。伝言メモに(今日はジェシーがいないから店に来て。話がある。)と入っていた。
レニーさんの伝言メモが気になって家内の入浴中に店に電話を入れたが、10時過ぎだというのに彼女はもう帰ったという事だった。
『昨日、店がすごく暇だったから彼女とゆっくり話す時間があったんやけど、彼女こないだの日曜日ジェシー夫婦と3人で話合いをしたんやて』僕はママの話に焦れながらもその先の内容を聞くのが怖い感じもしていた。
『ジェシー、ダンナにtakasanのこと詰め寄られて、泣きながら彼女takasanにレイプされたって』僕はあまりにも驚いて声も出せなかった。
『私、レニーの話聞いてて腹が立ってきたわ。27も8もなっとって、連れて行かれたとこがどんなとこかわかれへん奴おらんやろ。第一どこのホテルでもH、O、T、E、Lと書いてあるのん読まれへんかちゅうねん。』ママは真剣に怒っていた。
『それに、それが3回もって言うやん。誰がレイプされにのこのこ出かけるっちゅうねん。私呆れてものも言われへんかったわ』
『ははっ』僕はようやく声を出すことができた。
『自分の嫁さんがレイプされたって泣かれたら、怒らんダンナはおらんやろ。takasan運が悪かったな』
『そ、そんな』僕は絶望的な気分になった。
『だけど、それを聞いていたレニーさんは何も言わへんかったん?』勇気を出して聞いた。
『彼女もtakasanがそんな事する人違うって言ったそうやけど、ダンナは彼女よりも自分の嫁さんの言うことを信じたそうや』
確かに冷静になって考えて見れば、彼女も壊れそうになる家庭を必死に守ろうとしているのだ。そのためには相手の男を悪者に仕立て上げて、夫婦二人で憎むことができれば、ちぎれかけた絆をつなぎ止めることができるだろう。そういう意味では彼女の企ては成功していた。
『今日は店に絶対に来たらあかんで。話し合おうとしてもtakasanの言うことを信じるような人やないから』ママは僕に念を押した後、電話を切った。
僕は、ジェシーの女ゆえの弱さとずるさに触れて、どうしようもなく陰鬱な悲しみを感じていた。 |