今日はゆきさんの誕生日である。
(今日もMに行くか)実は今日Mに行くのが内心恐かった。それというのも、昨日更新したダイアリーを見た彼女たちがどのような反応をするのか心配だったのである。ダイアリーの主人公である僕の陰の部分を見て、僕のことを不審に思うだろう。ダイアリーの書き手である僕のことを軽蔑するかもしれない。
昨日までは彼女へのバースデープレゼントを何にするか考える事を楽しんでいた。それがダイアリーを更新したことで、一変した。あれを見て、僕が彼女への贈り物を持って来ようものなら、彼女は何も言わなくても、誰かが(そんなことするから、takasanはだめなのよ。結局は女の子を傷つけることになるんだから)というようなことを言うだろう。
いろいろ考えを巡らした末、Mに行くことにした。ただし、バースデープレゼントはなし。僕が行くことだけで、彼女の誕生日を祝いたい気持ちを抑えよう。仕方ない。しばらくは自粛だな。
店には開店間もない時刻に着いた。もちろん僕以外のお客さんはいない。
店には、ゆきさんの他にリサがいて、開店の準備をしていた。
しばらくして、二人が僕の席についた。
『見たよー、takasan。あんなん書いて大丈夫? 私、読んでて、NEXTボタン押すの恐くなってたわ。』ゆきさんが昨日更新したダイアリーについて触れた。
『そうやわ。takasan、危険人物や。近寄らんとこ。』リサが彼女の座る椅子を滑らせて僕からの距離を取った。
『僕、ほんまにレイプなんかしてへんで。』僕は焦って弁解した。予想以上のダイアリーの効果に驚いた。それと更新した日に二人とも見てくれたことにも。
『そんなん、わかってるわ。』二人声を揃えて言った。
『takasan、女の子に優しいしたらあかんねん。結構マメやし。女の子は少しでも気がある人から優しくされたら、この人とはそんな関係になってはいけないとは思いつつ、その気になってしまうもん。』とリサ。
『だったら、彼女は僕のこと好きだったって言うの?』
『ジェシー、ほんまにtakasanのこと好きやったと思う。』とゆきさん。
『じゃあ、ダンナさんとはどうしようと思っていたん?』
『たぶん、別れようと思っていたんやと思う。でも、そこは女の子はずるいとこあるから、takasanと一緒になることが決まるまで、ダンナさんとは今までの生活を続けていたと思う。』とリサ。
『ま、takasanは反省しい。』とリサ。
『反省って?』
『奥さんを大事にするこっちゃ。』
『うっ、うん。わかった。』
『もう私はtakasanの日記には出演拒否やからな。私あれ読んでて、自分のお父さんが若い女と浮気してるの目撃したような気分になったわ。』とリサ。
『どういうこと?』
『自分の彼やとか友達やったら怒ることもできるけど、お父さんがそんなんしてても怒ることもできひんやろ?』
僕は彼女が感じたことがすごくわかるような気がした。
『ジェシーちゃん、今どうしているやろね。』ゆきさんはリサに問いかけながら、遠い目をした。 |