日記or短歌風

2001,4/10

鴨川の 鳩らの遊ぶ 岸辺にて 翳る夕べと 赤い鞠一つ


4/29

紫の 籠もれる光 葉の上に 微かに震え 雨を待ち居る


5/3

立ち柳 流れる風に 擦(かす)むるは 蓮華王院 涼しき頬に

迷い子は 暮るる夜 風と立ち戻り 門(かど)を叩きて さざめいており


5/13

下鴨の 木々の狭間より 漏れ落つる かそけき光 夏風になる

寒空に 掛け掲げたる 銀盤の 磨くは誰ぞ 幾億もの眼


5/21

二人して 歩ける道の 銀杏青し 取りて扇がん 風ぞ涼しき


5/24

雨霧を 払いて立てる 百日紅よ 波打てる汝(なれ)は 滝の化石か

重からん 雫の雨の 翼にて 地を払うごと 飛べる小雀


5/28

つらつらと 君の肌(はだえ)の 吸い込まる プールに入りて 水掻ける我


6/8

桜葉の 重(かさ)む狭間の 水鏡 仰ぎ見降ろす 誰にぞあらん


6/11

ひとかけの 摘(つま)まる氷 吸い込まる 君の唇 微かに赤し

傍らに 眠る君の肌氷の如く 柔らげり


6/26

早々と 梅雨の噂を 聞きつけし 紫陽花咲くも 萎れおりしは

空中(そらなか)の 真中を高く 突き抜けし 飛行機雲の はや散じゆく


7/8

寺中の 真中に一人 傘持ちて 幼子ぽつり 落つる雨打つ


7/15

唐突に 北の方(かた)より 訪れし 朝に戸惑い 月取り残さるる


7/16

ひたすらに 黒き肌(はだえ)を 削ぎ落とす 桜は春と 誰が言いしや


8/10

葉月なる 夜の岸辺の 散歩道 蝉穴前に 蟋蟀の鳴く

蝉の音と 夏日を浴びし 桜葉は 蜜柑の如く されど軽く落つ


9/8

オレンジの 街灯つくる 夕窓に 雨の音なく 留(と)まり流るる


9/14

夜雨降る 後の葉先の 露落ちて 砕け零(こぼ)れし 蟋蟀の歌


9/25頃

りんりんと 冷えし朝風 運ぶ声 葉陰を持つも なお隠されず

ゆるるかに 蟋蟀の満つ 夜の間(ま)に 彗星のごと 鹿の鳴くなり

鳴りもせぬ 音へと耳を懲らせ 今 カタリと剥ぐる また一つ剥ぐ


11/23

捧げ持つ 半月なりし 手水鉢 零れ落つ風の 頬に涼しき


12/7

咳(しわぶ)きし 五匹の杉の 茶枯れるに 散らずなりにき 赤き桜葉


12/16

冬枯れの 木々の狭間に 人もなく ほつほつほつと 降り来るは何(な)ぞ 


12/19

薄赤く 乾き砕けし 冬土に 山茶花の咲く 散りて笑ひつ


2002,1/15

雨降りし 後の小道に 甘き香の 満ちて惑へり 寝息せし夜に


1/24

明け初むる 息にたゆたう 雲一つ 綿の如くに 微睡みいたる


1/27

黒雲を 手繰り解(ほど)きし 薄絹を さやけく染めつ 月の機織る


3/12

清瀧の 白きは混じり 群青の 川面を巡る 春の疾(は)や風



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