〜 NYボランティア通信 〜
「社会起業家」に関するメールマガジン(社会起業家クラブ)に寄稿しています。
「社会起業家 : Social Entrepreneur」 とは、
今まで行政主導で行われてきたために、
無駄が多かったり、採算が合わなかったり、時代に合わなくなってしまった事業や、
これまで企業が目を向けてこなかったマーケットや、利益を上げないとされてきたマーケットを、
新しいやり方で事業化して、成功を収めている人々。
という風に、私は理解しています。
ただ、ここNYで私は、広くボランティア活動・NPO活動をしている人々・グループを中心に
お話しをお聞きしたいと思っています。
何ごとかをなそうと、活動している人の話しを聞いていると、元気になれます。
メルマガの性質上、少し硬い文章なのですが、
興味のある方は、ぜひ登録してください。
(週1回発行。NY通信は、隔週掲載です。)
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NO.34 ホリデーシーズンは寄付の季節(2002/11/27) アメリカは、寄付が非常に盛んだ。この季節は特にそれを感じる。 タイムズスクエアにオープンしたホテルでは、「Housewarming Promotion」といって、ホームレスに寄付する食料や衣料を持って来た人には、特別価格で部屋を提供するというキャンペーンを行っている。 スターバックスでも、難病の子ども達のための「Starlight Children’s Foundation」に寄付するため、新しくて包装していないおもちゃを集めている。 New York Caresでは、着古したコートを集めてホームレスに寄付をする活動「コート・ドライブ」が13年も続いており、自由の女神が凍えてうずくまっているポスターとともに、人々に広く知られている。 大きなビルのエントランスには、たいていクリスマスツリーがあって、その下へ恵まれない子ども達へのクリスマスプレゼントが寄せられる。 各種教会でも、ホームレスのシェルターなどのために、寄付を受け付けている。 ただ、昨年のテロ事件以来、このような活動にも変化があるそうだ。New York Timesでこの時期に恒例となっている「GIVING」という特別記事によると、セキュリティーの問題があるそうだ。これらの品物にまぎれて、爆発物が持ち込まれる可能性もある。 不審な人物が関係ビルに入りやすいため、警備の費用もかさむ。また、集まった物を車でピックアップする際、路上での一時停車やアイドリングなどの規制が厳しくなったという、影響もあるそうだ。 そこで、食料であれば、缶詰のみに限り、包装してある食料は受け付けない方針としたところもある。また、品物は受け付けず、お金のみに限ったところもあるようだ。これによれば、例年の4倍価値の金銭が集まったそうだ。 お金のほうが、価値が高いのかもしれないが、さまざまな寄付のあり方を検討できるほうが良いと感じる。 |
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NO.33 SEXとNPOは関係ない?!(2002/11/13) 先月初旬、マンハッタンに「The Museum of Sex」(MoSex)がオープンした。 オープン記念展覧会「NYC Sex: How New York City Transformed Sex in America」では、19世紀中ごろからの写真、ポスター、美術品、映画、漫画などの展示を通して、性表現がどのように変わっていったかを見ることができる。展示は大変まじめなもので、学芸員にも米国を代表する人たちが参加している。 館長のダニエル・ブルック氏は、ペンシルバニア大学で美術史、経営学を学び、ソフト開発・管理、市場調査などを行うソフトウェア会社の起業家であった。 「あるとき仲間が、アムステルダムにセックス・ミュージアムがあると気付いた。でも、学術的ではない。どうして、本物のセックス・ミュージアムがないのか?」と気付き、このプロジェクトを思いついた。会社を売り、他の投資家たちとともに博物館の建物を購入した。 当初、NY州にNPOとして申請したが、「名称が不適切」との理由で認可が得られなかった。そこで、個人の営利団体として運営することになった。公的援助を受ければ、新しい展示のたびに、抗議が来ることを心配しなければならないが、その心配もない。 ブルック氏は、「非営利団体の認定を受けられなかったことは、一時的な逆風に過ぎなかった。でも、きっと、投資家達には、この投資は魅力的なものであると確信してもらえると思う。」と語っている。 今回、収益の一部は、展示に協力した性研究で著名なThe Kinsey InstituteなどのNPOに寄附される。 開館当初は、物珍しさも手伝って来館者も多いだろう。所詮、ポルノに過ぎない、との評判も聞かれる。率直に言って、この博物館に展示してあるものすべてに文化的な価値を見出すことは、私にはできない。しかし、NYは、サブカルチャーとして性の文化が盛んで、それが大衆文化に影響を与え、社会運動に発展した例があることは間違いない。これらを伝え残していくのがこの博物館の役割の一つだ。団体としてのミッションが明確であれば、政府に認められなくても気にしないのが真の起業家だと思った。 今後、博物館・美術館業界でどのような地位を築き上げていくのか注目したい。 |
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NO.32 問題を持つ人が自ら解決する新しいコミュニティー(2002/10/30) 私達がやっている”New York de Volunteer(http://www.nydevolunteer.org)”活動の一つとして、先日、LGBTコミュニティセンター(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル&トランスジェンダー支援のコミュニティーセンター、http://www.gaycenter.org)で行われた子どものためのハロウィーン・パーティーへボランティア活動に出かけた。 朝から会場設定、飾り付けを行い、昼過ぎに思い思いの仮装をしたかわいい子どもたちが、親に連れられ次々に現れた。 私は折り紙やぬり絵で遊ぶコーナーを担当したが、他にもフェイス・ペインティング、タトゥーのコーナー、クッキーをアイシングでコーティング、紙でできた王冠をビーズなどでデコレーション、スポンジやスタンプをつかって紙袋を彩るコーナーなどが用意され、子どもたちは何度もコーナーを行き来して楽しんでいた。 このLGBTコミュニティーセンターは、使われなくなった専門高校を市から払いうけて、1983年に完成した。カウンセリングやソーシャルサービスを行うほか、映画や絵画・ジェンダー問題・文学・歴史などに関する文化関連イベントも数多く行う。 今回のパーティーは、「センター・キッズ」というプログラムの一環で行われた。ゲイやレズビアンであるのに異性間で結婚してしまい子どもができ、後に離婚して、一人で育てる場合や、その後に同性カップルになった場合の子育て、同性カップルが養子を迎えた場合など、子どもを取り巻く状況に即応するよう、1989年にできたプログラムだ。 同性カップルが家族を作っていく過程で、さまざまな問題が生じる。しかし、こうした人には社会の中で異端とされ偏見もあるので問題が一層増幅される。だからこそ、コミュニティーセンターの役割が重要になる。 設立当時、同性愛者・性転換した人たちのグループが60ほど集まったが、今では同様のグループがNYだけで300以上あるそうだ。ちなみに正確な人数はわからないが、NYにゲイの人だけで100万人以上いると言われている。 数が多いから、コミュニティーセンターも活性化するのだと思うが、問題を抱えた人が他からの支援をじっと待つのでなく、自ら解決のためのプログラムを作り出す起業家精神が人々を感動させ、こうして問題を抱えた人とそうでない人の間で相互協力関係のある新しいコミュニティーが出来て行くのが、今の時代の潮流なのであろうと実感した。 |
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NO.31 ボランティア・ガイドが、街のイメージを作る(2002/10/16) ガイドが街を案内する光景をよく見る。公共図書館やグランドセントラル駅、ウォール街の歴史的街並みなど、無料ツアーも多い。歴史や特徴、エピソードなどを、分かりやすく説明し、笑いとることも忘れない。滞在中、このようなツアーになるべく参加しようと思っているのだが、先日は、シカゴに旅行した際に、シカゴ建築財団(CAF)主催のツアーに参加した。 歩いて回れる範囲にある近代〜現代建築物を解説してもらいながら、10人で歩いた。基本的にボランティアがガイドを行っている。料金は、10ドル。シカゴといえば、シカゴ学派で有名な近代建築の宝庫であるため、参加者は後を絶たない。多いときには1度に3〜4グループが出発する。他にも、各種ツアーがあるが、特にシカゴ川をクルーズしながら解説を聞くツアーは特に人気で、他社より若干高いがピーク期は事前の予約が欠かせないほどだ。市内に2ヶ所の事務所を持ち、展示スペースもあり、デザイン・ショップも盛況だ。 ボランティア・ガイドは、受講料無料(申込金のみ)の講座を受けた人たちで、約400人いる。ガイドの中には、足の悪い人もいるが、杖をつきながら、みんなと一緒に歩いていた。私たちのガイドは、特に建築を専門にしていたわけではないが、講座を受けることで自分の知識が広がり、それを披露できること、また街に来た人との交流が持てることを喜んでいた。魅力的なボランティアだと感じた。 この財団は、1966年に、一つの歴史的建築物保護のために作られた組織である。1970年代から、人々に建築物とそのデザインに対する関心を高めることを大きな目的に転換した。30社近くの寄附、助成金を得ている。大都市シカゴにふさわしく、洗練されてそれでいて温かみの感じられるツアーだった。 |
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NO.30 NPOにも色がある!?(2002/10/2) NY滞在中に、一度は目にするであろう「エンパイアー・ステート・ビル」。夜になると美しくライティングされ、マンハッタンの夜景にひときわ輝きを与える。このライティングは、日によって色が異なる。 昨年の9・11以降、約1年間、アメリカ国旗の象徴的なカラー「赤白青」の3色が続いたが、1年が過ぎ、再びさまざまな色が楽しめるようになった。 クリスマスの赤緑、バレンタインの赤、イースターの黄白、セントパトリックデーの緑といった、季節や宗教行事にちなんだ色、コロンバスデーの赤白緑、イスラエル独立記念の青白青、インド独立記念の緑白オレンジといった、NYに無数に生活する少数民族へ敬意を表する色など、さまざまな意味合いを持っている。 また、非営利で行われる社会啓発活動と関連して、色付けされるものも多くある。 たとえば、9月27〜28日は、乳がん・卵巣がん患者のためのファンドレイジング・イベント「SHARE A WALK」と連動して、そのテーマカラーであるピンクと青色に照らされた。この原稿を書いている10月1日は、これから続くアウェアネス月間に向けて、ピンク・白で照らされている。 ゲイ&レズビアン・プライド月間である6月には、テーマカラーのラベンダーで彩られる日があり、アース・デーには、緑で彩られる。 すでに決まっている特別な日と重ならず、特定の商品の宣伝や個人的な記念日などでなければ、各団体からのリクエストも受け付けている。 色が異なるたびに、「この色には、どんな意味があるのだろう?」と興味をそそる。テーマカラーの小さなリボンを胸に付けている人を見かけて、「そういえば、あのリボンの色と一緒だ!」と、後になって気付くこともある。 ワークショップなどの啓発活動も活発にし、詳細情報を広めることは、もちろん大事だ。でも、重いテーマであっても、明るくシンプルにアピールする、素敵な方法もあると感じた。 |
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NO.29 ボランティア活動は、ネットワーク作り(2002/9/17) 「New York de Volunteer」は、ボランティア紹介団体「New York Cares」の主催する公園掃除ボランティア(5月4日実施)に参加するために、「Japan
Team」を組織した代表者を中心に、その後も交流の続いた数人のスタッフが協力して作っている団体だ。私も、スタッフとして、関わってきた。 普段、ボランティアに縁のないNY在住日本人にも、積極的にボランティアを始められるよう、情報交換や勉強会、イベントを行っている。 米国の同時多発テロ事件から1年が過ぎるにあたって、日本の団体から、さまざまな協力を求められた。実施する事業の大きさに応じて、情報提供で協力することもあれば、メンバーを集めて協力するものもあった。私は、愛媛・高知の団体が、平和の祈りを込めて「インターナショナル・カルチャー・パレード」に参加し、「よさこい」を踊る、というイベントに協力した。 愛媛のNPO「チャレンジネットワーク」が呼びかけ、振り付け担当の高知の「須賀ジャズダンススタジオ」のダンサーを含む日本各地からの参加者約40名が、NYで募集した約40名と一緒になってパレードで踊り、その後の交流を行った。一部、踊り子に水を補給し、落し物を拾うボランティアを行った。総勢80名ほどが踊る姿は壮観で、難しい踊りにも関わらず息の合ったところを見せ、沿道の観客から、「ナンバーワン」だと絶賛された。 パレードに参加すること、よさこいを踊ることは、ボランティア活動と直接には関わりがない。しかし、このような機会があったことで、何かボランティアを始めようとしてくれた人もいる。交友関係を広げることが難しい駐在員妻や、渡米間もない学生にとっても、一歩踏み出すチャンスとなった。愛媛の主催者団体、高知のダンサー、北海道の砂川でよさこいを踊る若者たちといった日本各地から参加した人とのネットワークができた。参加者それぞれに出会いがあった。ボランティア活動は、ネットワーク作りだ。このような機会を提供することも、ボランティア活動には必要だと感じた。 私たちの活動は、HP http://www.nydevolunteer.org
をご覧ください。 |
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NO.28 NPOサービスの差別化作戦(2002/9/4) NPO「One Brick」 は、サンフランシスコでできた団体だが、今週末にNYに支部ができる。 仕事初めは、ロウアーマンハッタンをのぞむ桟橋にある公園で、菊を400本プランターに植える。作業時間は11時〜1時までと短く、眺めのよい公園で汗を流す。だからボランティアの応募者は多く、1週間前に予定の人数は集まった。 このように短時間で気軽に健康的なボランティアをしたい人はすぐに集まる。 One Brickは、ここに目をつけた。このNPOを作ったデイヴは、昨年春シリコンバレーでレイオフにあい、あり余った時間を使い、仲間を集めてボランティア・イベントを実施しているうちに、起業家の目線でボランティアを集めるノウハウを見つけた。 それを実現するために、デイブは仲間とともに、昨年12月にNPOを設立、NYの支部は、メンバーの一人ブライアンがMBAをコロンビア大学で取るためにNYに引っ越すことになり、彼が始めた。実に身軽な行動だ。 定期的に仕事をするボランティアや専門能力がいるボランティアは待望されているが、その反対の、短時間で楽しく、例えば健康的なボランティアの仕事を求めている人も多い。One Brickはこの反対側に目をつけた。 現在では、検索機能が充実したボランティア情報提供サイトはたくさんある。それらを利用したり、さまざまなボランティア団体やNPOにメールを出したりして、この方針に合うボランティアの仕事を探す。 これがOne Brickの存在価値で、ボランティアの仕事はOne Brickによって付加価値(例えば無償行為+健康)がつけられ、それがOne
Brickのブランド力をつくる。 ビジネスでは当たり前のやり方であるが、若いビジネスマンによってNPO世界に持ち込まれると、新鮮に輝いて見えた。 |
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NO.27 携帯電話リサイクル(2002/8/21) アメリカの携帯電話は日本に一歩も二歩も遅れをとったが、急速に追いついて来ている。そこで問題になっているのが、廃棄された携帯電話による有害ごみ問題である。 The Wireless Foundationは、1993年に、the
Cellular Telecommunications & Internet Association (CTIA)によって、設立されたNPOだ。古くなった携帯電話を回収して、社会サービスを行う団体に寄付する。 例えば、ドメスティック・バイオレンスの被害者を救済する活動団体や、高齢者に緊急用携帯電話の配布を行う団体などだ。電話番号や保存されたデータを削除して、「911(救急電話)」やローカルシェルターのホットラインなどにのみ接続するように設定し、必要な人に利用してもらう。この事業は、Call to Projectという。 詳細は、こちら→http://www.wirelessfoundation.org/12give/index.htm NYで日本人客を中心に携帯電話販売を行う「セルラーサークル」でも、回収と団体への寄付を開始した。これまでは店員が個人的に寄付を行うこともあったが、お客さんからも集められると思って始めたそうだ。 ここでも、「The Wireless Foundation」へ寄付をする。このような寄付行為は、課税されないので、販売店にとっても実益がある。 これは膨大な携帯電話市場とNPO活動を媒介する優れた事業である。 この種の事業は日本にはない。規制があるから出来ないのでなく、アイデアがないからやってないだけだろう。ちょっと頭をひねればいいのだが、おしいことである。 |
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NO.26 ホームレスを救うリサイクル活動(2002/8/7) ニューヨーク市では、7月1日から、ガラス、プラスチックおよび飲料用紙容器の分別収集を一時凍結することにした。今までリサイクルのために分別していたビールの空き瓶も、ソーダのペットボトルも、牛乳パックも、通常のごみと一緒にして処分することになった。 これは、市の財政状況による。昨年の米国同時多発テロ事件により、市の財政は極度に逼迫し、来年度には50億ドルの赤字になるとも言われているほどだ。そこで、ブルームバーグ市長は、この措置は本来的ではないと認めつつも、これまでのごみ収集・リサイクル事業は費用対効果が小さいので、効果的なリサイクルシステムを生み出すまで、当面事業を凍結するという決断を下したのだ。節減費用は、4千万ドルと見込んでいる。 ガラス、プラスチックのリサイクルには、1トンあたり240ドルの費用がかかるのに対し、廃棄費用は1トンあたり約130ドルで済むといわれている。単純に廃棄したほうがコストを削減できる。一方、1トンあたり回収費用が87ドルで済む新聞・雑誌等の紙の分別収集は続けられる。特に、ニューヨークでは人件費が桁外れに高いにも関わらず、ごみ収集・リサイクル事業が労働集約型作業に依存しているために、経済効率が悪いということだ。 これらの措置に対し、私が住むアパートでは、これまでどおり缶やペットボトルについては、分別収集に協力して欲しいと要請する文書が配布された。 「WE CAN」というNPO団体から出された文書であった。缶やペットボトルは、ホームレスを助ける。州法によれば、缶やビンの購入には5セントのデポジットが徴収され、これを集めて返却した際には、デポジットを返金するよう義務付けられている。日本にも同様の仕組みがあるが、こちらでは、通常、購入者が返金を求めることはなく、ホームレスやジョブレスの人々が回収して生活の糧としている。市の分別収集が凍結されても、州の保証金制度は継続されるので、この団体は引き続き、分別したアルミ缶などの寄付を募り、貧困に苦しむ人々への支援につなげるということだ。 今回の一件で、行政が手を引くことで、NPOや団体が、より効果的なリサイクルシステムを生み出すだろうと感じた。 |
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NO.25 ニューヨーク流社会起業家(2002/7/24) 「ニューヨーク流 たった5人の大きな会社」(亜紀書房www.akishobo.com)という本がある。著者神谷秀樹氏にお話しを伺う機会があった。神谷氏は、「ロバーツ・ミタニ・LLC」を創業し、国境を跨った技術移転やそれに伴う投資案件をまとめる投資銀行業務をおこなっている。NHKのNY総局で、「社会的起業家」としてテレビ特集された。 投資銀行家といえば、「金銭欲の固まり」というイメージだが、神谷氏は経営方針で、「私たちは違う」ということを明確にしている。投資先は、医療、金融サービス、教育の3分野に絞り込んでいる。それらは、人々にとって最も大切だと思われる順番だ。また、「社員の雇用」について、「自分で自分を雇う(自分の給料は自分で稼ぐ)」仕組みを作り出した。社員は完全な契約社員で、自らの案件に対する手数料を、一定割合で受け取る。一人だけでその案件をまとめることは不可能だが、自分のペースで仕事をすることができる。巨大な組織にはせず、経営方針を理解した少数精鋭に限定する。 せいぜい40代まで、週末もなく、体力の続く限り長時間働き、ひたすら金銭的インセンティブだけで働くというマンモス投資銀行での働き方はどこかおかしい。神谷氏は、自分が40代でリタイアする前に、「お金」より大切なものに精力を費やせる仕組みを、自ら作り出すため起業した。 彼が最終的にやりたい事業は、「非営利目的投資銀行」だ。お金より、名声より、参加者それぞれが「充実した人生」という配当を得る事業だ。人はある程度満たされてしまうと、お金だけでは得られないものを求めるようになる。一方で、国も企業も対象にしないが、世の中には必要なものがある。それらに対し、採算を度外視して、投資できる銀行を作りたい。とんでもない大金持ちが集まるNYだからこそ、このような発想が生まれる。慈善事業のプロデュースである。それを念頭においてビジネスをスタートしている。 これが、NY流の社会起業だと感じた。 |
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NO.24 NPO活動が連鎖していく(2002/7/10) アメリカでは、HIVエイズへの対策がさまざまな分野で進んでおり、サポート団体も数多く存在する。APICHAは、ニューヨークでアジア人とハワイなど太平洋諸島民のために特化したサービス提供をする団体である。 1989年に設立された。医療保険相談からその受給のための手続き、薬の無料提供、住宅の世話、心理カウンセリングや法律相談まで、幅広いサービスを行う。APICHAのクライアント(APICHAと契約を結んで、HIV関連のサービスを受ける人)の世話や予防教育のプランニングを統括するプログラム・ディレクターは、日本人スタッフ福田由美子さんだ。 また、ボランティアスタッフも多く活躍している。その仕事は、HIV感染者についてのリサーチの手伝い、フード分配、そして啓発イベントなどで配布する避妊具の包装、街頭配布など、さまざま。現在、出身国もさまざまな約50人がいる。 無料電話相談は、一昨年11月に始まり、毎週火曜日は日本語相談日となっている。昨年9月までの11ヶ月で、309件、そのうち日本語での相談は21%で、一番多かったそうだ。これは、日本語情報誌での定期的な宣伝により、電話番号が周知されているからだと考えられている。 これらの情報を毎月情報誌に寄稿しているのは、「JAWS」という日本人へのエイズに関する情報提供サービスをする団体の代表である武藤芳治さんだ。英語によるエイズ情報はたくさんあるが、医学的な専門用語に不安を覚える日本人社会に、日本語で情報を提供する団体を立ち上げた。 このように、APICHAのサービスの一部門(日本人への情報提供)を、別の団体がサポートするというのは、非常に効果的ではないだろうか。先月末のレズビアン&ゲイ・プライド・パレードを沿道で見ているだけでも、さまざまな団体の存在を知り驚いたが、「JAWS」のようにNPOをサポートする団体もあり、このような団体の連鎖が、幅広い活動を生む原動力になるのだと感じた。 |
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NO.23 NPOで仕事を作り出していく人(2002/6/27) 「ニューヨーク・アジア人女性センター(NYAWC)」は、アジア人社会におけるDV(ドメスティック・バイオレンス)や性的暴行に取り組む団体だ。 アジア圏の文化では、家庭内での虐待や暴力、性問題について話されることが少なく、問題が表面化しにくい。このような文化的背景を考えると、アジア人社会独自のシェルターを作り、地域社会全体で問題解決にあたる必要がある。そこでNYAWCは、1982年に東海岸では初めてアジア系の被害者を中心に支援する非営利団体として設立された。 ここで働く中込幸子さんにお話しをお伺した。彼女は、テレビディレクター、フリーの翻訳家を経て、現在日経新聞の英訳を主な仕事としている。さまざまなテーマを扱うマスコミの仕事をしているうちに、一つのテーマにしぼって、問題解決に深く関わりたいと考えるようになり、99年10月に、ボランティアとしてこの世界に入った。 NYAWCのボランティアの多くは、仕事を持つ20代の女性で、ほとんどが学士号を持ち、英語とアジア圏の言語が話せる完全なバイリンガルである。まず30時間のトレーニングを受け、カウンセリングやホットラインの受け答えの基本につ ボランティアとして働き始めた当初、寄付された家具をクライアントの女性たちに届ける作業をしたところ、ぼろぼろのベッドであるにもかかわらず、本当に喜んでくれた女性の顔が忘れられないと言う。実は、その人は小さなシングルベッドに息子と二人で寝ており、息子も年頃になったので、ベッドを分ける必要があったのだ。何もしなかったら、新たな不幸が生じる可能性もあったが、それを食い止めることができたという安堵感が大きかったのだろう。 その後、仲間のボランティア4人で、その団体の公式ウェブサイトを作成した。コンテンツを作成し、技術面でのサポートはプロの助力を得た。新しいパンフレットを作り、広報活動に専念した。タブーと考えられている問題だからこそ、広報活動が重要だ。実績は認められ、前NY市長からGold
Apple Awardを受賞した。その2週間後、「Public Relations Consultant」という肩書きを得て、パートタイムのスタッフとして働くようになった。現在は資金調達にも奮闘している。 彼女は、組織の使命を理解した上で、自分の得意分野で、仕事を自ら作り出していく人だ。彼女を見ていると、NPO組織の中でも「起業家」は必要だとよくわかった。 |
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NO.22 ひとつのイベントで2度おいしい(2002/6/14) 一口で「地下鉄ミュージシャン」と言っても、楽器の種類もパフォーマンスも、バラエティーに富む。彼らは、地下鉄を運営しているMTAのアート部門「MUSIC UNDER NEW YORK」が主催する、年に一度のオーディションを経ており、レベルも高い。おもしろいコンサートになることは間違いない。通常なら地下鉄入場料1.5ドルで聴ける音楽だが、芸術の殿堂リンカーンセンターのエイヴリィ・フィッシャー・ホールでまとめて楽しめるのなら、チケット35〜65ドルは、高くない。 プレイヤーにとっては、あのような大舞台で、大勢の腰を据えて聴いてくれる観客の前でプレイできるとは、まさにアメリカンドリームだ。こうしたイベントが、さらに地下鉄ミュージシャン、パフォーマンスの質を高めることになる。あたりまえのように地下で音楽が聴け、パフォーマンスを楽しめるNYだが、このようなイベントがそれをさらに活性化する。まさに文化貢献・地域振興イベントだ。 実は、このコンサートは、NYのボランティア・ネットワーク「New York Cares」をサポートするための慈善コンサートだ。スポンサーはシティバンク、ニューヨークタイムズ、タイムワーナーケーブルなど。 「New York Cares」にとっては、売り上げの一部を受け取ると同時に、地域への文化支援をしていることになる。また、スポンサーである企業にとっても、単にNPO団体に献金するだけでなく、同様の支援をもすることになる。両者にとって、「2度おいしい」ことをしているわけだ。 社会貢献をするNPO、そしてそれをサポートする企業、それによって影響を受ける社会、みんなが「2度おいしい」、またみんなが「ハッピーになれる」企画だ。そのような社会貢献の仕組みを理解するプロダクション会社の存在が大きい。 |
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NO.21 歩くことが、お金にかわる?!(2002/5/29) |
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非営利セクターは、NY市経済の中で最も急成長中の分野である。 |
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No.20 日本人のボランティア・ネットワーク誕生(2002/5/17) |
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No.19 子ども達の国際環境会議を支える大人たち(2002/5/2) |
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No.18 ワシントンの桜まつりを支えるNPO(2002/4/17) |
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No.17 NPO運営の英語学校が移民のために闘う(2002/4/3) |
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No.16 NY日本語図書館プロジェクト |
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No.15 NYで日本語絵本を読み聞かせ(2002/03/07) |
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No.14 ボランティアが活躍する「アニマルシェルター」(2002/02/20) |
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No.13 NPOが経営する語学学校(2002/01/22) |
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NO.12 NPOが「ニューヨリカン」文化を育てる(2002/1/8) |
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NO.11 匿名の効果(2001/12/11) |
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NO.10 ボランティア獲得合戦(2001/11/28) |
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NO.9 すそ野へ広がる献金ブーム(2001/11/14) |
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NO.8 フィランソロピー活動の新しい動き(2001/10/31) |
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NO.7 これからのフリーペーパーの役割(2001/10/17) |
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NO.6 マイノリティーへの心のケア(2001/10/04) |
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NO.5 災害時におけるボランティア(2001/09/18) |
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NO.4 Back To School!!!(2001/09/04) |
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NO.3 ボランティアの存在価値って?(2001/08/24) |
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NO.2 市立clinicで、意外なサービスを発見(2001/08/10) |
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NO.1 ニューヨークでボランティアデビュー?(2001/07/26) |