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NY生活体験記を寄稿しています〜

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(社)ソフト化経済センター機関誌「ソフトノミクス」

経済やビジネスのソフト化の先端的な現象を研究し、その関係者間で交流する場です。

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No.14:「おたく」が、ステイタス・シンボル!

今年5月、興味深いコンセプトのショップがロウアーイーストにオープンした。その名も、「TKNY」。「Techno Kids New York」、「Tech Kingdom New York」あるいは「東京ニューヨーク」などの都市をイメージした名前だ。

ストックホルム出身の建築家ヨーキン・ハナー氏、テクノロジー・コンサルタント申基皓氏、デザインジャーナリスト松尾佳美氏の3人が共同オーナーである。

 

●コンセプトは、「コンパクト/インパクト」。つまり、「小さいことは美しいこと」である。スペースが狭くテクノロジーが賞賛される東京のイメージに通じる。

そもそも、「東京とニューヨークの生活との間には、多くの共通点があるのに、なぜこんなにも多くの日本のプロダクトが、ニューヨークでは手に入らないのか?」との疑問から、ショップのオープンとなった。

 

●東京やニューヨークの友人の中から、デザイナーやプログラマーやウェブマスターなどといった10人のキュレーターを選び、彼らが選んだ商品を3ヶ月ごとに展示する。商品は販売もされる。コンビニのおにぎりや、ホンダの折り畳み式電動アシスト自転車「ステップ・コンポ」、時計とメッセージ発信機プラスおもちゃとしての機能を持つ「ビットマン」なども選ばれている。特に日本製品にしぼるわけではなく、世界中から優れたデザインや技術が選ばれる。

 

●また、アニメーションや映像の紹介も積極的に行う。アニメーターやイラストレーター、グラフィック・デザイナー、映像アーティストを探している広告業界への情報発信センターのような存在でもある。

単なる小売店という形態ではなく、自ら「アイデア・ラボ」、「都会の生活とテクノロジーのショーケース」または「美の集合体」などと表現している。

 

●オープニング・パーティーの様子は、New York Times紙で、「これこそが、常に時代の最先端を行く人たちが開催するパーティだ」と評された。

今後、デザインやテクノロジーに興味を持ったニューヨーカーが集まり、食事や買い物だけでなく、インターネットも自由にサーフできる場所になる予定だ。ちなみに、営業時間は、昼の12時〜夜中の12時まで。夜中に立ち寄る客も多い。

 

●日本では、みんなが人の持っていない物を集めたがるので、斬新なデザインが次々と生まれる。それが消費を促し、これまで経済を活性化させてきた。一方、アメリカでは高額所得者や会社社長などが特に、人と違う物を集めたがる。それが、新しいステイタス・シンボルになる。だから、価値が上がる。

「おたく」をステイタスシンボルとしての地位にまで高めるためには、何らかの格付け機関が必要だ。それが「TKNY」の役割だ。デザイン文化の格付け機能を負っている。これが既存のギャラリーやショップとは異なり、斬新な点だと感じた。

 

 

 

 

No.13:パレードに参加した!

New York de Volunteer」は、ボランティア紹介団体「New York Cares」の主催する公園掃除ボランティア(5月4日実施)に参加するために、「Japan Team」を組織した代表者を中心に、その後も、交流の続いた数人のスタッフが協力して作っている団体だ。私も、スタッフとして、関わってきた。

 普段、ボランティアに縁のないNY在住日本人にも、積極的にボランティアを始められるよう、情報交換や勉強会、イベントを行っている。

 

●米国の同時多発テロ事件から1年が過ぎるにあたって、日本の団体から、さまざまな協力を求められた。実施する事業の大きさに応じて、情報提供で協力することもあれば、メンバーを集めて協力するものもあった。私は、愛媛・高知の団体が、平和の祈りを込めて「インターナショナル・カルチャー・パレード」に参加し、「よさこい」を踊る、というイベントに協力した。

 

●愛媛のNPO「チャレンジネットワーク」が呼びかけ、振り付け担当の高知の「須賀ジャズダンススタジオ」のダンサーを含む日本各地からの参加者約40名が、NYで募集した約40名と一緒になってパレードで踊り、その後の交流を行った。一部、踊り子に水を補給し、落し物を拾うボランティアを行った。総勢80名ほどが踊る姿は壮観で、難しい踊りにも関わらず息の合ったところを見せ、沿道の観客から、「ナンバーワン」だと絶賛された。

 

●このパレードは、NYに住む移民達が故国の伝統芸能を披露する祭りだが、日本グループの参加は今までなかった。アルファベット順に出演を待っている際、後ろの韓国グループの一人が話し掛けてきた。「今まで、韓国の前は、いつもジャマイカだった。今年、ジャパンと初めて一緒に参加できてとてもうれしい。しかもこんなにたくさんの人が出場するなんて!」と。

 

●募集は日本人に限らず、さまざまな踊りの団体に声をかけ、世代やジャンルにこだわらず、参加者を募った。モダンダンスを習っている人も、民謡を踊っている人も一緒に、ジャズをベースにした「よさこい」を踊った。

 

●これと前後して、別のメンバーは、911前夜、ワシントンスクエアで行われた世界平和を祈るキャンドルサービスでブースを出し、メッセージを書き込めるよう独自の灯篭を用意した。こちらにも、非常に多くの参加者を集めた。

いずれのイベントも、私を含め、20〜30代の在住日本人が中心になって行っている。思いがけず多くの協力者が現れ、正直、驚いた。異国の地で、通常、それぞれの場で必死にがんばっているからこそ、何か少しでも共感できるものが目の前にあると、立場を超えて団結できるのだと分かった。これからも、そんな刺激をともに作り出していきたい。

私たちの活動内容については、http://www.nydevolunteer.org をご覧ください。

 

 

 

 

No.12:NY流「ジャパニーズタウン」

●イーストビレッジは、マンハッタンのダウンタウンにある若者の街だ。拠点となる地下鉄「アスター・プレイス」を出るとすぐ、パンク発祥の地として知られるBowery St.が南北に走る。この通りを横切って東に向かって歩くと、中心地「セントマークス・プレース」だ。髪の毛を赤や黄色、紫などに染め上げ、とんがったものをたくさん身に付けたお兄さん・お姉さん(といっても私よりずっと若いが)達がたむろしている。また、週末ともなれば、たくさんの学生たちでにぎわい、明け方まで活気がある。

 

●古くから、この地域は、ヨーロッパ系の移民が住む地区だった。ポーランド系やウルライナ系のコニュニティも現存する。また、リトル・インディアと呼ばれる通りもある。さまざまな人種が混在する下町情緒あふれる場所だ。

 

●このあたりは、現在、「Japanese Town」とも呼ばれている。日本の食材が一通り揃うスーパー、日本のパン屋さん、焼肉、居酒屋、そば屋、たこ焼き屋などが軒を並べる。他の地域より、日本語の聞こえる確率が高い。7月中旬にオープンした「M2M(morning to midnight)」は、韓国系資本のコンビニだが、雑誌では「日本のセブンイレブンのようなもの」と紹介された「the Asian convenience store」だ。商品構成の半分以上が日本の商品、残りは韓国や中国、タイの製品という内訳だ。

 

●このように日本の店が増えると、反日感情が生まれる。ある日本食レストランは、1999年にNY市当局から営業許可が下りたものの、イーストビレッジ地域住民評議会の反対にあって、2001年まで開店が待たされたという。商店が立ち並び観光客も多い「セントマークス・プレース」から少し外れると、低層アパートの住宅地となるが、その一角に立つレストランだ。(→「Ebisu」414 E.9th street bet.1st Ave.& Ave.A なかなかgoodなお店でした。きれい。お魚新鮮。イーストビレッジっぽくない落ち着きと、品の良い内装です。)

住民の中には「これ以上、日本関連のお店が入ってきて欲しくない」という感情があるらしい。「We hate Japanese.」とまで言われたと聞くと、昔から住んでいる人にとっては、ここ数年の変化がとても大きいのだと分かる。大きな変化に抵抗を示すのは、どこの国でも同じだと気付く。

 

●ただ、「Japanese Town」といっても、通り全てが日本の店というわけではない。いろいろな民族が混ざり合う中に、日本の店も混じっているという具合だ。日本の店だけが並んでいたら、それは日本人にとっては、便利だが魅力的ではないだろう。

ここには、さまざまな若者が集まる。NYU(ニューヨーク大学)に近いため、留学生も多い。NYが好きだから住むという人もいる。アルバイトを始めるのも、ルーム・シェアをするのもここスタートだったという人も多い。先輩や友人の紹介もある。

 

●日本の村社会から脱出して来た日本の若者は、再び群れることを好まない。この地域が人種混合であるから魅力を感じ、集まる。日本関連のお店が集まれば便利だけれど、ただそれだけの街はいや。このバランスが、NY流だと思う。

 

No.11:美術館集積都市ニューヨーク

●先日(6/29)、NY近代美術館(MoMA)がクイーンズにオープンした。「MoMA QNS(モマ・クイーンズ)」という。マンハッタンにあったMoMAの増改築が終わる2005年までの仮住まいである。元ホチキス工場が改装された。

 

●クイーンズには、これまでも、公立小学校を改装してできた「PS1(ピー・エス・ワン)」や、「イサム・ノグチ庭園美術館」、そしてギャラリーも多数あり現代美術の集積地であった。マンハッタンにあるMoMAと結んで無料シャトルバスが運行されるなど、美術館同士の連携も進んでいた。

 

●オープン初日は、美術館の前に多くの人が列を成した。報道では、マンハッタンのMoMAでは見かけなかったブルーカラー層が多かったということだった。入館料が無料であったし、開館時間も延長され、作品の一部として花火も上がったほどであったから、地域住民も駆けつけたのだろう。子どもも目立った。

 

●そもそもNYには、美術館が集積しているが、特に集まっているのは、5番街に面して、「メトロポリタン」、「グッゲンハイム」、「クーパー・ヒューイット」、「NY市立美術館」などが立ち並ぶ、「ミュージアム・マイル」である。ここでは、毎年1回、その名も「ミュージアム・マイル」というイベントが開かれる。夕方5時から9時まで入館料が無料になる。道路も歩行者に開放される。各美術館の前で小楽団が音楽を奏で、パフォーマンスをする人がいたり、子ども向けのデッサン教室を行ったりする。道路にバケツ一杯チョークを置き、自由に、何でも描けるようにしてあるところは、特に楽しい。

 

●元祖美術館集積地「ミュージアム・マイル」と、クイーンズの現代美術の集積地は、同じ美術館集積地でも、まるで異なる。「ミュージアム・マイル」は徒歩圏内に集積しているのに対し、クイーンズでは徒歩の移動は無理だ。「ミュージアム・マイル」は、超高級住宅地に位置する一方、クイーンズは、どちらかといえばブルーカラー層の多い地域だ。「ミュージアム・マイル」は、テーマもたくさんあり、全世界・全時代の美術品を網羅しているが、クイーンズでは、「現代美術」という分野が限られている。

 

●いってみれば、「ミュージアム・マイル」は「駅前総合デパート」で、クイーンズは「秋葉原」のようなものではないか。「秋葉原」では、集積していることに意味がある。テーマ性を持った美術館の集積から生み出されるものは大きい。MoMAがクイーンズに移転したことによって、クリエイター、デザイナーがさらに移り住み、関連ギャラリー・ショップのオープンも期待される。まさに、現代美術が生まれる地=現代美術のメッカとして認知されるようになるだろう。

一眼レフで撮影した写真を、デジカメでさらに撮影。

こんなにボケボケに・・・。ちょっと辛い!

 

No.10:地下鉄ミュージシャンを育てる仕組み

●パリやロンドン、東京などと並んでNYも、地下鉄ミュージシャンの宝庫だ。地下に入れば、どこからともなく音楽が聞こえてくる。特に、「人種・文化のサラダボウル」というだけあって、楽器の種類もパフォーマンスも、バラエティーに富む。奇妙な楽器や、見たこともない楽器に足を止める人も多い。はっとするほど、美しい音色や情熱的な音楽に出会うこともある。一日中、地下にいて、パフォーマンスめぐりをすることも、冗談でなく、可能だ。

 

●彼らの多くは、NYの地下鉄・バスを運営しているMTAのアート部門「MUSIC UNDER NEW YORK」が主催する、年に一度のオーディションを経ているので、レベルもかなり高い。これは、毎週、オフィスからスケジュールを受け取り、あらかじめ決められた時間・場所でのパフォーマンスが許可されるという仕組み。一般に、アンプなどの機材を持ち込むことは、法律で禁止されているが、「MUSIC UNDER NEW YORK」と書かれた横断幕をどこかに展示していれば、ポリスにとがめられることもない。横断幕を目立つように掲げている人もいれば、さりげなく畳んで路上に敷いて名刺や自作CDを置いたりしている人もいる。また、許可を得ているとは言っても、「MUSIC UNDER NEW YORK」に入らずにやっている人もいて、場所取り争いはあるらしい。

 

●先日は、これら地下鉄ミュージシャンのうち9人を呼んで、リンカーンセンターでコンサートが開かれた。「In Transit」というコンサートだ。NYのボランティア・ネットワーク「New York Cares」をサポートするための慈善コンサートで、広告スポンサーにシティバンク、ニューヨークタイムズ、タイムワーナーケーブルが名を連ねる。チケットは、35〜65ドル。

 

●出演者たちは、プロダクション会社Eagle Rock International社の代表者であり、このコンサートのプロデューサーであるPeter Gross氏自らが選んだ。

プレイヤーにとっては、あのような大舞台で、大勢の観客の前でプレイできるとは、まさにアメリカンドリームだ。こうしたイベントが、さらに地下鉄ミュージシャンの質を高める。

 

NYでは、プロの音楽家が公園でフリーコンサートを行い、博物館・美術館が無料開館日を設けるので、お金をかけずに本物の芸術に触れることができる。富めるもの、才能あるものが、地域に還元する。一方、今回紹介したコンサートは、私たちがお金を払って、「地下鉄ミュージシャン」の夢をかなえてあげるわけだ。地域のNPO団体のための慈善コンサートであるが、同時に、地域になくてはならない存在である「地下鉄ミュージシャン」を私たち自身で育てることもできる。どちらも、とても懐の深いイベントだと感じた。

 

【ひとこと】いつかまとめて、地下鉄ミュージシャンのことを書こうと思っていたところ、とても素敵なイベントがあると知って、とうとう記事にしてみた。でも写真は、慌てて撮ったものばかり。暗い地下で撮った写真は、どれもこれも???残念。でも、最近、しみじみ、NYが好きだなって思うようになった。

 

 

No.9:ジュエリー製作を、デイスプレイ

●高級ブランドが軒を並べる5番街、「H.Stern」。ジュエリーショップのショーウィンドーをのぞく人々がいる。この店は、ジュエリー大国ブラジル生まれの宝石店で、世界に180店舗展開する。ガラス張りのショーウィンドーの中で、デザイナーと職人が作業をしている。展示期間は4月末から1ヶ月間。通りすぎる人は、最初は不思議そうに足を止め、次第にじっと見入っていくので、人込みはどんどん大きくなっていく。

 
●考えてみると、これまでジュエリーのショーウィンドーは、台に並べて、小物や背景を工夫して見せるものが多かった。ジュエリーが主役だからだ。どうしても、小ぶりな展示しかできない。窓を大きくとったとしても、店内の豪華な雰囲気を見せるぐらいしか方法がない。通りすぎる人々を惹きつけるのは、難しい。しかし、この展示方法は、美しいジュエリー製作の裏の側面を見せて、人々を惹きつけるダイナミックな展示方法だ。

●この近くには、NYに本店を持つ「ティファニー」もある。こちらでは、先月、工場労働者の抗議行動が店の前で行われた。劣悪な労働環境と低賃金に抗議して、ティファニーの特徴的なパッケージを模した水色の箱に抗議文を折りたたんで入れ、通行人に配っていた。この抗議行動で、何となく宝石のイメージが損なわれた。それでも、ティファニーには、大勢のお客がひっきりなしに出入りしている。特に宝石を買う予定がなくても、観光目的に訪れる人も多い。

●一方、職人がウィンドーで楽しげに作業しているH.Sternには、それほど客が入っていなかった。ウィンドーがいくらおもしろくても、店内に引き込むほどの威力はないのかもしれない。また、売り上げにも関係ないかもしれない。
 ただ、ジュエリーのデザインや製作の楽しさが感じられるのは、断然、こちらだ。子どもが熱心に見ていて、お母さんが作業の様子を熱心に説明していたのが印象的だった。また、女性より男性がじっくり見ている場面が多かった。作業をしながら、にこっと笑顔を向けてくれたスタッフもいて、高級イメージのジュエリーには珍しく、ほのぼのとした雰囲気があった。ジュエリー業界全体のイメージアップにもつながるショーウィンドーだと感じた。


ショーウィンドーをのぞく人々。


ネックレスをデザイン中。CDを聞きながら。


熱心に見つめる子ども。

 

No.8:「Sushi」の次は、「Cha」?!

●緑茶は、本来、約800年前に中国から日本に伝わったものだが、こちらでは、寿司店や日本食レストランで出されるものなので、日本のものと認識されている。また、和食は健康的であり、神秘的な東洋文化に興味を持つ人は多い。ただ、わざわざ自分で茶葉を買って日常的に楽しむ人は少ない。
 そして、グリーンティー=健康的という画一的なイメージだけが広がり、味の違いや本当の味わいは二の次になっている。甘くないジュースなど、考えられないようなので、レモン味の甘い緑茶といった、信じられないような缶やペットボトルの飲料も売られている。

●ペットボトルのお茶が日系スーパーだけでなく普通のスーパーやデリで扱われれば、手軽にこちらの人も本当のお茶を楽しめるのにと思っていたところ、今年の3月、伊藤園が、北米で初めて、「甘くない」緑茶のペットボトル飲料の販売を開始した。また、高級ブティックやアパートが立ち並ぶアッパーイーストに、フラッグシップショップをオープンさせた。最近、ラーメン、牛丼、パンと立て続けに日本食の店がオープンしているマンハッタンの中でも、このショップは、オープン以来、各誌で紹介され、周辺住民を中心に注目されている。

●日本国内では、「お〜いお茶」や「充実野菜」をはじめ、ほのぼの路線・健康志向だが、ここではむしろ、より洗練され、おしゃれなイメージだ。
 1階のティーショップでは、煎茶、抹茶、ほうじ茶などの日本茶だけでなく、中国茶・紅茶など計75種類以上もの茶葉を扱う。大きな窓から入る日差しで明るい店内は、壁際に整然と、茶葉のサンプルが入ったガラスの器が並ぶ。香りをかぎ、形を見て、たくさんのお茶の種類と違いを知ることができる。また、カウンターでは、ティースペシャリストが、丁寧に試飲用のお茶を入れ、保存方法なども詳しく説明する。茶葉は、カウンターの後ろの大きな冷蔵庫に木箱で保存され、量り売りされる。店内奥では、急須や茶碗、茶器などの道具も扱う。
 2階のレストラン「会(Kai)」は、グレーと黒を貴重にしたシックな雰囲気で、懐石料理とお茶、アフタヌーンティーなども楽しめる。

●現在、アジア・ソサエティーとジャパン・ソサエティーでは、「The New Way of Tea 」という展示が行われているが、伊藤園は、これにも全面協力している。本来なら、煎茶中心の商品構成なので、抹茶を中心とする茶道の世界とは一線を画すが、「日本のお茶文化を広める」という共通認識を持っているようだ。

●茶葉の販売だけなら、チャイナタウンに台湾で有名な大手の「天仁茗茶(Ten Ren's TEA)」があるし、FAUCHONを始めとするヨーロッパのお茶もある。しかし、伊藤園はペットボトルや缶飲料の販売に強いので、お茶の普及に大きく貢献するのではないか。日本でも、無糖飲料市場のパイオニアであった伊藤園が、今後、アメリカでどのような展開を見せるか、注目したい。


入ってすぐの吹き抜けにある
一枚の大きな和紙が見事。


茶葉のサンプル。


テイスティング
「いなか茶」:茎も入っている茶葉。
実家でよく飲んでいたお茶だった。


取材した日は、なぜか男性客が多かったけれど、ふだんは、ご夫婦連れ・女性客も多い。

 

No.7:マンハッタン版「コンビニ」の行方

●最近、東京でおしゃれなデリをよく見かけるという話しを聞いたが、本場の「デリ」は日本でいうところの「コンビニ」だ。典型的な店のパターンがある。ビジネス街の多いミッドタウンに特に多い。

 店の外には、果物がきれいに積まれ、季節の花束があふれるようにして並ぶ。店の中には、ぐるりと周囲の棚に、缶や瓶詰めの食料品、洗剤、台所用品などあらゆるものが天井まできちんと並べられている。野菜や生鮮食品も、一通り揃う。帰宅途中に、立ち寄る会社員が多い。

●デリの最大の特徴は、店内中央のサラダバーだろう。ランチ時には多くの会社員たちが群がる。サラダバーといっても実際にはサラダだけではない。いわゆるホテルのバイキング形式である。メニューは、他民族都市を象徴している。スパゲッティー、ラビオリ、ラザニアなどのパスタ類に始まり、ピラフ、カレー、フライドチキン、グリルドチキン。サラダが数種類。チャーハン、焼きそば、ギョウザ、巻き寿司、日本そば…。内容は店によっても多少異なるし、同じ店でも日替りで少しづつ変わる。備え付けのプラスチックの容器に好きなものを好きなだけ取る。何が入っていても、1ポンド何ドルと決まっている。このほか、スープが置いてあるところや、サンドイッチを作ってくれる所も多い。

●一説によれば、はじまりはユダヤ人がコーシャーフード(ユダヤ教の決まりによって調理されたもの)を同胞に売るための店だったとのこと。その後、韓国人移民がこの業界に参入してから、マンハッタン中に広がったそうだ。
 なるほど、大量生産・大量消費というアメリカのイメージからは程遠い。周囲の住民の要求を満たすため、24時間営業にし、さまざまな商品を扱うようになり、ついにはマンハッタンの人々にとって、なくてはならない存在に作り上げた。ATMを設置しているところも多い。買い物の金額がある程度まとまるなら、電話一本で配達もしてくれる。コンビニというより、商店街の「よろずやさん」と言ってもいいだろう。

●ただ、日本でもコンビニが淘汰されたように、マンハッタンでも、デリの淘汰は確実に始まっている。幅広い民族に合わせるために卒のない味つけとメニューにし、一通りの生活雑貨を並べ、家族ぐるみでうちにこもった経営をしていては、当然だろう。
 日本の成功したコンビニ経営者たちのところに、マンハッタンの韓国系デリ経営者たちを視察に招いたら、目からウロコだと思うのだが、どうだろうか。

 

No.6:匿名広告が意味すること

●ソーホーで、10月初旬から「Here Is New York」という写真展が話題になっている。連日、多くの人々が訪れ、休日ともなれば、入場に行列ができる。
 崩れ落ちるタワー、避難する人々、消防士の顔など、テロ事件にまつわるデジタルプリント数百点が、会場に張り巡らされたロープにクリップで止めてある。マス・メディアに掲載された有名写真家の作品も、一般人のスナップ写真も、全て同じように扱っている。展示作品には、作家名もキャプションもない。全て同じ大きさである。一律25ドルで販売される。そして、これらの売り上げは事件の被害者、特に子どものための基金に生かされる予定だ。
 ギャラリーのあるビルのオーナーが、ニューヨーク・タイムズ紙の写真家などと共に始めた。有名人が行うチャリティーと言えば、その知名度を生かすのが当然と考えられるが、これは匿名である点が新しい。この展示のサブタイトルは、「a democracy of photographs」だ。

●匿名と言えば、ニューヨーク・タイムズ紙にジョン・レノンのイマジンの一節、「Imagine all the people living life in peace」 という文字だけを掲げた全面広告が掲載されたこともあった。後日、オノ・ヨーコ氏によることが明らかにされたが、紙面にスポンサーを表す名前や写真は、一切なかった。

●また、街頭広告にも、匿名のものがあった。一つは、赤、白、青のストライプを背景に、中央にツインタワーを配し、「NEVER FORGET」という白抜きの文字が浮かぶもの。
 もう一つは、白を背景に、中央に赤く十字に見えるツインタワー。そして、小さく、赤十字・ニューヨーク消防署・ニューヨーク市警・救助隊の人々へ「ありがとう」の言葉。ともに広告主の名前はどこにもない。

●広告費用のことを考えると、果たして匿名であることのメリットはあるのだろうかと疑問だ。しかし、訴えたいことがあり、それに共感する人がいる。これは、一種「あうん」の呼吸だ。これまでのアメリカ人の強い自己主張に、変化が現れた証拠かもしれない。


どの人も真剣なまなざし


ギャラリースペースの奥でスタッフが打ち合わせ、
作業を進める。組織の活気、速効性を感じる。

 

No.5:「いやし系」を求めるニューヨーカーたち

●ニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、テロ事件で最近のニューヨーカーたちは、寂しさを痛感しているという。ニューヨーク市には300万人の独身男女がいる。大学を卒業したばかりの若者が何かを求めて集まる。また、連れ合いと分かれた高齢者も、交通の便利さ充実した娯楽から離れられない。事件後、その独身貴族たちが精神的結びつきを求めるようになった。マッチメーキング斡旋会社では、事件3日後から顧客が劇的に増え始めた、ということだ。

●また、USAトゥデー紙には「事件以来、全米的にマッサージを受ける人が増えている」という記事が掲載された。これをうけて、「読売アメリカ」紙も、米マッサージ業界は、今、「サービス向上合戦」で顧客獲得に懸命だ、との記事を掲載している。日本のオフィス街では既におなじみの「クイック・マッサージ」を取り入れるところも増えているそうだ。
 時には、路上に椅子一つ持ち出して、肩から背中にかけてマッサージしてくれる人を見かける。顔を伏せて座るので、人目にさらされることはないが、ビジネス街の真ん中で、肩揉みされるのは、少し気が引ける。しかし、この光景は、「Time Out」誌が最近選んだニューヨークらしい光景「Essential New York」の一つに選ばれている。「この忙しい街で気軽に(大抵、10分10ドルである。)、禅の効用が得られる」、と書かれていた。

●そして、最近、特に目に付くのが、「Name Painting」だ。1.5センチほどの平たい板を筆のように扱って、カラフルに名前を描いてくれる。アルファベットの形に合わせて花や蝶などを散りばめ、曲線で草木などをあしらうので、とても美しい。(大抵、1枚5ドル。)
 平たい板一枚で、美しい絵が一瞬にして出来あがる過程自体が、パフォーマンスだ。そして、描かれたものが自分の物になるというのも、うれしい。これも一種の「いやし」ではないかと思う。じっと自分の名前が美しく書かれていくのを見るという行為が、精神的な落ち着きを得られるし、出来あがった名前を見ながら、様々な曲線、装飾を色々に想像するのも楽しいだろう。

●路上で、これらの商売を見ていて、バックでよく聞こえてくるようになったのは、ダンス・ミュージックに交じって、「コンドルは飛んでいく」などのアンデス音楽の旋律だ。ビルにこだまして、よく響き、心打たれる。多くの人がこの調べに足を止め、しばし聞き入る。そして、CDを買い求め、チップを置いていく。
 これらの光景を見ていると、今は、NYの街全体が癒されたい、という空気に浸っているのだなと感じる。

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No.4:NYのパレードは、世界の縮図

NYの道路は、都市のインフラとしての機能を持つだけではない。しばしば、ストリート・フェアの会場として、またパレード会場として、大規模に封鎖されイベント会場となる。市内で道路を使って開催されるイベントは年間約400回(NY市ホームページより)。パレードは、特に、9月〜11月にかけて多い。毎週、時には数ヶ所で、催しが繰り広げられている。

●ストリート・フェアは、ファッション雑貨、工芸品、ファースト・フード、マッサージ屋とどれも出店がほぼ決まっている。
 おもしろいのは、パレードだ。アイルランド人のお祭りである「セント・パトリック・デー・パレード」(3月)や、「プエルト・リカン・デー・パレード」(6月)、「ドミニカン・デー・パレード」(8月)など、たくさんの民族が共存するNYで、同郷・同族が集まり、存在をアピールする。また、「ゲイ・レズビアン・プライド・マーチ」(6月)など、個人の主義主張をアピールするものもある。
 派手に飾られた山車の上で踊りまくるラテンの人々、伝統的な衣裳を着て音楽を演奏するアジアの人々、そして沿道で国旗を振る人たち。見ているだけで気分が高揚する。
 パレードの構成は、鼓笛隊、政治家、警察官(NYPD)、消防隊員(FDNY)、そして民族の人々だ。忙しい政治家達は、たいてい先頭に近い集団に位置し、笑顔を振りまく。NY市長選のある今年は、候補者が必ず顔を出している。

●先の9月11日の悲しい事件によって、ほとんどのストリート・イベントは中止となったが、10月8日の「コロンバス・デー・パレード」は、「パレード・オブ・パトリオット(愛国者のパレード)」と名前を変えて開催された。アフガン攻撃が開始された翌日の開催とあって、観客は例年より少なかったが、愛国心を確認しあうには十分すぎるパレードだった。
 コロンブスがイタリア人であったことから、イタリア系アメリカ人のお祭りであり、例年であれば赤・白・緑のイタリアン・カラーがあふれるところであるが、今年は星条旗を持つ人々が非常に多かった。翌日のニューヨークタイムズ紙は、「新大陸を最初に発見したのは誰であったかといった議論はなく、一種、独立記念日のような趣であった」と表現していた。

●パレードは、移民にとって自己アピールの機会であると同時に、アメリカへの忠誠を誓う機会でもある。だから、アメリカを中心とした世界の縮図なのだともいえる。多くの民族から成るNYならではのイベントだ。

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No.3:マンハッタン、100円ショップの戦略

●マンハッタンというと、つい一流ブランドのブティックに足が向くが、ディスカウント・ストアも健在だ。
 全米に店舗を持つ大手チェーン、Kマートもあるが、今回ご紹介したいのは、「Jack's 99 cent store」。日本で言うところの「100円ショップ」だ。
 Kマートの始まりが1899年創業の「5セント・ストア」ということだから、アメリカにおけるディスカウント・ストアの歴史は長く、ポッキリ価格で販売する手法は相当古くからあるようだ。

●さて、「Jack's」には、食料品から文房具、キッチン用品、工具類に至るまで、全て99セント。マンハッタン内に2店舗ある。
 日本と異なり、卵(36個入り!)、牛乳、ハムなどの生鮮食品も扱う。もちろん、こんなもの誰が買うんだろう?と思うような外れ商品もあるが、他店より安く手に入るものもかなりあるので、NY在住の日本人も、よく利用している。また、子どものおもちゃ、プレゼント用のラッピングの材料、パーティー用の部屋の飾りなども充実しているので、お土産を求める日本人も多い。
 特に、子どものための文房具や洗剤、キッチン用品、化粧品、食料品などを信じられないくらい大量に買いこむ黒人やヒスパニック系の人も多い。

●この「Jack's」の近くには、「webers」や「OD JOB」というディスカウント・ショップもあり、相乗効果を出している。この地域に来れば、大抵のものが揃うだろう。
 地域一帯で、ディスカウントの百貨店という機能を果たしている。中でも、100円ショップが、そのけん引役をしているのが興味深い。

 店内は、各コーナーを「4A」「1B」など数字とアルファベットで組み合わせたもので表示され、分かりやすい。単純で分かりやすいこれらの表示は、英語ができない店員(外国人労働者)に対し、商品陳列の指示を出しやすいようにという配慮でもあるのだろう。
 本店2階の「Jack's World」は、トースターやコーヒーメーカー、扇風機など家電を含め、1階より高額の商品を扱う。それらは、1ドル未満が全て99セント。1階で全て99セントという安さを植え付けられ、2階へ上がる。すると、他店に比べて特に安いというわけではないのに、財布の紐がゆるくなる。1階では至るところで、2階へ上がることを促す表示が見られる。
 1階の99セントは、確かに原価割れと見られるお得な商品が多い。それはつまり、2階へ上がらせるための広告費なのだ。
 マンハッタンの100円ショップは、ディスカウント百貨店の目玉商品なのだといえる。


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No.2:「ただ」より高いものはない

●6〜9月の夏の間、NYでは野外コンサートが頻繁に開かれる。その多くは無料である。
 セントラルパーク、リンカーンセンターなど市内各地の公園に、人々が詰め掛ける。芝生に色とりどりの敷物を敷き、風船を掲げる人もいれば、ワインや食べ物を持ち寄り、日が暮れるとろうそくを灯す人もいる。一流の演奏家たちの生演奏を、カジュアルに聴くことが出来るのは、とてもぜいたくな楽しみだ。またクラシックだけでなく、オペラ、映画、ジャズ、バレエ、ダンスなども堪能できる。

●しかし、無料とは言っても、良い席を確保するためにはそれなりの努力が必要だ。特に、努力を必要とするのが、6〜8月に、月曜日を除く毎日、セントラルパークの屋外パブリック・シアター「The Delacorte Theater」で上演される「Shakespeare in Central Park」だ。会場は座席数が限られるので、観覧には当日配布される整理券が必要で、これを手に入れるのが難しい。配布場所は、会場と、それ以外に市内にもう一ヶ所設けられているが、どちらにも連日多くの人々が殺到する。
 今年の7〜8月の演目は、チェーホフの「かもめ」で、メリルストリープが出演するとあって、特に大変な人気であった。
 テレビや新聞によると、整理券を求める一番乗りは深夜0時半。セントラルパークが公式にオープンする朝6時には、既に百人ほどが詰め掛けていたそうである。私が様子を見に行った日は、あいにくの雨が降り出したにも関わらず、寝袋やマット、デッキチェア―などを手にした人々をたくさん見た。NYPD(NY市警)も深夜シフトを増員し警備にあたっているというから、相当なビッグイベントだ。



●この整理券入手の困難さは、今年のトニー賞最多部門賞獲得ミュージカル「プロデューサーズ」に匹敵するほどであると言われる。もちろん、ダフ屋も暗躍しており、チケットは二人で平日95ドル、ウィークエンド150ドル、特に混む日はさらに50ドルプラスといった具合になるそうだ。
 後日、「The New York Times」紙では、「時は金なり」の格言を引き合いに、この整理券の配布方法に問題提起をしていた。退職者や旅行者など時間のある人のみに機会が与えられていること、また、たとえ並んで手に入れたとしても非常に時間の浪費だと主張し、代替案はないかと探っている。一方、主催者側はこれが一番民主的な方法であるし、これまでもずっとこの方法を取っていると主張している。そして、投書などを見ると、市民は好意的に見ている。何の文句も出ていない。列に並ぶこと自体を楽しんでいるのだ。

●この劇場は、市政府や基金からの援助以外に、この夏の公演のために個人や企業から約200万ドルの寄付金を得ている。このような下地があるからこそ、価値のあるものを無料で提供することができる。そして、市民の反応を見ている限り、それを享受する側も、その価値に見合う代償を払う覚悟ができているのだといえるのではないだろうか。

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No.1:マンハッタンの韓国人パワー

●ありがたい日系スーパーだが…
 現在、ほぼ三日に一回の割合で、スーパーに出かけている。そんな中で感じたことを記してみたい。
 私の住まいの近くには、大型スーパーがない。ただ、マンハッタンに住む日本人なら誰もが知っている、日本の食材を扱う店がある。
 大根、ごぼう、もやしといったこちらのスーパーでは買えない野菜、海外生活で大活躍の乾物、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、お菓子など、一通りの食材が揃う。店内の一角には、コロッケや唐揚げ、季節の野菜の煮物など十種類ほどが用意され、好きなものを好きなだけ選ぶ量り売りのお総菜コーナーが特に人気。うどんやベジタブルカレーなど、郷愁をそそるメニューがあって、店内に用意されたテーブルで食べることも持ちかえることも出来る。
 レジでは日本語が話せ、常時、日本のテレビ番組が放映されている。ここは日本?!と一瞬驚く。NYは、他の都市に比べれば、日本の情報も商品も豊富で恵まれているという。確かにありがたい存在だ。
 しかし、日本のように、新製品が次々ときれいにレイアウトされるスーパーに慣れていると、品揃えに欠き、「山奥の個人商店」を思い起こしてしまうのは、私だけだろうか。

●コリアンスーパーが好き
 そんなわけで、最近この店から足が遠のいている。今、私のお気に入りは、コリアンタウンにあるスーパーだ。日本の食材を出来るだけ安く買おうと思うと、チャイナタウンに出かければ良いのだが、少し離れているので、近所にこのスーパーを発見したときは本当にうれしかった。
 所狭しと商品が並べられ、雑然としているが、チャイナタウンほどではない。あの異常な活気に比べれば、落ち着いて買い物ができる。店内には韓国の歌謡曲が流れ、ナツメロに聞こえてしまう時もあるが。地元のスーパーでは絶対に見ることの出来ない細切り肉や、魚が充実している。どれをとっても日系のスーパーより商品バラエティーに富む。値段も安い。例えば冷凍餃子は、日系スーパーにはせいぜい二〜三種類しかないが、韓国系スーパーでは、日韓製ともに五〜六種類あり、迷うほど。韓国製の「かっぱえびせん」や「コアラのマーチ」もどきを見つけてはしゃぐ日本人客(私?)も多い。
 日本のビールを扱っている点も、魅力の一つだ。日系スーパーで扱う店もあるが、この店のほうが安い。
 また、地階はレンタルビデオショップになっていて、日本語のビデオも扱い始めた。もちろん海賊版。テレビガイドなどのコピーも貼ってあり、最近のトレンディ・ドラマの展開を知ることが出来る。「HERO」のキムタクのポスターには韓国語が印刷され、韓国での人気も実感できる。

●ターゲットは日本人
 韓国系スーパーは、韓国人だけを相手にしているのではなく、日本人も商売相手にしている。日本・韓国の食材を求める米国人も店内で見かける。一方、日系スーパーは、日本人だけを相手にしている。時に、あずきアイスやエビピラフを買いこむ外国人(日本人ではない人)を見る程度だ。
 コリアンタウンのほとんどのレストランは日本料理(スシ、テンプラ、炉端料理)を扱っている。しかし、日本人が経営するレストランで、キムチやビビンバを出すところはない。
 旧「ヤオハン」経営、現在「ミツワ」と呼ばれるスーパーは、日本人コミュニティーの中で絶対的な地位を誇っており、日本のものが何でも揃うということで、マンハッタンからも多くの日本人が買い出しに出かけるが、「ミツワ」は韓国系資本だ。
 以前、渋谷の「東大門市場」で韓国人バイヤーについて話しを聞いたときのことを思い出した。日本での客の要望を捉えると即、韓国の工場に戻って作り、翌週には渋谷で販売。ほとんど休みなく日韓を行き来し、本当によく働く、と。
 韓国は、日本人をターゲットとして強く意識している。

●日本は韓国に吸収される!?
 あらゆる人種が生活するアメリカで、韓国人は最も遅く移住してきた。しかし、教育程度の高さと資金の多さで、他のマイノリティに比べて恵まれており、支配層と従属層に挟まれた「ミドル・マイノリティ(中間少数派)」といわれてきたそうだ。
 彼らは、マンハッタンの真ん中に、コリアンタウンを作り上げている。周辺には、ホリデー・インなどのエコノミーなホテルが多く、NYを訪れる旅行者が多く出入りし、韓国パワーを肌で感じていることだろう。 
 韓国人は、いきなりグローバル化を目指すのではなく、自分たちに最も近い日本人にターゲットをしぼってマーケットを作り上げている。日本というフィルターを通して、グローバル化を図ろうとしているのではないか。
 昨今の企業撤退の影響で、郊外にあったかつての日本人コミュニティが空洞化し、韓国人の裕福な層に取って代わられた地域があるというのは、非常に象徴的だ。
 追いかける立場は強い。追いついたとき、日本と韓国の関係はどうなっているだろうか。韓国が日本を吸収しているのか、日本が韓国を吸収しているのか、それとも、数々の歴史的しこりを克服したとして、似た者同士の両国は良好な協力関係を築けるのだろうか。
 日本は韓国に吸収されてしまうかもしれない。韓国レストランで、アメリカ人の友人にお寿司をご馳走するなんてこともあるのかもしれないと、キムチを食べながら考えている。

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