ヴァンゲリス
VANGELIS PAPATHANASSIOU
ヴァンゲリス・パパサナシュー(パパタナシューとも)は、第二次世界大戦のさ
中の1943年3月29日にギリシャのボロスに生まれる。イタリアが連合国に降
伏するのは、この年の9月になってからのことである。幼い頃からピアノに慣れ
親しみ、作曲もしていたと言われている。
1967年、ギリシャで軍事クーデターが勃発し、王政がもろくも崩壊した。ヴ
ァンゲリスは1968年の5月革命(5月危機とも)のフランスに移住する。パリ在
住の二人とアフロデーテズ・チャイルドを結成し、「Rain And Tears」、「It’s
Five O’click」、「666」を発表する。(動物の黙示録解説より)
1974年にロンドンに移住し、TVドキュメンタリーのサントラ「動物の黙示録
」「野生」を発表。カール・セーガンのTVドキュメンタリー「コスモス」に「天国と地
獄」「反射率0.39」が使用され好評を得る。
「炎のランナー」で1982年第54回アカデミー賞最優秀オリジナル作曲賞を
受賞する。その他の映画音楽として、「ブレードランナー」「南極物語」「1492」
がある。南極物語のメイン・テーマは、日本のTVドキュメンタリー番組ののBG
Mの定番となった。
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DIRECT(輸入盤) 1.THE MOTION ARISTA ARCD−8545 |
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MASK(輸入盤) 1.Movement 1 Polidor 825 245−2 |
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SPIRAL(輸入盤) 1.Spiral RCA ND70568 |
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ページ・オブ・ライフ ジョン アンド ヴァンゲリス 1.ウィズダム・チェイン アリスタ BVCA−103 |
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私のお薦め曲(ベスト盤を除く)
ヴァンゲリスは芸術家?指向なので、流行などお構いなしの人である。その結果、
「格好いい!」とか「スゴイ」曲も多いが、「何これ?」とか「おや?」と首をひねりたく
なるような曲もある。ただ、これは個人の嗜好もあり、一概には言えない。私個人か
ら見れば「えー、こんな曲が。」なんてモノが、ヨーロッパではヒットしていたりするか
らわからない。ヴァンゲリスは、当たりはずれの大きな作曲家である。
とは言え、日本人としての嗜好はある程度あるだろう。この「嗜好」と私個人の嗜
好が同じ、または極めて近いと仮定して紹介しよう。少なくとも始めての人には、何
の情報もないよりマシだから。
1.『ヴォイシズ』の「ヴォイシズ」
イスラム風の男性ヴォーカルが入る曲。基本的にヴァンゲリスの曲は「繰り
返す」ことで、情感を高めていく傾向がある。バッハなどのバロック音楽と同
じ手法である。この曲はTVでもよく使われている。
2.『炎のランナー』の「タイトルズ」
これも有名な曲で、スポーツ物のドキュメンタリーに使われたりする。あと「
五輪」もいい曲である。タイトルとなっている「炎のランナー」は20分41秒と
いうとても長い曲である。
3.『天国と地獄』の「天国と地獄パート1」
男女のコーラスの入る曲。ひとことで言えば「恐ろしい曲」。何回も聞いて
いるのだが、聞くたびに鳥肌が立つ。好き嫌いは別として、音で表現するこ
とを徹底させている。パート1とパート2の間にイエスのジョン・アンダーソン
が歌う「ソー・ロング・アゴー、ソー・クリア」が挿入されている。パート1は16
分50秒、パート2が21分09秒と長い。これは「物語」を表現するため、まる
で大河ドラマのように、いきさつから語り起こすためであろう。ヴァンゲリスの
もうひとつの表現法である。1975年の録音だが、音楽性は色衰えない。
4.『マスク』の「ムーヴメント1」
もうひとつの恐ろしい曲である。友人が夜中に遊びに来て、「何かがやって
来そうだ。」と宣(のたま)った。このエピソードだけで説明は不用だろう。高
い女性コーラスが特におそろしい。古代ギリシャ語らしいのだが、意味は不
明。それだけに余計身の毛がよだつ。
5.『1492』の「コンクエスト・オブ・パラダイス」
映画「1492」のなかで使われた曲。「1492」はコロンブスの話で、たしかシ
ガニー・ウィーバーがエリザベス女王役で出てたと記憶している。サンプリン
グしているのだろうが、電子音の感じを排除して映画のイメージを損ねない
ようにしている。ちょうど「ブレード・ランナー」と逆である。
6.『流氷原』の「メモリーズ・オブ・グリーン」
映画「ブレード・ランナー」のなかで、ショーン・ヤング扮するレプリカントのレイ
チェルがピアノを奏でるシーンに使われた。映画ではピアノ曲だが、「流氷原」
では、バリバリ電子音となっている。「ブレードランナー」はヴァンゲリスにとって
少し毛色の違う作品で、音楽構成作家として参加しているが、ミュージシャンと
しては出ていない。もちろんこのHPでは、ブレード・ランナーをヴァンゲリス作
品に含めていない。
7.『大地の祭礼』の「ムーヴメント1」
サンプリングと言えば、いきなり雷雨で始まるこの曲がすぐれもの。繰り返しの
短いフレーズのなかに、シンセサイザーの音が左右に走り、変化しながら、流
れていく。しばらくすると、また同じモチーフに帰り、再び流れていく。印象的に
記憶に残る物のないまま、最後に川の音で曲は終わる。まるで、聞く人を洗い
流す、祭礼のための、禊ぎのための作られた印象の曲である。作品解説に環
境音楽との表現があるが、言い得て妙だろう。
8.『螺旋(スパイラル)』の「ダルヴィーシュ D」
ダルヴィーシュはイスラム教の苦行僧のことだが、曲の感じとしては「ロック」し
ている。ヴァンゲリスはどういうわけだか、「ロック」のジャンルに分類されてい
る。活動の開始がそうだったからなのだろうが、環境音楽でもあるし、サントラ
でもあるし、シンセサイザー音楽でもある。こういう人間を分類することに意味
があるかどうかは分からないが、この分類法はいちど分類に失敗すると、二
度と検索できないという問題はある。「見知らぬ男」も捨てがたい曲である。
9.『反射率0.39』の「アルファ」
カール・セーガンの科学TV番組「コスモス」のメイン・タイトル曲。カッコイイ曲
と表現しても問題ないだろう。前述のようにヴァンゲリスは芸術家肌の人間だ
が、TV番組やサントラで首を傾げるようなものはない。「ロック」を前提にすれ
ば、当然聞く人間がいるはずで、自分さえ納得できればいいという考えだけで
は成立しない。サントラやTV番組でも同様で、やっぱり客を意識しなければ
成り立たないだろう。もっとも、自分の世界に客を引きずり込むことが可能な
天才なら話は別だが。「パルスター」や「核の創世」もお薦め。
10.『中国』の「タオ・オブ・ラブ」
この曲をひとことで表現するなら、「中華風シンセ」だろう。電子音楽で表現で
きない音はないのだろうけど。キーボードかと思ったらシナチクだったり、シン
セのコードかと思ったら、麺だったりするわけではないだろうが、シンセサイザ
ーと中国。結びつきそうもないテーマだが見事に中華音楽している。
11.『動物の黙示録』の「海辺の少女」
なぜ、「動物」で「少女」なのかは不明だが、秀逸な一品。もの悲しいテーマが
流れ、美しく、か細く、消えていく。
12.『ダイレクト』の「ダイアル・アウト」
とにかく、イチ押しのアルバム。かっちょええー。のひと言に尽きる。買って損
は無いと思う。スピード感があって、濃厚である。もっとも、昔からのファンだと
「らしくない」と言うだろうが。この意味では「南極物語」も同じ。
13.『南極物語』の「メイン・テーマ」
これもお薦めのアルバムである。日本映画にヴァンゲリスを起用するなんて、
大ニュースと思った。日本もなかなかやるなと思ったら、「金で買った」と影口
を叩く人がいて、「日本人が高く買うから、それで依頼料が上がるんだ。」と不
平タラタラ。事実は知らんけど、いいアルバムが出来てOKさ。どうせ、日本映
画なんて見ないしね。
補足1
コスモスに使用されたヴァンゲリスの曲をリストアップしておこう。
1.天国と地獄 パート1
2.アルファ
3.霊感の館 パート2
4.イグナチオ
補足2
ヴァンゲリスのかなりの作品がCD化されているが、手持ちのレコードでCD化
されていないものがひとつだけある。(正確には不明。)これを紹介して終わり
にしよう。
IGNACIO(イグナチオ) EGG(エッグレコード) GP700
1.イグナチオ パート1 21:32
2.イグナチオ パート2 18:29
最終更新日2001年7月7日