ロバ耳

ネコ

小さい頃、ネコの言葉がわかった。

動物を飼っている人には当たり前のことかもしれないけど。

ネコにはネコ道というものがあるらしい。
わたしが前住んでいた家の庭は、ネコ道だったようだ。
よくネコが通行していた。

ある日、1匹のネコが家の庭でひと休みしていた。
ネコの真似をして、ネコをなつかせ、一緒に遊ぼうとたくらんだ。
よつんばで歩いてみたり、ネコっぽい動きをしてみたり。
ネコはきょとんと見ていた。
そうしてしばらくネコはわたしを見つめていたが、
ふとした瞬間、ネコは言った。

「ついてこい」

ネコは塀の上を歩いていく。わたしもネコのあとを追う。
障害物があって、もたもたしていると、ネコはわたしを待ってくれる。
ずっと一緒に塀の上をひたすら歩き続けた。
近所のおばさん達が変な顔してわたしを見ていた。
わたしは一体この先に何があるのだろうと、わくわくしながらひたすらネコの後を追った。

ネコについていくうちに、わたしにはどうしても通れない細い隙間に辿り着いた。
ネコについていくのを断念した。
ネコはずっとわたしを待っていてくれたけど、わたしはネコに謝って帰った。

その日の夜、一晩中家の前で一匹のネコがずっとなき続けていた。
わたしはなんだか悲しくて、もうネコと遊ぶのはやめた。

2003.05.29


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