1.土蔵記録の概要1100
(文中の人物は仮名です)
大正の土蔵建築記から工事の予算配分と職人の手間・・・中脇修身「各職域の役割」より
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- 1.建築 大正2年旧11月27日
2.屋根葺き 旧12月23日
3.荒壁塗 大正3年旧1月19日
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- 4.裏壁塗 旧 2月12日
- 5.毛ぶせ 旧 3月14日
- 6.大ナラシ 旧 3月15日
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7.屋根塗初 3月16日
- 8.中塗り初 5月 1日
9.落成 5月23日
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- 10.大正1年旧12月30日 竹中半四郎 渡
20円58銭
- 但し尺角玄関石10間8分7厘
- 代高26円8銭のところ室戸より運送賃5円50銭を石当地着迄引如此
- 運送賃共 間2円40銭
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11.大正2年旧3月24日 竹中半四郎 渡 5円50銭 石運賃
- 12.旧6月18日 竹中半四郎 渡 22円91銭9厘 敷板9間1厘代・枚数75
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13.6月18日 竹中半四郎 渡 5円5銭 敷板2間代 枚数18
14.7月12日 竹中半四郎 渡 28円31銭8厘 1寸板8分板共 計14間2 歩代 枚数1寸64 8歩55
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- 15.8月22日 3円58銭7厘 竹中半四郎 渡 尺38歩板8枚8歩7厘 尺1
- 8枚 内キズ、クサリ3枚引
- 15枚1間1歩4厘ニロメ2間1歩1厘85円95銭4厘
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16.11月 2日 竹中半四郎 渡 200円 安田行木代
17.11月 9日 竹中半四郎 渡 20円 木材の貨車賃共
18.12月 1日 竹中半四郎 渡 6円 縄100ぱ 把代等
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19.12月 7日 竹中半四郎 渡 20円 シトミ用 8歩板10間代外共
20.12月 9日 竹中半四郎 渡 30円 瓦代の内へ
21.12月 11日 竹中半四郎 渡 5円 縄代等
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22. 11日 竹中半四郎 渡 5円 安田行木代等
23.12月15日 竹中半四郎 渡 20円 マド金2枚代等
24.12月29日 西ノ宮左官 渡 57銭
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25. 29日 黒田竜太郎 渡 16銭 金コマ4枚分
26. 29日 竹中(渡) 10円 細川裕次郎 払分共
27.12月30日 竹中 68円 大工85人役賃 徳川 渡
- 内24円米3俵代1円 34銭5厘
他米代を引き残り渡す
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28.12月30日 竹中 40円 日雇い賃等
29. 同日夜 竹中 20円
- 30 .〆 505円68銭4厘
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- 31. 同日夜 竹中 16円 但し大正2年旧11月7日と12月 13日の米8斗代
- 32.〆 5021円68銭4厘
- 33.大正3年旧正月12日 石山岩雄 2円50銭 錠代
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34.1月19日 竹中渡 5円 荒打ち10人役賃
35.1月15日 竹中 15円 木代の内へ
36.5月15日 竹中 18円 瓦代の内へ
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37.5月21日 竹中 10円 漆喰運賃 踏み石代
38.6月1日 竹中 6円18銭5厘 木代不足分
- 39.〆578円36銭9厘
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- 40.6月6日 竹中 53円20銭5厘 左官岩之助同人弟子
春馬 一太郎 熊五郎の分
41. 竹中 14円16銭5厘 諸払の分
42. 竹中 24円22銭5厘 左官眞之助分
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43. 竹中 38銭 左官鉄之助4歩役不足の分
44. 竹中 13円95銭 山野正之助の31人役代
- 45. 〆 684円29銭4厘
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- 46.6月7日 竹中 6円28銭5厘 岡波 青山 高橋 森 他諸払
47. 7日 竹中 45銭 正之助1人役廉落の分
48. 7日 竹中 30銭 セメント代等
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49. 16日 竹中 15円80銭 瓦代残金
50.〆 707円12銭9厘
51.6月23日 竹中 34円74銭 山野鉄之助の漆喰124俵代
- 安田 亀彦へ渡す分 内10俵 徳林 高杉 へ売分代3円60銭
- 当家114俵分使用代31円14銭
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- 52.〆 738円26銭9厘
- 53.7月 7日 竹中(渡)31円56銭5厘 左官亀之助 重太郎同人弟子の賃
- 54.〆 769円83銭4厘
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- 55.木 300円
- 56.大工 85人 石山岩雄 賃68円
57.左官 126人8歩 松坂岩之助外数人 賃120円46銭
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58.土 429馬代 17円35銭
59.漆喰 114俵代 41円4銭
60.瓦 1835代 61円30銭
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61.鬼瓦 2個代 3円50銭
62.スサ用古縄45貫代 2円20銭
63.縄 67把7歩代 5円86銭2厘
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64.人夫 178人5歩賃89円25銭
65.竹 300本 自分の藪にて切る 代10円
- 66.大工祝儀 8円50銭
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67.左官祝儀 2円
68.日雇祝儀 1円
69.左官広三郎へ見積礼 1円
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- 70.7月13日竹中(渡) 19円10銭 但し蔵にかかる日役50人代
- 40円のところを、内20円90銭 蔵用買い込みの諸品が余り、他
- へ貸付の分を同人の担当とし差し引き
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71.14日 竹中 11円9銭6厘 津呂左官 政幸・幸二郎 両人の賃
- 72.〆800円3銭
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土蔵の建築記録 |
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- 建築記録
- 大正3年5月23日落成 多田氏土蔵建築記録の解説
調査 平成10年2月
- ・・・・・・・・・報告・・・・・・・・・
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- 平成7年10月、建築関係の調査依頼をうけ吉良川に出向き、土蔵建築記録のコピ−
を頂いた。内容的には賃金等の支払いを重点にしたものであるが、記録と土蔵を重ねる
- と当時の現場が見えてくる。大正2年旧暦11月30日倉庫(蔵)建、大正3年(旧
- 暦)5月23日落成、施工に要した6ヶ月、施主・大工・左官・手元・建材屋がどのよ
- うな立場で関わったのであろうか。
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記録の土蔵正面 |
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- ▲土蔵に関わる5人の男
@ 施主、多賀龍吾氏は土蔵完成を旧暦の5月23日(新暦6月中旬)に行っている。空気中に湿りをもったこの時期、土佐漆喰施工においては最適である。施主は土蔵の外装仕上・土佐漆喰の『癖』を知っていた。
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- A 大工、石山隆馬氏は雨期完成を目標に構造材加工を行った。工作は土佐漆喰に隠れ化粧となる部分が少ないが、ノボセ梁や丑梁(うしばり)における技法、敷き板・壁板の削り程度に棟梁の腕前を読みとることができる。
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- B 左官、松坂岩之助氏は最終的な仕上げを背負っている。雨期の中、短期間の外壁工程を計画 し実行した人物である。ある時は工事現場の主役であった。彼を主役に引き立てたのは国宝級といわれる土佐漆喰である。
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- C 手元、山野鉄之助氏は職人の補助的な役目も行っていた。当時彼等は手先が器用で建築現場には不可欠な存在であった。延べ人役は大工左官をおさえてトップである。人役の数字からも彼等の重要性が理解できる。
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- D 建材、竹中半四郎氏は施主から職人の賃金を預かっている。頑固な職人達はそのような仕組みを何故認めたのであろうか。
- 筆者の推測を加えながら、ひとつの考え方として報告をする。ペ−ジ始めの建築記録に番号を記している。記録の番号にあわせて解説を行うため参考にして頂きたい。
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