大正3年土蔵土蔵記概要工事予算顔役半四郎金の支払施主の管理計画と施主
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3.顔 役

 予算執行に当たってひとりの仲介者がいた。竹中半四郎氏である。建築資材の受注から、職人の賃金支払い迄関わっている。

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施主の門・いしぐろ
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@ 竹中半四郎 氏の役割

 工事現場を仕切った者は誰か、非常に興味のある部分である。記録には竹中半四郎という人物が頻繁に登場する。資材購入金、施工関係者の賃金等は殆ど竹中氏を経由している。では竹中氏は土蔵建築を元請けして、各専門職に仕事を回していたのかというと、不自然な部分がある。

  
26.12月29日 竹中(渡) 10円 細川裕次郎払分共
  27.12月30日 竹中 68円 大工85人役賃 多賀 渡
  40・  6月 6日 竹中 53円20銭5厘 左官岩之助
               同人弟子
文太 一太郎 熊五郎の分
 例えば番号26・27・40において、施主から竹中氏に渡された金額と同時に、大工や左官等の氏名や人役まで記録されている。
 しかも、施主の記録の中である。施主が職種や人役まで記載する必要性には2つの理由が考えられる。
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 a.工事そのものを誰も請け負っていなかった
 b.竹中氏が請け負っていたが、今後の参考にするため施主は実際の手間を記録した
 この参考という意味は、次の建築というよりも、研究的な資料という傾向が強いものであったかも知れない。竹中氏が元請けであったなら、契約の時点でもっと建築工事の専門的な区分による工事名称があったはずである。また工事金支払いについて、記録されたほどに細かく日程を区切る必用はなかったはずである。
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水切瓦と窓

 竹中氏の役割は土蔵建築の資材調達から、各職人の手配を引き受ける専門家で、主としては建材屋的な人物であったのかも知れない。
 いずれにしても、現在の金額にして1,500万円を越える建築予算を任されている。施主や各職人達を中心に、職域において絶対的に信用の高い人物であったことは間違いない。
A 工程を動かす

 建築工事予算の流れは、施主→竹中→(職人・手元・資材運搬屋・資材屋)となる。当時の通信手段や運搬事情から考えると、竹中氏のような仲介者の存在は、記録の施主以外の現場も含めて重要であったと思える。

 しかし、竹中という人物が元請けでないと仮定すると、何故彼が職人の賃金まで経由したのか、頑固な親方達は何故そうした流れを承知したのか、多くの疑問が残る。
 竹中氏が多田家に近い(親戚)関係で、全てを任されていたとすれば特別な方式であったことになるが・・・?

 各職の資材発注から搬入まで、一定の期日を指示されて契約を行う竹中氏はその道のプロであることは間違いない。建築資材・出納の担当として、土蔵建築の舞台裏で職人を支えた人であった。

 もしも竹中氏の役割を職人達が行えば、日々の現場施工に多くの支障が生じたと思われる。建築関係者にとって竹中氏は工程を左右する存在であり、建築計画を組み立てる上で、不可欠な人物であったことが分かる。

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