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6.施工計画と施主と左官
下記の記録工程、番号@〜H迄に記録された内容は左官職人の工程が多い。例えばチョウナづけといって大工職人の仕事始めや敷地基礎部の地がため、建前の棟上げ等も工程上の大きな節目であるが記録されていない。- 番号Bは荒壁、Cは裏壁、Dは壁内部の下地、Eは壁塗、Fは屋根瓦の『め漆喰』と左官の塗工程である。そしてGも左官の壁中塗りである。施主は必要以上に壁にこだわっている。壁は土蔵外部の重要な意匠である。その外壁は土佐漆喰の出来次第で、豪華さに天と地の開きが生じる。
土蔵の内部構造に桧の柾を使用する施主はいない。美しさ芸術性は外観の土佐漆喰に集中して表現する。内部には強度的な配慮がなされるが、必要以上に化粧としての予算は投入しない。つまり外部(土佐漆喰)に予算をつぎ込むのである。それを受けて施主の思いを叶えるのは、壁の伝統工法を継承した左官職人の技である。
『土蔵』には特別な条件が加えられる。それは100年風雨に耐え、美しさを失ってはならないということである。
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1. 建築 大正2年旧11月27日
2. 屋根葺き 旧12月23日
3. 荒壁塗 大正3年旧 1月19日
4. 裏壁塗 旧2月12日5. 毛ぶせ 旧3月14日
6. 大ナラシ 旧3月15日
7. 屋根塗初 旧3月16日
8. 中塗り初 旧5月 1日
9. 落成 旧5月23日
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- 施主の条件を可能にするためには、施工の季節と各工程の間隔・風・温度・湿度によって変化を加える勘の技、つまり左官職人の現場経験が重要である。
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庇周辺- ・
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乾燥した構造材に荒壁を塗れば当然木は水分を吸収する。眠っていた木材が目をさまし、大きく息をするのである。このとき木は動き、ネジレを起こす。そうした動きが静まった頃左官職人は次の工程にかかる。左官は工程が進むと、壁自体の硬化程度や色によって次の工程を決断する。- 当時の施主はそうした手順を十分知っていた。技の心を知っていたから必用な予算、必用な工期を承知したのである。施主はこうした工程計画に職人並に参加をし、土蔵を施工したと考えてよい。
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土佐漆喰施工現場- ・
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この記録から、施主が土佐漆喰にかける深い思いによって、細部まで行き届いた完璧な施工を目指したことが分かる。
壁は荒壁から中塗まで、4ヶ月と10日の期間を要している。このようにして施主と施工者が一体になり、100年の風雨に耐える建築物・土佐漆喰の土蔵は完成したのである。- ・
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