Vail, Colorado


2003年のクリスマスにコロラドのベイルlにスキーに行ってきた。
何と6泊7日という長期。今まで学生のときですら4泊が最長なのに、そんなに体力が持つのか心配だったのだけれど、結果的にはちょうどよかった。
というのもベイルは3500m級の山々で高山病になったからだ。体が慣れるまでに2-3日かかる。。高山病対策としては着く前からとにかく水をたくさん飲むこと、着いてからもカフェイン、アルコールは避けることなどが上げられる。エビアンを6本持って出たものの、早々水ばかり飲めるものではない。
コロラドとミシガンは2時間の時差があるため、ベイルに着いたのは1時ぐらい。
滑ろうと思えば滑れるが、初日は無理はしてはいけないと聞いたのでゲレンデを見学したり、街を歩いたりして過ごした。
ここは世界一高い(費用が)スキー場というだけあって、歩いている人たちは毛皮を着ていたりする。
大体私が泊まったロッジなどクリスマス・イブからは1泊$380である。私は目を疑った。それまでは$126。
でも、去年行った友人はMarriotに泊まって一泊$560だったというので、驚くばかりである。
ところで、私たちと同じロッジにどう見ても高校生くらいの礼儀正しい男の子たちが泊まっている。そして彼らはスペイン語をしゃべるのである。
えっ南米から?それともスペイン?ゲレンデでもスペイン語が飛び交う。後で聞くと南米のお金持ちたちで、中には料理人や子供たちの家庭教師まで引き連れてくる客もいるらしい。ビレッジの中にはやたら毛皮やさんと宝石店、ギャラリーが多い。


2日目。いよいよゲレンデである。リフトは一日$72。日本からのお客さんには割引があるようで、コロラドで20年来日本からのスキーヤーの面倒を見てくださっているSki Americaのオーモリさんに連絡すれば10%引きで買える。
私が泊まっていたロッジからはLionsheadが近いのでそこから高速リフトに乗りゲレンデ中腹のEagle's Nest(3155m)まで登る。そこから中級コースのBorn Freeを降りたのだけれど、息が切れてしょうがない。高山病だわ!と思いつつも、運動不足のせいかも知れないと不安がよぎる。実はスキーに来る5日ほど前にぎっくり腰をやったのです。昔下手なゴルフをやりすぎて腰を痛めてから癖になっているようで、疲れが溜まったりしたときになってしまう。ドクターにスポーツセラピーに行くように言われたけど、今までカイロプラティック、マッサージなど数々試したけど効き目があったものなんて何もないので、スポーツセラピーに行く気など全くない。とりあえず痛め止めの薬を処方してもらうよう頼むとドクターは、「この薬はとてもきついから運転や重労働はしてはいけません」という。
「あのー、スキーは?」「この薬を飲んでスキーなんかしたら、あなた、首の骨折るわよ!」といってにらむ。
まずい!でも、今更スキーをキャンセルするわけには行かない。だって、何千ドルも払っているのだもの。
私は作戦を考えた。とりあえずスキーまで毎日薬を飲んで安静の日々を過ごす。一週間もすればきっとよくなるだろう。そうなればスキー場で薬を飲まなければいいのよ。ほーら、[Take this medison as needed]って書いてあるじゃない。そうして私は5日間寝てばかりいた。というより、この薬本当に強くて飲むと意識が朦朧とするのである。
5日間、ほとんど歩かなかった私の足の筋肉は衰えているに違いない。ただでさえ体力は落ちているのに、しかもここは空気が薄い。
ちょっと滑るたびに止まってはーは−肩で息をしていた。
Vailのコースはどこも長いのである。
ぐったり疲れてこの日は10時前に寝た。



3日目。昨日と同じEable's Nestまで登っても結構平気。だいぶ高度にも慣れてきた。頂上まで行ってみよう。
Two Els Lodge(3420m)まで登るとたった220mほどしか違わないのにやっぱり頭痛がする。
とりあえず中腹まで降りようと必死で滑る。途中どこをどう滑ったのか連れとはぐれてしまい、なんと!、大回転の練習をしているコースに出てしまった。
まずい、こんなところ滑られるわけがない。コーチと思しき女性に、I guess I came to wrong placeというと、彼女は冷たくYes, you are.といい,ゲレンデの端っこの方、圧雪されていないところを滑って降りろという。
そんなのは嫌だとは言えずOKといって滑り出したものの、半ば辺りで雪にスキーを取られ無様な格好で転ぶ。
立ち上がろうにもついた手が雪の中にズボッ。ストックもズボッ。スキーも雪の中深く入ってしまって出てこない。
どーしろと言うの!私は泣きたい気分だった。
でも、誰も助けには来てくれない。
必死の思いでスキーを靴から外し、掘り出し、そのスキーを手で靴にはめる。
その全ての行動は一方のスキーの上、つまり片足で行ったのである。
やっと立ち上がったときはもう体力なんか残っていなかった。
誰も滑っていないパウダースノーなんて私は嫌いだ!!
やっと普通のコースに出たときは精も根も尽き果てていた。



4日目。Back Bowlsを滑らずしてVailを滑ったとはいえないといわれ、今日こそはとBack Bowlsに向かう。ほとんどが上級者コースである。数少ない中級者コースのあるChina Bowlを滑ることとする。まずその広さにびっくりする。鉢状にになっていてその斜面の270度がコースである。皆、四方八方からそこを目指して滑っていく。あまりにもその広さに感動して足元を見ていなかったのか、ひょいと降りたコースは上級者のところだった!しかもまたもや圧雪されていない。瞬く間に雪の中に埋もれる。
昨日の二の舞だ。数回ここを滑った後、隣のBlue Sky Basin(3499m)にも行ったのだけど、何と気温がマイナス25℃。寒いどころの話ではない。息を吸うと鼻の中が凍りそうなのだ。
それでも、滑っていたのはその景色がすばらしかったからだ。
私は始めて命を賭けて山に登る人の気持ちが少しわかった。
私はほとんどちゃんとしたコースを滑らず(滑れない?)林道コースのようなところばかり山を眺めながら滑っていた。
また,来よう!と心に誓った。

この日はロッジに帰ってシャワーを浴びるとすぐにジャグジーに入り、その後サウナにも入った。
夕食はお寿司屋さんに行く予定だったのに、もう一歩も歩けないほど疲れていて、ルームサービスを取った。
そしてそのままぐっすり眠ったのだけれど、嫌な夢を見た。
腕を骨折してギブスをしてもらっている夢である。
朝起きると腕が痛い。見ると腫れ上がっている。
昨日転んだときかなー?何度も転んだからどのときか思い出せないのだけど。
悪いことに今日はクリスマスである。
救急で行くしかないか。
スキーアメリカのオオモリさんに電話をして病院の場所を聞く。
幸いロッジの隣が総合病院だそうだ。
そのまま歩いて救急の入り口まで。
クリスマスの朝、9時。当然誰もいない。
説明をしてペーパーワークをして、レントゲンを取る。
待っている間、ミシガンの先生の顔が浮かぶ。
折れていたら戻ってからそこに行かなければ行けない。
「だから言ったでしょ!」
アー目に見えるようだ。
私は腫れていたので間違いなくひびが入ったと思っていた。
しかし幸いなことに骨に異常はないそうだ。
でも、先生もどうしてこんなに腫れているのか不思議だという。
念のためもう一枚レントゲンを。
そのとき看護婦さんと話していて、ふと、昨日あまりにも寒かったのでジャグジーに入ったといったら、
「That's it」。
その後ドクターからもこういうときに患部を暖めるのはもってのほかだとお叱りを受ける。
だって、そのときは痛みなんて感じなかったんだモノ。
当然、その後サウナにまで入ったということは言えなかった。
冷やすように、と冷却パッドをもらって帰る。
今日が最後の日だというと、滑ってもいいよとのこと。
こんなときいつもの私は絶対行かないのだけれど、
昨日の景色がもう一度見たくて、またゲレンデにあがっていきました。


VailにはOnce is Never Enoughという言葉があるそうです。
私たちも例に漏れず今度来るときはこうしよう、あーしようと、既にまたくることを想定しています。
どんなにここが気に入ったかというと、普段観光地などでほとんど買い物をしないのに、
Vailと刺繍の入ったT−シャツ、フリース、帽子を買ったのです。
われながらちょっと笑ってしまいます。
でも、本当によかった。

ホテルが高くても、リフトが高くても許しましょう。
その価値はありました。
また、地元の人たちがとても感じがいい。
リフトで一緒になると必ず声をかけてくれるし、フレンドリーだった。
これはヨーロッパのスキー場にはないものらしい。


今回は情けないことに体力が続かなく、あさ9時半ごろゲレンデに行って3時前には上がり、ロッジに戻ってシャワーを浴びて体に鞭打ちながら夕食に出かけ、戻ってきて10時過ぎには寝てしまうという日々だったのですが、ベイル、そしてお隣のビーバークリークはアフタースキーがいろいろ楽しめるところ。次回はぜひ、優雅に過ごしたいものです。

そして、夏にもぜひ行ってみたいと思いました。