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「長者の大主」は、旧暦八月十五日の十五夜祭に沖縄各地で演じられている祝賀芸能の一つで、その筋書きは、白髪城ひげの老翁が子や孫を引き連れて登場し、国の繁栄や五穀豊穣を祈願する口上を述べ、さらに祝賀の舞を奉納するといったものである。十五夜祭の最初に演じられ、その後、踊り、獅子舞、狂言、組踊りなどが演じられる。

浦添では、勢理客(じっちゃく)、内間、小湾、仲西、沢岻、前田などの各地域の十五夜祭で演じられていた。いずれのものもその内容は大筋においてほぼ共通しているが、口上や構成が地域によっていくらか異なり、その地域或いは祭の特色もあらわれている。例えば、今回取り上げた勢理客や内間では獅子が村神として崇められていて、十五夜祭も獅子舞を中心とした祈願祭の性格が強いためか、内間の長者の大主の口上には「獅子がなしの御祭りに行ちゅん」とあり、勢理客の場合は、筑登之(チクドゥン)の踊りの口上の中で「老人童皆肝揃とて、獅子崇み踊り狂言すしや豊かな証さみ」と述べ、祭りの性格を詠み上げている。他方、四肢のなかった小湾地域の長者の大主では勿論そのような口上等はなく、大主が芳情の祈願をし、それに対して幕内から天人(あまんちゅ)が恵の声と共に、後刻の種子を授けるという興味深い構成となっている。の頃三地域の長者の大主については、採録されていないため、具体的な内容は詳かではないが、いずれもその地域や祭りの性格を語っているものと思われる。

それから、勢理客と内間の長者の大主は、「ハーメー」という老婆と童女のドタバタ芸と対で演じられているが、これは殆ど例を見ない構成であり興味深い。当初からこのような対であったのか、それとも、後年ハーメーの分が分が追加されて対で演じられるようになったのかは、定かではないが、地域の古老から聞取りしたところでは、物心ついた頃にはすでにこの形態で演じられていたということであるから、少なくとも六十年以前からの構成であると思われる。長者の大主一同の品位のある立居振舞いに比べてあまりにも粗野なハーメーとの一対は、奇妙な対照をなしていて面白い。
                                                              
                        解説:仲西 正勝
長者の大主(ちょうじゃのうふすぅ)

解説
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「長者の大主」台本
「長者の大主」(訳)台本
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