さかなやさん
さかなやさん
私の原風景。(2)
三日に一回ほど行商の「さかなやさん」が来ていました。
前後ろに六尺棒にかけた「テボ(ざる・籠)」を荷なって歩いて来ます。
「ニネーテボ」と言いました。
そのテボの中には笹の葉や杉の葉を入れてあります。
その下に魚が入っているわけです。
もう片方のテボには魚やさんの弁当や汗にまみれた巾着袋が入っています。
イワシやアジの干物もこっちのテボです。
「御免下さい。おっちござるですな。
奥さんな今日は魚はいらっしゃれんですな。」
「オンチャンななんば持っちござる。」
「うない。今日はクロイヲとアラカブやアコ。
めんだしかたエイチャンチャンのおります。」
「そげんた気色の悪かけんいらんですばな。」
「クロイヲはさっき上がったばっかりですけん。」
「どーせイケスもんでっしょう。」
いろんなやりとりをしております。
「クロイヲはいくらですなあな。」
魚屋のオンチャンはクロイヲとりあげてチキリ(天秤はかり)
にかけて重さをはかっています。
今思うことですが、この秤はなんかインチキくさかったなあと。
(魚屋さんすいません)
その晩のおかずは当然クロイヲの煮付けでした。
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