さくらが天界2ヶ月が過ぎた6月。
1年生クラスはお正月に行われるコンクールに向けて練習を開始していた…。
聖歌学校では卒業するための絶対条件をコンクール優勝としている。
9年間(9回)のうち一度でも優勝することができたのなら卒業。もし出来なかったときは…
即退学処分とし一般学校で1からやり直すということになっている。
「おはよう。さて今日も一日練習するわけなんだけどその前に一つ提案がある。」
学級委員の翔がいつものように前に出て言った。
「練習をはじめて2ヶ月たつ…。俺達なりにいろいろやってきた。けれど何か足りないと思うんだ。」
この2ヶ月この1年生クラスは自分たちなりに練習を重ねてきていた。
みんなで知恵を出し合っていろんな練習法をあみだしたりしていた。
その練習法の一つを紹介してみる。
このクラスは混声3部。ソプラノ、アルト、そして男声。
普通、この3パートに別れてそれぞれでパート練習というものをする。
が、彼らは違うパート同士でいくつかのグループを作り練習する。
(ソプラノ1人、アルト1人、男性2人)
そして、お互いに発表し感想を言い合うのだ。
こうすることでお互いのレベルを上げていったのである。
「私も翔と同じふうに思うわ。」
声をあげたのはグリーンの瞳の女の子だった。
「上手くはなってるとは思うけれど…。」
彼女は静かな声で、
「何か足りない…。」
それはみんな感じていたことである。
一生懸命に練習しているのにアレとは何か違う。
技術的な事だけじゃなくて…なんだろう?
アレとは何かが違うんだ。
「…そこで提案なんだけど今日Angel Suger のコンサートをみんなで聞きに行こうと思う。」
〜Angel Suger〜
それはそれは天界のアイドル的存在である。
聖歌隊のプロ。
Angel Sugerの歌声は誰もの心に強く残り忘れることのない素晴らしい歌。
これぞまさに天使の歌声。
そして聖歌学校に入ったもの全ての憧れの存在である。
さくらももちろん(熱狂的)ファンである。
「なるほど。A.Sのコンサートを見て勉強するというわけ…ね。」
「その通り。A.S のいい所を盗め。」
翔は手を握りしめ力の入った言葉でいった。
さくらはA.Sのコンサートを心から喜んでいた。
なぜなら彼女はA.Sのファンであると同時にA.Sが彼女の将来の夢であったからだ。
(私もいつかA.Sに入る!!!!)
下界の上空。
「ヒロ。今日、A.Sのコンサートあるんだけどいかない?」
「……。めんどくさいな。A.Sのコンサートとなると天使がたくさんあつまるからな。」
聖歌学校1年生全員はAngel Suger のコンサートが行われるsnowドームへとやってきた。
「かなちゃん、緊張するね。」
さくらは憧れのA.Sを前に緊張しきっていた。
「うん。でもさくらちゃんは緊張しすぎ。さくらちゃんが歌うんじゃないんだから…ほら、もっとリラックスしてっ。」
そういうとかなはさくらの背中をポンとたたいた。
超大物Angel Sugerのコンサートとなるすごいたくさんの天使でいっぱいだ。
歩くのも大変である。
そんな中なんとか席につくとすぐに開始のブザーが鳴った。
『只今よりAngel Sugerのコンサートを始めます。』
幕が開きそして静かにA.Sは歌い出す…。
歌声がみんなの耳に届く…。さくらの耳にもとどく。
届いた瞬間さくらの体に鳥肌が立つ。
歌に吸い込まれていく…
なんて心地よいんだろ…?
これが歌なんだ。本当の歌。
それは優しくて、くすぐったくて、そして甘い。
表現のしようのない、どんなきれいな言葉で飾っても飾りきれないそんな歌だった――。
たくさんの拍手のなか幕が下りる。
『只今から15分間の休憩を頂きたいと思います。』
そんなアナウンスが流れた。
それと同時に開場がざわつく。
聖歌学校1年生全員はA,Sの歌に驚き感動して固まっていた。
(すごい。なんてやわらかい歌なの?私もあんな歌うたいたいっ。」
さくらも同様に感動していた。
「ねえねえ、かなちゃん。」
さくらが固まっているかなの方を軽くたたいた。
「――?あっ、えっと、何?」
「私、トイレいってくるね。」
「うん。1人で平気?」
「へーき、へーき。いってくるね――。」
さくらはパタパタとかけていった。
「まったくヒロがブーブー言ってたせいで1部が終わちゃったじゃない。」
海は笑顔のまま怒っていた。
「いーじゃなんか。2部からだって――ブツブツブツ」
ヒロと海もA.Sのコンサートを聞きに来ていた。
本来なら1部から聞くはずだったのだがヒロが『行きたくない、めんどくさい。』とだだをこねていたのである。
「ったく、ヒロは――。」
手のかかるヒロに海は怒りがおさまらにようである。
ヒロと会は並んで会場の方へと歩いていく。
周りにはやくさんの雑音と天使があふれている。
「ねえねえヒロ。」
海はひろの袖をぐぐいっと引っぱった。
「なんだよ?まだ怒ってるのか?そんなにおこらなくたって――いいじゃんか。」
「ねえ、あれさくらちゃんじゃない?」
ヒロは会の指差す方を見た。
たしかのその方向にさくらがいた。
ヒロはさくらを見つけると赤面する。
それを見た海はニヤッっと笑う。
ヒロはそのまま静止してさくらを見つめていた。
ブ―――。
『これより第二部を始めたいと思います。ロビーにいるお客様は速やかにお席にお戻りください。』
そのアナウンスを聞いたさくらは走り出し…
そしてヒロのすぐ横を駆け抜けた。
そう、風のように…さくらは通りぬけた。
A.Sコンサート終了。
「さくらちゃん。やっぱりA.Sはすごいねー。私達もあんな風に歌えたらな――。」
「そうだね。」
さくらは大満足であった。
今までにない感動を胸に抱きさくら達は寮へと帰った。
「ヒロ来てよかったでしょ?」
くすりと笑う海。
「うるさいっ。」
耳まで真っ赤なヒロ。
ヒロ天界で初めて会ったさくらに心奪われていた。
さくらとヒロとそれから海3人が出会うのまだ先のこと…。
優しくてくすぐったくてそして甘い。
そんな歌を私もうたってみたいな。