その11 私の1週間(2004.8.31)
 この9月に、私はのんびりとした専業主婦4年目をニュージーランドで迎えようとしています。そんな私の平均的な1週間をご紹介しましょう。

<月曜日、火曜日>
 娘を学校に送った後、まずは洗濯物を干したり、掃除をしたりします。気分が乗らなくて、だらだらしているとあっという間にお昼が来てしまいますが、たいていは10時前後に終わります。
 家事を済ませた後は私の自由時間です。天気がいい日はたいてい、この時期は庭の草抜きをしています(暑すぎず、寒すぎず、雨が多いので土が柔らかく抜きやすい)。
 前の住人がまったく手入れをしていなかったため、去年5月に引っ越した時には芝はぼうぼうと伸び、雑草がはびこって荒れ放題でした。芝については、自分で芝刈り機を使って刈る家も多いのですが、我が家は専門の業者に頼んでいます。なので、私は芝刈り機から逃れた雑草を、こつこつと周囲からちょっとずつ抜いていきました。
 こちらの一戸建てからするとそう広くもない庭ですが、まあ子供が数人駆け回って遊ぶことができるぐらいの広さはあるので、去年のライフワークは「草抜き」といってもいいぐらい、時間を費やしました。雑草を抜いていると、頭がからっぽになって没頭できるので、嫌いではない作業です。
 ただ、いくら私の地道な努力が実って、今年はだいぶ芝が勢力を盛りかえしてきた からといって、なんになるだろう、もっと建設的なことに時間を費やした方がいいのではないだろうか、と思います。だれも誉めてくれないし、気付いてもくれません(夫に無理矢理、見てみて、すごいでしょと賛辞を強要はするが)。
 そもそも、雑草はなんにも悪くないのに、ただ芝地にはえるからといって私が抜いていいものだろうか、とふと、哲学的に考えたりします。でもやっぱり、芝を押し退けて雑草がのさばっていると、なんだか妙に目について、ついついむしってしまうのでした。
 きりがない草抜きを終らせ、一人で昼御飯を適当に済ませ、インターネットをやったり、洗濯ものを取り込んでいるうちに、3時の迎えの時間になります。先日、夫が代休を取っていた時、「3時って家にいるとあっという間に来るなあ」とつぶやいていました。そういうものかもしれません。

オークランドはすっかり春めいてきました。すくすくと木々が成長するこの国では、木蓮も巨大で、迫力があります。
<水曜日>
 午前中はちょっとだけ忙しいです。娘の通う小学校で、英語が母国語でない子供たちに英語を教えるというボランティア活動に参加しているからです。文法やボキャブラリーなどは専門の先生が教えていますが、私たちボランティアは、発音のルールと日常生活によく使う基本的な文章を担当します。私はアフガニスタン出身の姉弟とインド出身の男の子の3人を受け持っており、1人20分ほどで、用意されている教材に従って練習していきます。

 これでも日本で、中学・高校の英語教師の資格だけは持っているので、文法はひととおり押さえているつもりです。でも、文法という概念で説明できない子供にどうやって教えてやればいいのか、子供への英語の教え方について知りたいと思っていた矢先、今年の最初の学期に、ボランティア募集のちらしを娘が持って帰ってきたのでした。ネイティブでないのに、英語を教えるなんておこがましいことをやっていいのか、もちろん自信はありませんでした。でも、担当の先生に聞いたところ(ちょうど娘の担当の先生だった)、構わないとのことで、とりあえずやってみることにしました。ちなみに私のモットーは、「やらないで後悔するより、やって反省!」なのです。

 始めに2回、教材の使い方や注意点などのセッションを受けた後、さっそくレッスンが始まりました。最初のころはお互いに緊張しましたが、3学期目を迎えた最近は、子供たちとも話が弾むようになって、とても楽しくなってきました。それに、子供たちに教えるといっても、私自身が子供たちから学ぶこともたくさんあります。たとえばアフガニスタンのお姉ちゃんと言語の話になった時のこと。彼女は5、6カ国語がしゃべれた、と言ったのです(今は大分忘れたそうですが)。私はぴんとこずに、「何語なの?」と聞いたところ、「アフガニスタンの言葉2つ、ロシアの言葉2つ、それにここに来てから英語」と言うのです。アフガニスタンへのソビエトの侵攻など、まったくの他人事でしかなかったのですが、まさにこの子たちは渦中にいたという事実を目の当たりにさせられたのでした。

夫の代休中、天気が良かったので2人でゴルフに行きました。娘の学校のお迎えがあったので全部は回れませんでしたが、久しぶりに体を動かして気持ちよかったです。
<木曜日>
 学校が終わるとそのまま、車で15分ほどのバレエ教室に行きます。おやつは車の中で済ませるので、私の車の後部シートはお菓子のくずで汚いです。掃除をせねば。。。
 日本では少ないと思いますが、こちらはイギリスのRoyal Academy of Danceのカリキュラムを採用しているところが多く、毎年試験があります。この8月に2回目の試験を終え、娘はめでたくPrimaryからGrade1に昇格しました。初歩のレベルでは試験に落ちることはまずないようですが、それでも、試験前の先生は真剣です。補習レッスンや試験用のリハーサルまであって、結構親も付き合うのが大変です。その真剣な先生につられて、生徒たちもそれなりに(あくまでもそれなりですが)緊張して取り組んでいました。
 私自身が小学校を卒業するまでバレエを続けていたので、レッスンを眺めているのはとても楽しいです。教え方自体も最初からバーを使ってステップを教える日本とはかなり違っていて、やっと最近、バレエらしいステップを習い始めたところです。これまではその前段階として、基本の足の向きや手の動かし方の練習といった感じでしたが、ちょっとずつフランス語の専門用語が入ってきました。「あ、これやったなあ」と懐かしくレッスンを眺めています。
 今のところ娘はとても楽しんでやっているようで(上達が実感できるようになってきたためだと思う)、家でも毎日、忘れずに柔軟体操をやっています。9月には2人で、Festival of Russian balletの舞台を見に行きます。もっとも、娘より私の方が楽しみにしている感じですが。
<金曜日>
 学校が終わると今度は、知り合いのお母さん同士が集って運営している日本語教室に通っています。日本領事館から教科書が無料で配付されるという有り難い制度のお陰で、国語の教科書を使って日本で教師経験のある方に教えていただいています。
 4月に真新しい教科書を手にした時の娘の興奮ぶりは、親の方がびっくりするほどでした。こちらでは小学校では教科書はなく、先生がプリントを使って授業を進めるので、ピカピカの自分だけの教科書を手にするなんて、娘には夢のような喜びだったのです。わくわくして1册ずつ、名前を書き込んでいました。
 車で40分ほどの所に日本語補習校もあるのですが、放課後週に2回通うのは母子共にかなりの負担になるので今の所は考えていません。ただ娘が通う日本語教室は、1週間に1回、1時間の授業なので、とても日本に住んでいる子供のレベルには追い付いていないと思います。いくら家では日本語で会話していても、書く量、読む量が絶対的に足りません。それでも、娘の小学校には日本人は今のところ一人もおらず、日本人の子供たちと会って、日本語で会話すること自体が楽しみになっているようなので、当分は続けたいと考えています。

ゴルフボールを池に落としました。鴨の母子をびっくりさせたかもしれません(慣れている?)。
<週末>
 休みの日の方がなぜか早く起きる娘が不思議です。ま、あと7、8年もして思春期を迎えるころには、昼まで寝ていたりするようになるのでしょうが。  基本的には週末は、家族でのんびり過ごしたいと思っていますが、土曜日には月に1回、日本人の親たちで運営しているプレイグループのセッションがあります。日本の歌を歌ったり、日本の遊びをしたりして、日本の文化に親しもういうと目的で去年、同じ年代の子供を抱えた母親が集って作りました。といってもそんなに難しいことはやっていません。なにしろカルタも、はじめの第一歩も、節分の豆まきも、折り紙も、ここでしかできない貴重な日本体験なのです。
 親の方はあれこれ準備がありますが、娘はこのプレイグループをとても楽しみにしているので、娘が楽しんでいる間は積極的に参加していきたいと考えています。

 こうやってまとめてみると、基本的に「私の1週間」というより、「娘の1週間」という方がふさわしくなってしまいます。というのもこちらでは、学校に行くのも、友だちの家に遊びに行くのも、親が送り迎えをしなければいけないことが多いのです。一番の理由は、安全面です。歩行者、ましてや小さい子供を配慮した横断歩道や歩道橋などはほとんどありません。我が家の前はかなりの交通量の主要道路なのに、信号もなく、危なくてとても一人で遊びに行かせるなんて考えられません。
 でもだからこそ、親と子供の仲がいい、と聞いたことがあります。親に頼まないと友だちの家にも行けないので、仲良くせざるを得ない、といったところらしいです。
 私は時間がたっぷりある専業主婦なので、そういった送り迎えもなんてことはありませんが、働いているお母さんは、ナニーを雇ったり、仕事の合間に送り迎えをしたりと、なかなか大変そうです。
 そんな忙しそうなお母さんたちを見ていると、なんだか格好良くて、うらやましいような気もしてきます。私も日本にいたころは、フルタイムで仕事をしていたので、かなり時間的に追われる生活でした。でも、過去のそんな経験があるからこそ、のーんびりとした今の生活を感謝しつつ、楽しんでいこうと思っています。そしてそろそろ来年あたりから、ようやく徐々に稼動していこうと計画中です。どうなることやら、乞うご期待!?

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