その18 捕鯨問題について思うこと(2005.7.5)
 英語のリスニングと社会情勢の理解のために、娘を学校に送った後は、家事をしながらBBCのラジオ放送を聞いています。BBCは1927年に設立された英国の公共放送局で、ニュージーランドではBBCワールドサービスを通して、ロンドンからのラジオ放送を24時間聞くことができます。BBCのインターネット日本語サイトによると、「BBCワールドサービスは、BBCが英国外務省の交付金で運営しています。現在43カ国で放送され、世界中で毎週1億5000万人のリスナーが視聴しています。1991年に日本語サービスは終了しましたが、英語による短波放送は日本中で聴取可能です」とのことでした。また、日本語吹き替え版のテレビ番組(良質のドキュメンタリーをたくさん作っています)は、スカイパーフェクTV!で見られるらしいです。
 このBBCで先日、捕鯨についてどう考えるか、という特集をやっていました。最初からきっちりと聞いていたわけではないのですが(つけっぱなしのラジオからJapanという言葉が耳に入ってから聞き始めた)、捕鯨反対運動のメッカともいえるアメリカ、数少ない捕鯨国の一つノルウェー、そのほか世界中の特派員や学識者からの意見を紹介して、日本以外の国の考え方が分かって興味深かったですが、仕切っているBBCの女性キャスターが「捕鯨は悪」という姿勢なので、いくらなんでも偏りすぎでは、という感じでした。たしか南アフリカの人が、「どうも捕鯨に関しては各国が感情的になっている」という主旨の発言をしたら、そのキャスターは「捕鯨というひどい行為を批判することのどこが感情的なの!?」と責め立てるほど。私からすると、十分「感情的」だと思うのですが。


これは夫が撮影したクジラ(の尾)。
 それに、日本特派員の頼りないこと(声からすると、若い日本人女性)。英語は達者かもしれませんが、報道という段階に達していないお粗末なレベルでした。「クジラバーガーというのが出たでしょう」という質問に対して(函館に本拠地を置く小さなチェーン店でクジラバーガー販売という、ローカルなはずのネタが、あっという間に世界中に報道。ちょうど国際捕鯨委員会開催時だったので、日本から世界への挑戦としてとらえられたような気がする)、「クジラバーガーが発売されたのは北海道という日本の北部で、私は九州という日本の南部に住んでいて、捕鯨はさかんでないのでよく分からない」などと答えているのを聞いて、あなたがどこに住んでいるかは関係ないでしょ、日本の捕鯨の歴史とか、30代以上の日本人にとっては学校給食で馴染みの献立だったとか、捕鯨に限らず国際情勢に無関心な日本人が多いとか、そういう日本人だから伝えられる内容を話さないとだめでしょーと、地球の南側で突っ込んでいた私です(まあこんなの、日本人じゃなくてもすぐ調べられることですが)。

7月最初の日曜日は快晴だったので、車で1時間半ほどのパエロアという町の近くでトレッキングを楽しみました。100年前の金・銀鉱の跡が残っていて、以前は運搬用電車が走っていたながーい、まーっくらなトンネルを通るのが結構こわかったです。
 BBCは、日本の報道番組では考えられないぐらい、キャスターがゲスト相手に容赦なく突っ込みを入れるし、うだうだとつまらないことを話しているとすっぱりと切られてしまいます。案の定、その日本人女性もしゃべっている途中で、「もういい」という感じで切り替えられていました。BBCともあろう世界でも有数の一流放送局が、なんであんな人を日本の報道担当にしたのかと思いましたが、もしかしてそういう人選もBBCの策略!?
 とりあえず、当然のことながら、この特集の締めくくりは、「日本のこの野蛮な振る舞いをなんとか世界で阻止せねばなりません!」というものでした。

川沿いを歩いたり、木漏れ日の中を歩いたり、なかなか変化に富んだ1時間コースでした。

 ニュージーランド国内でも、6月下旬に開催された国際捕鯨委員会の年次総会における、日本の捕鯨問題について、毎日のように批判の報道がされていました。6月にヘレン・クラーク首相が日本を訪問した時には、築地市場(たぶん)の鯨肉の前で顔をしかめている首相の映像もニュースで流れていました。こちらでは、クジラは大切な海の仲間であり、観光資源でもあり、殺して食べるなんてもってのほか!なのです。
 しかし、インターネットで新聞会社のサイトを見た限りでは、日本では捕鯨に対して世界中から浴びている批判をあまり気にしていないように思えます。日本の文化である捕鯨に口を出すなんて内政干渉じゃないか、どうして牛は食べてよくてクジラはだめなんだ、という意識がまだまだ強いのでしょうか。
 そういう日本人としての考え方も分かる一方、こちらでのクジラに対する思い入れ、クジラを食べることへの嫌悪感というのも感じているだけに、金に物言わせて捕鯨賛成への票を集める日本のこれまでのやり方を考え直し、もうちょっと国際社会の一員としての分別ある振る舞いができないものか、と思います。

こちらのススキは巨大です。この写真では比較物がないので分かりませんが、私の背丈よりずっと高くて、たくましいのです。
 それにしても、捕鯨一つとっても、渦中であるはずの日本と、日本以外の国の温度差にびっくりです。捕鯨絶対反対!というわけではないし、別にクジラ肉にこだわりがあるわけでもありません。ただ、外国、それも捕鯨への抵抗が強い国の一つに住んでいるだけに、これ以上日本が国際社会で嫌われないでいてほしいという気持ちを抱かざるをえないのです。 きっと大多数の日本人は、捕鯨なんかに思いを巡らせるほど暇じゃないのでしょうが、いつかこの無関心さ(捕鯨問題に限らず)のしっぺ返しをくらう時が来るのでは、とも思ってしまいます。

パエロアはニュージーランドでは超定番のL&Pという飲み物の発祥の地です。帰りにL&Pカフェに寄りました。

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