2001/07/31

自慢じゃないが、運動なんてものは15を過ぎてから真剣にやったことはない。
どうせ俺は長生きなんかするはずないのだから、体を鍛えるなんてとんでもないと思っていた。
で、当然の如く体重は増え続け、体力とよべるものはなくなり、入ったスポーツ・クラブはインストラクターに「おとうさん」と呼ばれたことに腹を立てて辞め、いかんせん根性がないから日々の筋トレが続くわけでもなく、生活は一方的に流れていってたものであった。

そんな中、今年(2001年だ)の2月、妻がともだちからスキーに誘われた。無論そんな不便な交通手段をかって私が選択したことはない。この歳でいまさらスキーをやるなんて、自分の過去に対する裏切り行為だぜ、と思ったりしたが、過去を裏切っても大切にしなければならない現在もある。
私たちは妻の友人の会社の保養所がある蓼科にスキーに行った。スキーは車山高原まで行くという。

「実はこの車山というところ、夏はクロスカントリーのレースがあるんですよ。ぼくも何度か参加したことがあるんですが」誘ってくれたEさんが言う。
「クロスカントリーってスキーですか」
「夏にスキーはできませんよ。ランニングですよ」

クロスカントリー。あたまにニール・ヤングが優しく歌う「ロング・メイ・ユー・ラン」が突然鳴り響く。のんびりと心はからっぽで、高原の木立ちを駈け抜けるさわやかなイメージが浮かんでくる。風のように生きるんだ。
はい、愚か者の妄想です。よく分かっています。

「いいですねえ」リップサービスした。
私は忘れていた。この人は東南アジアで仕事してきたわりには、真面目で誠実で、「約束はきっちり果たさせていただきます」タイプだったのである。冗談はあまり好まない。
「やりましょう」Eさんは笑顔で手を差し出してくる。

私は後悔した。
だが 仕方ない。やるだけやって私にランニングの能力がないことが分かったらEさんも許してくれるだろう。たしかに私は遠い昔になった中学時代、長距離走者だった。だけど、猟奇王が走らなくなってから私も走れない体になってしまっていたのだ(分かりにくいでしょうが、この文章はギャグです)。
冬の寒空の中、とりあえず近所を走ってみた。5分で息があがった。 情けない。
でも、今から思えば何かしら解放感やら気持ち良さを感じたのだろう。その翌週末も走った。またその次も。

春になると家の近くに桜並木でちょっと知られている山があって、そこを走るといい気分になれた。甘酸っぱい春の歌を聞きながら走りたくなった。携帯プレイヤーが必要だ。 そうなるとMP3プレイヤーに決まっている。針飛びしないし、小さいし、録音も早いし。まだNapsterも健在だったし。
選んだのはNOVACのiAUDIO128M。色はメタルブルー。シンプルで安かった。液晶表示なんか私はいりません。価格は3万円弱。
これをユニクロのポケット付Tシャツに突っ込み、挟み込み式のヘッド・フォンをつける。 2001年にふさわしい、と書こう思って気がついた。音楽は懐メロばっかりだ、すみません。

iAUDIO6月、車山高原クロスカントリー大会7キロ。ほとんど歩いたようなものだったが、私は何とか完走する。
うん、 感動。Eさん、ありがとう。

もうここで止めてもよかったのだが、それからも私は週末は走っている。

こんな単純なことで気持ち良くなるのだから、私も単純だ。

メタルブルーの携帯オーディオとユニクロのTシャツ、ナイキのオレンジの帽子で週末走っている野郎を見かけたらそれは私です。声かけて下さい。

 



それではランニング向け音楽のベスト5。
1 Long May You Run Neil Young & Steven Stills
2 Love Hurts Gram Parsons
3 Me & Bobby Mcgee Greatful Dead
4 Blue Jayhawks
5 愛と風のように Buzz

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