「明るいほうへ、明るいほうへ」の字幕作成に参加して
---難聴メンバーの参加記録---
今、「ふたば」では邦画の字幕作成に取り組んでいます。
聴覚障害者のために、まだ あまり字幕のついていない邦画のDVDやTVなど、
見たい番組で字幕がついてないものに字幕をつける活動です。

「明るいほうへ、明るいほうへ」のDVDにはすでに字幕はついているものの、
音声は山口弁なのに字幕は標準語だそうです。
それで仙崎のそのままの言葉で映画を見たいという希望を出しました。
明治から昭和初期にかけての映画、そして私が山口県出身であることから
標準語を読むのは不自然、映画の雰囲気を担う言葉も方言だったら、
もっとこの映画に浸れると思い希望しました。
「ふたば」では初めてのDVDへの字幕付けの 試みです。
私はテープ起こしは出来ませんから、健聴の会員があたりましたが、
これが一番大変な作業だったと思います。
せりふなど、話し言葉、擬音を聞き取って、全ての音や言葉を
そのまま書きとめるのです。15分ずつ手分けしましたが、
その二十倍以上の6時間もかかったという言葉に頭が下がる思いです。
私が字幕作成にかかわったのはそれからです。
大変なのは、聞こえないままに息子の手を(耳を)借りながら、
画面とテープお越しされた文字をあわせて書き出した文字をチェックしていきました。
画面とあわせて読める文字の量を把握していきます。
文字数までは健聴者会員がすでに映像と時間で割り出して算出していましたが、
私は目で確認していきました。
それにあわせて不要な言葉を削り取っていく作業をするためです。
私が担当したのは「スタッフインタビュー」でとくに方言はなかったものの、
口癖や話し方に個性が結構あるんだということを知りました。
耳で聞いているときには、それらのほとんどを意識せず聞きたい言葉だけが
頭に残りますが、すべてを文字にすれば、当然目に入ってくるので
カットしたほうがすっきりします。同じ情報でも耳で聞くことと、
目で見ることには感覚的な落差があります。
耳で聞く場合、「あ〜〜〜」とか「え〜〜〜」という
一件、無意味にみえる言葉も、話すほうも聞くほうもゆとりです。
車で言えばハンドルの遊びですね。でも文字にすれば字を追う目には、
必要以上の余分な言葉は目障りになります。
読むスピードも映像に遅れていきます。目も疲れます。
ここで不要な言葉などをカットしていくわけですが、
「あ〜〜〜」や、「え〜〜〜」はともかく、
そのほかにもかなりカットしなければ、画面に追いつかないくらいの文字数です。
言いたいことを、雰囲気を壊さずにカットしていく作業は大変でした。
読みきれなければせっかくの字幕も意味を成さないし、
それで何日もかけてテープ起こしの修正をしていきました。
自分が大事と思う言葉を残していけばいいのですが、
出演者の意思が伝わらなければ意味がない。
そんなことを意識しながらの作業です。
そうやって出来上がったものを会員が持ち寄って、最初から通して試写します。

中には重視する部分を変えて、また文字の入れ方を変えて、
3種類くらい作ってきた
メンバーもいます。前半、後半、 紹介、スタッフインタビューなどに
分かれて検証しました。
統一させる言葉を確認した後、 グループ別に試写して検証。
完成したものを持ち寄って、全部合わせての検証を
何度も繰り返し出来上がりました。
また、たまたま私の愛読書だったので、テープお越しした詩の
聞き間違いを指摘することが出来ました。
この過程全てに参加して、大変だけれど難聴者もともに
参加できたことがうれしいです。
PCを駆使しての字幕作成ですが、教えてもらいつつ、
いろんな経験が出来たのも収穫でした。
「ふたば」は人数が少ないので猫の手(聴覚障害者の手も)を
借りたいことももっともですが、それとは別に難聴者、健聴者が
同じステージで同じ目的で活動していることに大きな意義があります。
この活動を通して共有の場を持つという意味するところは、
全く聞こえなくても適度なサポートがあれば、
聞こえていたころの延
長線上に今の私があり、
全く気後れすることもなく日常の生活ができます。
また反対に要約筆記者の立場としては、
難聴者が求めることを具体的な形で理解することが出来ます。
難聴者がいるところではすぐにノートテイクをはじめなければ先へ進みません。
私は企画から参加していますから、
打ち合わせなどのときに反射的に手が動くことは大切なことです。
要約筆記者と難聴者がともに参加している活動ならではのことです。
また、字幕作成に参加することでスタッフの思い入れが十分に伝わってきて、
映画の内容をより深く読み取ることが出来たこともよかったです。
これからもいろんなことに挑戦できそうな気がします。
要約筆記のサポートがあれば、そして「ふたば」のメンバーと一緒なら。
![]()
![]()
![]()
![]()