vol 1  サラブレット

地球上のあらゆる生き物の中で
サラブレットほど美しい生き物をわたしは知らない。

はじめてその姿を目の前にした時
テレビの画面を走らされている
競走馬とは全く違う生き物の姿をそこにみた。

まさに完成されたフォルムというのは
この事を言うのだろう...

うさぎの様な耳
長い鼻先に愛らしいつぶらな瞳
朝陽のよく似合うタテガミ
夕陽を映し出す尾っぽ
太い首からぐんっと張った筋肉
せり出す様な胸に
ぎゅっと引き締まったお腹
なだらかな弧を描くヒップには
余分な肉などみじんもなく...
太ももの下には信じられないほど
細い足首...
無駄なものなど何もない
みとれるほどの完璧な肢体....


「美しい生物」という言葉は
彼らの為に存在すると...
「美しい」とは
こういう事を言うのだと
その時はじめて知った。


知恵と苦労を振り絞って
完成された
あらゆるこの世の造物の中で
私が唯一美しいと思った生き物


サラブレットを創ったのは
神でもなく人間でもなく...
長い歳月....

人間の欲が生み出した
あまりにも美しく
あまりにも悲しい生き物


そんな馬のきもちを
少しだけ
知りたいと....

そんな馬のきもちを
少しだけ
知ってほしいと...


そんな気持になりました。




                   武 ゆたこ

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