vol 3  エイシンサンサンの事


父親譲りの
見事な栗毛に
ひときわ短い尾っぽ...
オレンジ色の暖かい夕陽を
からだいっぱいに浴びながら
高めの首で
必死にターフを走り抜ける姿は
愛らしいうさぎの様で
まるで
一途に恋する乙女の様で....

競馬場はまるで
その日の彼女のために用意された
晴れ舞台でもあるかの様に感じさせる
不思議なオーラが
彼女にはあった...


ダンスパートナー
ユウキビバーチェ
並み居る強敵に囲まれながら
決して派手ではないが
自分の役どころを
ちゃんと知っている
そんな不思議な馬だった様な気がする

夏の小倉
デビュー3歳新馬では
岸を鞍上に芝1200mを二着
同距離の2戦目で見事に新馬勝ち
3戦目で小倉三歳Sを制覇し重賞ウイナーに
まさにこの年の、小倉の夏は彼女のためにあった

しかしその後、なぜか低迷...
秋競馬....、年明け牝馬クラシックは
見事なまでの惨敗。
短距離の早熟馬かと誰もが思った...

ところが、どうして
土肥とのコンビで
尻尾の短い栗毛のサンサンは
長距離の逃げ馬として
見事復活を果たす。
1500万下条件を2連勝で勝ち上がり
再びオープン馬に。

ラストランはエリ女で三着という
栄光を手にし
自らの花道を見事に飾った。
まさに見せ所を知り尽くした
ミステリアスガール...


その美しい栗毛の馬体に
飛びぬけて短い尻尾が彼女の魅力
うさぎの様な愛らしい彼女に
もう一度巡りあえたら...
なんて素敵な事だろう。


サラブレットの長い歴史の
一瞬を
この眼でかいまみる事が
出来る日を
ひそかに願う。

母父キャロルハウス似の
エイシンサンサン似の
うさぎの様な
愛らしい栗毛馬が
傾きかけた夕陽を浴びて
ターフを逃げ切り
競馬場を熱い絶叫で
包んでくれる日が来る事を
ひそかに祈る。


あの日の君に
もう一度巡りあいたいと...




                 武ゆたこ

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