SR31






連作百三十一首「鬱宇宙浮遊」で、
第七回フーコー短歌賞優秀賞を受賞しました。



以下、フーコー短歌賞事務局から届いた結果発表・選評より、
わたしの作品に関する部分を引用して掲載します。


【結果発表】

優秀賞
 「鬱宇宙浮遊」 桜井凛香 (福岡県)

「レベル1 累積疲労」から「レベル6 覚醒前夜」までの全六章を
精神状態の変化を追って描いた力作。
精神の不安定さという、現代社会における共感性を持ち合わせています。
一本のストーリーとして読める構成力という点では、
全応募作中、最も高い評価がありました。

作品紹介

すりばちは錠剤つぶす為にある小鳥はほんのカムフラージュです

生きている意味など問うな世界には物語など期待できない



【選評】


●審査委員長・林あまりさんの選評より

準グランプリと言っても良い、桜井凛香「鬱宇宙浮遊」。
短歌としてオーソドックスに、良く出来ている。

カラフルな向精神薬五〇〇錠タンスの隅でうごめいている

鬱病との闘いの日々を描いているが、厳しく言えば、読者の想像の域を出ない。
死に惹かれる思いも、もう一歩突っ込んで欲しい。
死の先に何があるのかと不安にならないのか、
ならないのならなぜなのかも書いて欲しい。
そして素直に社会復帰しようと思えるのはどうしてなのか、ということも。
ついでに言えばペンネームもタイトルも、せっかくの作品を壊してしまっている。
作品にはもっと重みがある。
ハラをくくって書く気になれば、絶対に力が出るはず。
期待しているので、どうかかんばって書き続けてください。


●審査委員長・藤原龍一郎さんの選評より

桜井凛香さんの「鬱宇宙浮遊」はタイトルどおりの鬱の精神世界の
浮遊と帰還を構成的に詠んだ、完成度の高い一連だった。
ただ、タイトルがストレートすぎるので、
もう少し象徴的な言葉を選んでほしかったと思う。
百三十首を一気に読ませる構成の巧みさは、応募作中では群を抜いていた。

真夜中にタクシーひろい職業を問われたら偽ナースになりきる

生きている意味など問うな世界には物語など期待できない

カブトムシたましいひとつ抜け落ちてあっけないほど軽い亡骸

といった作品は、テーマを良く結晶させているし、一首としても完成していると思う。



●結果発表・選評を受けて

この作品は、短歌を本格的に書き始めた最初の四ヶ月間に作った歌のなかから、
精神世界をテーマにしているものを集め、構成した作品でした。
新聞で作品募集の広告を見つけ、なんとなく勢いで応募してしまった作品が、
受賞に結びついたのは、ビギナーズラックだったのかなぁとも感じます。
林あまりさん、藤原龍一郎さんからいただいた選評の言葉を胸に刻み、
今後も創作にはげみたいと思います。

絶望の生に希望の光射す歌詠む為に今日も目覚める

この歌が、受賞作の最後の一首です。
すべては、ここからはじまるのだと信じて、
また今日も書く為に、生きます。

2004年春 桜井凛香



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