実録・精神病院
冬のことである。
本官は、東北の基地で勤務する自衛官であった。
勤務成績は、可も無く不可も無くといった、ごくごく平凡な自衛官であった。

ところが、ある日精神分裂病を発病した。
本官は幻覚・妄想状態であり、上官の付き添いのもと、市街外れにある精神病院に搬送された。

本官は、ここが精神病院であることが、わからなかった。

ロビーに一人待たされ、上官が戻ってくると入れ替えに、診察室に入った。

白髪で白衣を着た院長から、2,3質問された。
院長は、本官の言ったことなどほとんど無視して、看護士に何かを言うと看護士に羽交い締めにされ保護室に入った。
今思えば、強制連行である。

保護室に入ると、注射を打たれ本官は眠ってしまった。

目が覚めると、猛烈に喉が乾いた。
しかし、保護室には水道はない。
本官は、自分の置かれている状況下がイマイチ把握できていなかった。
ドアを開けようとしたが、当然ながらドアは開かない。

そのうち、食事の時間になり、看護士が入ってきた。
本官は「水が欲しい」というと、持ってきてくれた。
食事を置くと、無言で立ち去っていった。

3日くらいして、保護室から出された。
看護詰所に連れて行かれ、
任意入院同意書を強制的に書かされた。

ここの病院は、基本的にホッタラカシだ。

いくらなんでも、ここが精神病院であることはわかっている。(時間はかかったが)
しかし、インフォームドコンセントに欠けていると感じた。
あなたは、なぜ入院しなければならないか、どのような治療を受けているかなど、説明があってしかるべきだ。

本官は、精神病院というところは、毎日のように回診があって、カウンセリングや知能テストなどをするものだと思っていた。
本官が3ヶ月の入院中に、主治医に会ったのは1回だけである。しかも診察は5分くらいだった。

入院中に、看護婦に「いつ退院できるのか?」と聞いてみたが、看護婦は
「規則正しい生活をしていれば退院できます。」
と、答えた。
本官は「いつか?」と時期を聞いているのに、この答えはないだろう。

上官は主治医のことを「名医だ」と誉めていたが、本官はそうは思わない。
たしかに、「精神科医」としては優れているのかも知れないが、「人間」としては最低だ。

全閉鎖の病院が全て悪いとは言わないが、
治療と収容は違うはずだ。

本官が思うに、精神病院には電話が設置されているが、それだけでは不充分だ。
是非、インターネット端末を導入すべき。
ま、自己保身の塊が、こんなことは絶対にしないだろうけど。

もし身内や友人が精神科に入院したら彼ら、彼女らの生の声を聞くべし。
悪徳精神病院は必ず存在する。
それらは、見舞い客には良い顔をする。
しかし
豪華な応接室の裏側は、もしかするとブタ小屋かも知れないのだ。

精神病患者は囚人ではない。病人である。

是非、再認識していただきたい。

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