黒いブロッコリー


 今回の作品は、恐らく注釈がないと何がなんだかさっぱりわかりません。
 登場人物・キーワードの注釈を先に読み切ってしまうか、あるいは読みながらフィードバックしてください。
 また、大前提として「武神降臨という格闘大会が背景にある」と言うことを頭にいれてお読みください。
 話としては、武神降臨でデータ採集した悪の秘密結社のマッドサイエンティストが、さまざまな格闘家の長所のみを集めた戦闘用合成生物を作った、というところ。

1.ジュリオラ
 魔法の使用が許可される格闘大会「魔道降臨」に出場した女性。他のキャラクターが1点集中(誘眠、物質障壁、魔法の耐性など)のスペックなのに対し、唯一「汎用型」と言える能力だった希少な存在。
 悪の秘密結社(注9参照)のメンバーの1人で、情報収集が役割らしい。

2.グラッツ=グラッツェ
 無茶苦茶な腕力で、ガードした腕ごとぶん殴って折るハードパンチャー。耐久性も異常に高く、17以上じゃないと気絶判定に失敗しない変人。もっとも、死亡判定の値はそんなに高くないので、負けるときは死ぬときである。
 イタリアに生息する殺人鬼で、スキンヘッドにヒゲという、まるでN市立K高校の某指導部長を彷彿とさせる外見(Y高校のA先生でも可)。
 某霊界探偵の話の酔っ払いがモヒカンじゃなければイラストが似てる気もする。48歳。

3.ムーンクイーン
 通称「女王様」。決め台詞が「月に変わってお仕置きよ」な人。JR新宿駅東口周辺に「歌舞伎町の女王」と言う店を構えている。実は男。
 「往復ビンタ」と呼ばれる超高速の掌フック(ルール的には1サブターンに最大18発殴れる)と、無理やりにイニシアティブを取って全力攻撃で相手を沈める戦術を取る。
 そのイニシアティブ奪取率は確率的には95%を上回る……が、残りの5%につけこまれて敗北するパターンも。
 武神降臨と言う戦闘マシーンなキャラクターの大会において「超美人」に25CPもつぎこんでいる異例な女性キャラ。でも男。

4.影式の弐月司
 「きさらぎ つかさ」と読む。
 謎の拳法「弐月流影式」を使う年齢不詳のおっさん(48歳以上)。
 「六大開」と呼ばれる八極拳の奥義(エアガイツ知ってる人ならわかるかも)や、純粋汎用の戦術を可能にする型/影式で、全プレイヤーを恐怖に陥れた存在。
 出場するたびに優勝候補に上げられるが、耐久力がないのが弱点。しかし技能レベルと戦術は……

5.エ○ァのアレやビ○ップのソレ
 つかさん(弐月司の愛称。注4参照)のイメージをプレイヤーに聞いたところ、「加持」とか「主人公(すいません、○バップのヤツの名前がわかりません)」との答えが帰ってきた。
 もっとも、この戦闘キメラの外見にはまったく反映されていない。

6.エっちゃん
 武神降臨に参加した女性キャラ「エクセレント」の通称。モトネタは○クセル・サーガのエ○セル。
 アフロこと暁光太郎(注11参照)と試合をしたことがあり、裏手刀を頭にぶつけてKO勝ちを奪っている。『』の中の台詞は、暁光太郎との試合後のコメント。

7.ピュアハーツ
 武神降臨に参加する女性キャラのうち、ヒロインチックなメンバーが3人集まったグループ。当初は団体戦に出るために結成され、そのころはメンバー全員が高校生だったため、「女子高生チーム」の名前だった。
 ちなみに、過去武神降臨で優勝した女性キャラは2人しかいないが、そのどちらも「ピュアハーツ」のメンバーだったりする。

8.秘密結社の一員
 悪の秘密組織らしい。戦闘員から幹部までそろっており、たまに武神降臨に現れる。もっとも、する悪事は可愛らしいものばかりだが。
 秘密結社の設定を作ったプレイヤー曰く、「イメージは黒天狗党」。

9.黒コートこそ英雄の証
 武器の使用が許可される「影武神」において、素手ながらも「最強」の異名を持った男、(不確定名:黒コートの男)の数少ない装備品(もうひとつはミラーシェード)。
 (不確定名:黒コートの男)は英雄視されており、そのシンボルが黒コートであることから来ている。
 強さの秘密は無駄のない戦闘パターン、確実に行動を阻害する攻撃法、そしてイカサマ扱いされた追加特徴「冷徹」である。

10.実時間で2時間(プレイヤー談)。
 この話を書いているとき、リアルタイムで〆切まで2時間ほどしかなかった。

11.暁光太郎
 自称ハードボイルド探偵。悪の秘密結社(注8参照)の裏切り者らしい。
 台詞はそこそこ普通、設定も「悪党は許せねぇ!」という設定、使う技も打撃重視の格闘技「マーシャルアーツ光太郎」と、それだけなら普通のキャラクターなのに、髪型が「アフロ」というだけでイロモノ扱いされている悲しい人。
 実際、もはや名前よりも「アフロ」と呼ばれることのほうが(そしてその浸透度が……)多い。


 少し遅れて来た恐怖の大王……後の人間はこう呼ぶであろうと教授は言った。
 まだ大学生ぐらいかと思われる白衣の女性は地下への階段を1段抜かしで駆け下りていく。
「教授!例のが」
「うむ……完成した」
 女性の向かった先は「いかにも」な地下実験室。ロクに設定も決めてなさそうなくせに雰囲気だけは怪しい。
「史上最強の生物、100tを越える超暴力……どのような言葉で補っても相応しいとは思えん」
 教授と呼ばれた、やはり白衣を着てそのままな格好の老人はタバコに火をつける。
ジュリオラ(注1)にデータを集めてもらって正解じゃった。最高質のマテリアルのみの結集体じゃ」
 その禍々しい存在は、女性の前に姿をあらわした。

 格闘技には相性というものがある。圧倒的な差が生じていない以上、この相性というのは重要なファクターとなりうる。
 ではその相性を超越した存在……全てにおいて完璧なる存在が許されるなれば……その発想がきっかけだった。
グラッツ=グラッツェ(注2)のパワーにムーンクイーン(注3)のスピードが同居したってなんですかコレはっ!?」
 最強のパワーと最速のスピード。この2つを持ちうる生命を作る……そんな気紛れから始まったこの計画は、単純にmg(Moon Gratz)計画と名付けられていた。
「パワーとスピード、それだけじゃ勝てんのじゃ。テクニックという要素もある」
「て、テクニックですか……」
 女性が目にしているものは、まさにこの世のものとは思えなかった。
 まず、アフロ。それだけでも自己主張が強いのだが、顔は女性が資料として見かけたグラッツ=グラッツェそのものだった。そして……黒いロングコートを羽織っている。
「ふふふ……驚いたか?この『黒いブロッコリー』に。白コートを着たカリフラワーバージョンも予定しているのじゃが」
「驚きましたが……」
 なるほど、確かに言われてみるとブロッコリーをマッキーか墨汁で塗りつぶして遺伝子操作でもすればこんな感じだ。絶対食べたくないが。
「テクニックという点で最高の素材。それは影式の弐月司(注4)じゃろう」
 ……弐月司はアフロだったか?というか黒コートだったか?
 女性は苦笑いしながら、彼の姿を思い出していた。キャラクター紹介のところには『イラストの通り』と描かれていたし、なによりプレイヤー間で聞いた話ではエ○ァのアレやビ○ップのソレ(注5)とか。
 そんな非常識なことも考えてみたり。
「あのぉ……なんで黒コートでアフロなんですか?」
 自分に自信を持って、勇気を出して、何より読み手に説明するために質問する健気な女性。
「知らんのか?ワシの集めたデータによると、アフロであることの防御能力は証明されておるわ!」
 そう言うと教授はプリントを手渡す。
『アフロがかっちょ良かったので今回は、頭突きを遠慮させてもらいました。こんな事言ってると次回はアフロだらけになってたらやだなぁ』
 ……は?
「控え室でのとある女性選手の感想じゃ……わからんのか?アフロである以上、頭は狙ってはならん!相手も、アフロを思うがタメに気の毒になって狙えんのじゃ!」
 いや、エっちゃん(注6)はなんだかんだ言って狙ってたぞ。頭突きしなかっただけで。
「何よりもヴィジュアル!そう、今の格闘家に必要なのはカリスマ性じゃ!ピュアハーツ(注7)しかり、目をひきつけることは重要なのじゃ!」
 私たち秘密結社の一員(注8)だということを忘れてません?
 その質問を飲みこみ、女性はまた別のことを口にした。
「じゃあ黒コートは……」
「アタックパターンの関係……いや、何よりもカリスマ性じゃ。黒コートこそ英雄の証(注9)というのを聞いたのでな。じゃからなんとなく着せてみた。しかし!驚くのはこのコートの下じゃ!」
 力説する教授。
「いえ、もういいですから、その……もう出発しません?〆切まであと2時間ほどですよ」
 しかも実時間で2時間(プレイヤー談)。(注10)
「おっと、そうじゃったな。じゃあこれを会場まで連れていってくれ。電車代はあとで経理に請求するように」
「え?」
「流石に会場に怪しげな乗り物で乗り込むわけにはいかんじゃろう。ワシももう少し用があってのう。試合までには間に合うようにするのでよろしく頼む」
 このブロッコリーといっしょに地下鉄に乗れと?
「さあいけ、ムーングラッツ光太郎!!あの憎き暁光太郎(注11)を倒して来るのじゃ!!ワシの偉大さを証明してくるのじゃ!!!」

 お願いです、光太郎さん……あの馬鹿1人とこのコスプレアフロ、できることなら葬ってください……
 そんなことを思いながら、女性は地下鉄の中で自分と隣に突き刺さる痛い視線に耐えて会場へと向かった


あとがき

 今回は……説明のほうが多いさね(笑)
 何故これを乗せたかと言うと、ウケたからである。他の理由はない。
 俺自信はたいしてウケる内容でもないと思ったのだが……不思議だ。
 と言うわけで、恐らくは俺が使わせていただいた他人様のキャラクターのせいではないだろうか、それらを知らん人には文章だけでウケがとれるのか、ということで実験的に乗せてみた。
 ……果たして笑えるのか、この内容は?