1.1981年に「社会的弱者がはみ出されるような社会は、弱くてもろい社会である。」と謳った国際障害者年の「完全参加と平等」の理念は、それまでのように障害者を社会の中に一方的に同化させていくのでなく、障害者たちがあるがままに受け入れていく社会を創り出すことの重要性を示しました。そのころ多くの聴覚障害学生は、他の学生と対等に情報が受けられず、ひそやかに学び個人の努力に委ねられていました。講義にただポツンと置かれた本人の苦痛に理解を示すことなく、当事者の努力のみ美談に評価されがちでありました。 現在は、全日本ろうあ連盟をはじめとする障害者運動の高まりと聴覚障害者諸施策の前進、手話や聴覚障害者のありのままを受け入れ出した国民的認知を背景として、聴覚障害学生は手話通訳・要約筆記・情報機器の充足を求める声が高まり、全国的に大学内において聴覚障害学生のための手話通訳等の派遣制度が増えてきました。 2.今年6月、今春旭川大学女子短期大学に入学された旭川聾学校卒業生である角尾美幸さんより「重度聴覚障害のため、大学の講義がわからなくて困っている。手話通訳者を派遣してほしい。」という申し入れがありました。しかし、その通訳料は大学側の財政的な面で負担することができず保護者で負担する話しになっていました。また、昨年北海道東海大学に入学された旭川聾学校卒業生の広瀬美香さんも角尾さんと同様に大学に手話通訳派遣を依頼しましたが、通訳料は当事者で負担することからこのことをあきらめ、友人によるノートテイクに不満足ながらも甘んじていたことがわかりました。 通訳料を当事者に転嫁することは当事者だけで済まされることでなく、次に続く聴覚障害学生にも影響を及ぼすことで、避けては通れない問題であります。公的な派遣については、旭川市に要請しましたが、残念ながら大学のような継続的な講義は認められていないという現状です。 3.以上の経過にたって、私たちは今後、公的な派遣を要請していくことを目的に運動を進めていかなければなりませんが、この情報障害に直面している二人の学生を支えていこうと、今年7月に「聴覚障害学生を支える会」設立準備委員会を発足し準備してまいりました。 私たちは、ここに決意したいと願います。大学だけでなく小学校・中学校・高校に在籍している聴覚障害児・生徒もいることを忘れてはなりません。それぞれで直面している問題は、聴覚障害の故、共通な課題であるといえます。聴覚障害だから失望するのでなく、自分をありのままに訴えて、このハンディをみんなで支えていくのが当然であるという、バリアフリーの社会実現に向けて前進しなければなりません。 私たちは、聴覚障害児・生徒・学生が希望を語り、その希望を裏切らない誠実を胸に刻むことができるよう、旭川市民にも納得され支持される運動と研修の内実を創造していくことをここにおいて願い、誓います。
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