「ある宗教その2」

その日の私は、テレホタイムより30分前に、オンに繋ぎました。
私はとてもワクワクしていました。
アンダカ真理教で今日は何をするんだろう、と、ワクワクしていました。
居場所があること、目的ができたこと、
私はそのことがとてもうれしかったのです。
私は昨日のロビーへ急ぎました。

ロビーには誰もいませんでした。
アンダカ真理教の部屋もありませんでした。
私は少し不安になり、昨日の白いフォニュームの人に
「昨夜入信にた雀斑です。今日は何をすればいいのでしょうか」
とメールをしました。
しばらく返信を待っていると、
私のいるロビーに直接白いフォニュームがやって来ました。
「今日はまず、帰依の義を行います。私についてきてください」
そう言うと、あるロビーへ案内されました。
そこにはたくさんの信者がいて、アンダカ教の歌を歌っていました。
しばらくここで待つよう指示をうけ、
私はすることもなかったので、一緒に歌を歌いました。

しばらく待っていると、白いフォニュームが現れ、
「アンダカ様が直接あなたに語りかけます」
と言いました。
「さあ、お入りなさい」
「アンダカ様に帰依せよ」
「アンダカ様に帰依せよ」
信者のみんなが、そう叫びました。
私は「アンダカの部屋」という部屋に入りました。


中には、アンダカ様と、2人のフォマールがいました。
アンダカ様は、たくさんのアイテムに囲まれていました。
そのアイテムはすべてマグのアンダカでした。
アンダカ様の両わきに立っているフォマールは、
なんと裸でした。チートによるものだと思いつつも、
全裸のフォマールに、私はすこし興奮しました。

「アンダカ真理教は、ここにおられるアンダカさまによって設立されました。
私達が目指すのは、アンダカの真理に基づき、一人一人が幸福になることであり、最終的には解脱、悟りです。
アンダカ様に帰依し、戒律を重んじ、アンダカのマグを育てることによって、真理は開かれます。
正しいマグの育成と、力のあるグルの存在によって、多くの解脱した者が出ているのです。
アンダカの境地に到達した者も20名以上います。
アンダカ真理教の目標は、このように煩悩を破壊した解脱者が一人づつ増え、このパイオニアが、真理のパイオニアに変わっていくことです。
また私達は、社会的にも多くの活動を行っています。
ロスト復旧活動もそのひとつです。
アンダカ真理教は、人々が真理によって本当の意味で幸福になることを願っています。
その心からの願いを込めて、私達は今日もまた、修行に、奉仕活動に励んでいるのです。」
裸のフォマールによる、
長々としたアンダカ真理教の説明が終わりました。
アンダカ育成を修行と位置付けているところが、
私はとてもおもしろいと感じました。
実際、昨日のマグ育成で、私はアンダカへの興味が涌いてきました。
まだレベル27のヴリトラだけれど、アンダカへの不思議な
魅力にとりつかれたようでした。
そこから得られる真理、解脱というものがどんなものかは、
私には到底理解できないものでしたが、
しかし何かあるのかもしれない、と私は思ったのです。

「起源のアンダカにエサを与えよ。そして我に帰依せよ」
アンダカ様はそう言うと、私の前に歩み寄り、
ひとつのマグを置きました。それはアンダカでした。
そのアンダカは、アンダカ様がまだ冒険者ころ、
最初に育てたマグであり、
アンダカ様はこのマグから神の啓示を受け、真理を実践し、
悟りの境地を開いた、ということでした。
私はそのアンダカを拾い、トリフルイドを与えました。
とても幻想的な気分でした。

私は、このパイオニアの中に、
このような大規模な宗教団体が存在することに
感動を覚えました。そしてアンダカ様の存在感に圧倒されました。
私はアンダカ様への帰依を誓い、
部屋を出ました。


ロビーには、何人かの信者と、白いフォニュームがいました。
私はKルームに入るよう、指示をうけました。
私はアンダカを育てたい、修行したい気持ちでいっぱいでした。
「修行するぞ!」
私は思わず叫んでしまいました。
「修行するぞ」
「修行するぞ」
信者のみんなも私に続いてくれました。
「修行するぞ!修行するぞ!修行するぞ!」

Kルームには、ひとりのフォニュームがいました。
「こんばんわ、カイです」
「こんばんわ、雀斑です」
カイさんは、昨日の2人とはちがい、とてもおしゃべりな人でした。
彼は入信1ヶ月で、現実での会社も辞め、
生活のすべての時間を修行に注いでいる、
いわゆる出家信者でした。
私はさすがにすこし引いてしまいましたが、
彼の誠実な人柄には好感が持てました。
「最近少し、体が軽くなったように感じるんです」
カイさんはそう言うと、ぐるぐる走り始めました。
「足が速くなったように見えませんか?」
見えませんでした。速くなるはずはありません。
「たくさん修行して、少しでもアンダカ様に近づきたいです」
そう言うカイさんに、
あれはチートによるものですよ、とはとても言えませんでした。
言っても信じてはもらえなかったでしょう。
そして私は、そんな冷めた考えの自分に、少し嫌悪しました。
純粋な心で、アンダカ真理教を信じて修行に励むカイさんが、
とてもうらやましく思いました。

2人で修行を続け、時間は深夜4時を過ぎ、
外はうっすら明るんできました。
こんな時間までオンしたのは始めてだな、と思い、
明日は会社を休んで、修行に専念しようと決め、
その日は6時まで修行に励み、
カイさんとカードを交換して、明日もまた一緒に修行しましょうと
約束し、その日は寝ました。