「FCロボ」

その日の私は、潜る気力もなかったので、
ロビー巡りをすることにしました。
1から順にロビーを下っていると、7ロビーで人に集まりに出会いました。
「どうみても 自殺志願者 アッシュくん」
「パチパチパチ」
「7点」
「トイレ待ち メシ待ち風呂待ち マッチで〜す」
「2点」
なにやらそこは、PSO川柳を詠む集まりのようでした。
「コンバンワ 下から読むト ワンバンコ」
私は川柳で挨拶してみました。
「ワンバンコ 変換するト 湾万古」
「0点」
「トホホのホ トホホホトホホ 徒歩で2分」
「0点」
「あのぉ〜・・・PSOの川柳を詠んでください」
「ゴメンナサイ カナブンよりも ゴメンナサイ」
私は調子にのりすぎて場を乱したことを深く反省し、そこを出ました。


ブロックを変えてロビー巡りを続けようかと思っていると、
1通のメールが送られてきました。
「「サッカーしませんか?」」
メールはその1行だけでした。
差出人には覚えがなかったので、チョイスサーチでサッカーの
メンバーを集めているのかなと思い、
「いいですよ」
と返事をおくり、そのロビーに行ってみることにしました。

「コンバンワ」
「よくきてくれましたー」
「これで12人そろったみたいな」
私は、2、3人でのボールの蹴り合いしかやったことがなく、
6対6の本格的な試合は初めてでした。
「初心者デスが、いいデスカ?」
「全然オッケーだよ、僕もそうだし」
ほとんどが、初めてのようでした。
「ではさっそく、チーム分けをしましょう」
「お」
ひとりのヒューキャストがなにかに気づきました。
「ちょうど、ロボが6人いるみたいな」
「あ、ホントですネ」
「じゃあ、ロボvs人、でw」
「オッケー」
レイキャストの私は、ロボチームに入ることになりました。
チーム分けも決まり、次に
それぞれポジションを決めることになりました。
私は、肩幅がいちばん広い、という理由でキーパーになりました。
ロボチームはFW2人、MF1人、DF2人の2ー1ー2という布陣に、
すんなり決まりました。
しかし、相手の人チームはなにやらもめていました。
「俺は左MFがやりたい」
「僕もやりたい」
「私も」
どうやら、誰が左MFをやるかでもめているようでした。
「俺は小野の影響で頭を丸めた」
「僕は小野は左サイドで使うべきと、岡田ジャパンの頃から思ってました」
「私の親戚に小野さんがいます」
どうやらみんな、小野になりたいようでした。
「スリー小野システムでいいじゃん」
「まあ、今日はそれでいきましょう」
「俺は不満だが、まあいいだろう」
「僕という小野がいれば十分だけど、しょがないですね」
「私の愛用武器は斧です」
ということで、1ー3ー1で左サイドにMFを3人置くという、
なんとも奇抜な布陣に決まったようでした。

いよいよキックオフ。
試合開始当初は、各々自分のポジショニングを意識していたようでしたが、
即席チームで、しかもほとんどが初心者だったため、
華麗なパス回しなどできるはずもなく、
途中からは、キーパー以外の10人でボールの追いかけっこ状態でした。
小学生の体育の時間のサッカーだなあ、と思いながらも、
自陣に攻め込まれ、シュートしてくるボールを
私は果敢に弾き返しました。
自分でも驚くほどの好セーブ連発でした。
「雀斑さん、あたってますねー」
「川口現るみたいな」
私は、弾いたボールを、大きくスペースが開いた相手の右サイドへ
ドリブルで攻め込む、リベロ的な動きもしました。
「チラベルト現るみたいな」
私の攻守による活躍で、12ー7でロボチームが勝ちました。


「おつかれさまー」
「おもしろかったですね」
「スリー小野システムはやっぱり無理があったみたいな」
「だねw」
「でも俺が一番小野っぽかったね」
「いや僕が最も小野的な動きをしてました」
「私の中学の担任は小野先生でした」
3人の小野は最後まで意見があわず、次々と部屋を出ていきました。
ロビーにはロボチームの6人が残りました。
「何事にもチームワークが大事ってコトですネ・・・」
「サッカーもしかりw」
「どーでしょう、この6人で、チーム組みませんか?」
「FCロボみたいな」
「FCロボw」
「いいね、それ」
「組みましょうよ!」
「ワタシはOKでス」
「僕も」「私も」「俺もみたいな」
ここに、FCロボが結成されました。

青いレイキャシールの人は、人脈には自信があるいうことなので、
彼女がマネージャー兼キャプテンを務めることになりました。
「明日までに対戦相手を探しておきますね」
「オマカセしましタ」
「じゃあ、明日の12時、ここに集合ってことで」
「了解みたいな」
「オッケー」
それぞれカードを交換し、解散しました。
ひとりになった私は、新たな出会いに胸踊らせ、
落ちるにはまだ早かったので居残り練習をすることにしました。
しかしひとりではキーパーの練習などできるはずもなく、
しょうがないのでさっきの川柳ロビーへ行き、
「生きてれば サッカーできるよ 後藤真希」
という川柳を言い捨てて、その日は寝ました。