「隣のお姉さんはPSOユーザー」

こんにちは、僕は19の大学生です。

PSO(ver1)が発売された去年の12月は、大学受験の真っ最中でした。
PSOは、開発が発表された頃からすごく楽しみにしてて、
発売日が受験生まっただ中の12月と決まったときはすごくショックで、
発売延期をただただ願っていました(みなさんごめんなさい)。
しかし僕の願いは届かず、予定通り12月に発売。
僕はセンター試験に向けて追い込みど真ん中。
そして21世紀を迎えました。

受験勉強のため、ゲームは禁止していた僕ですが、
ゲーム雑誌は読んでいました。ゲーム雑誌を読むことが、
そのころの僕の唯一の楽しみでもありました。
PSOは僕の予想通りの、いや、予想を越える反響ぶりでした。
僕のPSOへの想いは日に日に強さを増し、
PSOを遊びたい一心で勉強しました(大学に受かりたい一心さん、ごめんなさい)。

そして受験は終了、なぜか第一志望の国立大にも受かり(おめでとう自分)、
PSOを心行くまで遊べる日々がやってきました。
春休みは本当にもう、PSO三昧。遊びまくったのです。


4月になり、大学へ通うため上京、ひとり暮らしが始まりました。
あわただしい新入生活も過ぎ、大学生活にも慣れ、
PSOもゆっくりできるようになり、
大学でもPSO友達ができました。
僕はわりと人見知りーなのですが、PSOという共通の話題のおかげで
すぐ親しくなることができたのです。

そんなこんなで前期は過ぎ、試験期間の7月中旬頃、
空き部屋だった隣に、綺麗なお姉さんが引っ越してきました。
綺麗な、というのは、まったく誇張がありません。
本当に綺麗なお姉さんでした。

引っ越ししてきたその日の夜、試験勉強に勤しんでいると、
隣のお姉さんの部屋から、「ピー」という、聞き覚えのある音がしました。
それは、DC起動時の、VMの電池切れの音によく似たものでした。
僕の住むアパートは木造建てで、音が隣によく通ります。
テレビやステレオの音はもちろん、電話の話し声や、何気ない生活音まで
筒抜け状態です。夜はとくに。

ピーの後、聞き慣れた音楽が聞こえてきました。
そうです、PSOのタイトル音楽です。
ななんと、隣の綺麗なお姉さんは、PSOユーザーだったのです!!
僕は勉強をやめ、お姉さんの部屋側の壁に耳をそばだてました。
キャラ選択、オン接続、パイオニア到着。
音だけで、お姉さんのプレイが手に取るようにわかります。
僕の心臓はバクつき、思わず、壁に耳を押し当ててしまいました。
そうすると、隣の部屋のさまざまな音がダイレクトに耳に伝わります。
「シュポッ」ライターの音まで聞こえました。
お姉さんは、タバコを吸う人なんだな。
「プシュッ」缶飲料のフタを開ける音。ジュースかな?お酒かな?
そしてお姉さんは、カードで検索をはじめました。
誰か見つかったらしく、そこへ飛ぶ音。
そして「カタカタカタ」とキーを叩く音。
「あはは」これはお姉さんの実際の笑い声。
お姉さんは、かなり独り言が多い人でもあります。
ロビーでのチャットが15分くらい続いた後、
ラグオルへ降りていきました。
転送音、そしてシティの音楽。
小チャットの後、いよいよ冒険へ。
転送音、ん、これは、森の音楽だ。お姉さん一行は森探索に向かったようです。
魔法の音がやたら多いので、どうやらお姉さんはフォースのようです。
僕は勝手にフォマールの姿を想像しました。

お姉さん一行の冒険は、とてもマッタリしていました。
部屋の敵を全滅させたら小チャット、次の部屋へ、戦闘、小チャット、
そんな感じの流れです。
森2の途中、お姉さんは部屋を出ました。
どうやら、トイレへ行ったようです。トイレ落ちです!
「ジャー」水を流す音がして、お姉さんは戻ってきて、
戦線復帰しました。なんともリアルすぎるトイレ落ちの現場でした。
ボス戦に突入し、ドラゴンの音ではじめて、ULTモードだとわかりました。
ドラゴンを倒し、シティへ。
その後、チャットへ。
そして夜1時過ぎ、お姉さんはゲームを終了させました。
静粛が部屋に訪れました。

興奮の体験でした。
なんともいえない感覚でした。やばいこと、という認識は
どこかにありましたが、しかし、この禁断の蜜の味を食べずにはいられませんでした。
お姉さんはほぼ毎日、夜10時ころからPSOを遊びはじめます。
そして僕は、壁に耳を当てて、お姉さんのプレイの音を聞く夜が続きました。


僕は、ラグオルでのお姉さんのプレイを見てみたくなりました。
ようするに、お姉さんが操作するキャラに直接会いたくなったのです。
お姉さんがいつもベースにしているシップ、ブロックは
選択時の音で推測は可能でした。
まずそのブロックへ行きロビー移動、知り合いがいればチャット、
誰もいなければ検索などで移動、というのが、
お姉さんの行動パターンでした。
僕は選択音で推測したブロックへ行き、
お姉さんが来るのを待つ、という方法を取りました。
ハズレの日々が続く中、ついに、ビンゴの時がやってきました。
隣から聞こえる音とほぼマッチしたフォニュエールがそのロビーに現れたのです。
そのフォニュエールはすぐ、ロビー移動をしました。
それと同時に、隣からも転送の音が聞こえてきました。
まずまちがいなく、あのフォニュエールがお姉さんだ!
と僕は確信しました。
名前を覚え、僕もすぐロビーを移動しました。
2から順に下へ降りていくと、ハニュとふたりで話をしてる
さっきのフォニュエールを発見しました。
僕は予定していた次の行動に移ることにしました。

僕「おひさしぶりです>フォニュエ」
フォニュエ「ううん??」
僕「前に会ったんだけど、カード貰い忘れちゃって」

もちろん、嘘です。

「えー、誰だっけぇ?」

これは、隣から聞こえてきたお姉さんの独り言。
ビンゴーー!!!

フォニュエ「えっと、うっと・・・」
ハニュ「ひっでー、忘れてやんのー」
フォニュエ「あ、思い出した!」
僕「いや、1回会っただけだし、覚えてなくて当然ですよ」
フォニュエ「だよねー」
ハニュ「思い出した!っての嘘?」
フォニュエ「嘘でしたw」

僕は思わず吹き出しそうになりましたが、ここで笑ってお姉さんにバレでもしたら
もともこもないので、笑うのを必死にこらえました。

フォニュエ「それで、用件はなにでしょか?」
僕「あ、カード貰い忘れたので・・」
フォニュエ「オケオケ、ほい」

僕のもとに、お姉さんのカードが送られてきました。
作戦終了です。
僕は「ありがとう!それでは、用事があるのでここで・・」と言って落ちました。
もちろん、お姉さんにはカードは渡しませんでした。

お姉さんはボンボンフォニュエールでした。
話し方も含めて、ちょっと、お姉さんのイメージと違うかな。
でも、壁の向こうの綺麗なお姉さんと、PSOの中でお話している、
この体験はものすごい興奮でした。
しかも僕の手にはお姉さんのカードがある。
お姉さんの行動は、完全に僕の手中にあるのです。

しかし、次の接触の方法、機会がなかなか見つかりませんでした。
カードを貰いにいったキャラでまた会いに行くのも、
なんかストーカーっぽくて、警戒心を与えてしまうようで嫌でした。
ロビーでは友達同士、部屋はいつも鍵つき、
なかなか、自然に接触できることができませんでした。
しかしある日、お姉さんはめずらしく鍵なしの部屋に乱入しました。
お姉さんの入った部屋は、お姉さんを含めて3人。
よし!この機会を逃してはならぬ!
僕はダッシュでその部屋に乱入しました。

隣のお姉さんとの初めての冒険。
最高のひとときでした。
これは覗きの快感に近いのだと思います。
冒険の途中、「ちと買い物」と、お姉さんはシティに戻りました。
しかし隣のお姉さんは、トイレに向かいました。
トイレ落ち、って言うのは恥ずかしいのかな、
と思い、しかし、そんなかわいい嘘もわかっちゃう、
そのことにどうしようもない興奮と感動を覚えてしまうのです。

時間はあっという間に過ぎ、
お姉さんは落ちていきました。お姉さんのフォニュエールは姿を消し、
しかし隣にはお姉さんがいる。
お姉さんは歯磨きをし、部屋の電気を消し、眠りにつきました。
そう、普通なら絶対わからないはずの、冒険相手のその後の行動も
僕には手に取る様にわかるんだ。
こんな最高の環境を与えてくれた神様に感謝!
そしてPSOを作ってくれたソニックチームに感謝!

僕とお姉さんの話は、今のところここまでだけど、
これからはもう少し積極的に、PSOの中のお姉さんにアプローチしようと思う。
メールも出そうかなとも思ってます。
でも、リアルの、隣のお姉さんとの距離は、このままでいたい。
他人のフリで、ずっと観察し続けたいです。
でも、この書き込みを見られちゃったらどうしよう。
ま、その時は、その時だな。