やさしい放射線学Radiology

放射能と放射線

放射能と放射線は違います。 放射線を出すものを放射性同位元素といいます。放射性同位元素は放射線を出しながら壊れていきます。この放射線を出す能力を放射能といいます。

  分かりやすく放射性同位元素をドライアイスに置き換えて説明すると
放射能:ドライアイスから出てくる冷気
放射線:ドライアイス(二酸化炭素)
放射能の強さ:煙の出る量(昇華量)(ベクレル)
人体への影響:冷たさによる火傷
(線量当量:シーベルト)




放射線や放射性同位元素には自然のものと人工的なものがあります。このうち、日常的に私たちに最も関係が深い,自然放射線と人工放射線を別々に簡単に説明します. 自然放射線の巻・   人工放射線の巻・   電磁波の巻・   ぼくの総評  






自然放射線の巻

宇宙より

 地球には、太陽や銀河系宇宙から1次宇宙線が地球の大気中に侵入し、大気中の原子・分子と衝突して別の宇宙線をつくります.これを2次宇宙線と呼んでいます.このように,常にいろいろな放射線(宇宙線)が降り注いでいます。その大部分は高速の陽子線です.1次宇宙線は,高エネルギーの原子核、中性子、中間子、電子、ガンマ線と言った放射線(2次宇宙線)をつくりだします。地上で私たちが直接あびているのは2次宇宙線のほうです. 宇宙線は、海抜高度によって変化します。だいたい,1500m上昇するごとに約2倍になると言われています。飛行機に乗った場合も高度が高いほど宇宙線による被曝が急激に増えます。例えば、海外に行くとき 1万メートルの上空を30時間も飛ぶと地上にいる場合に比べ50マイクロシーベルト(0.05ミリシーベルト)程度は多く被曝することになります.



大地より

大地からの放射線の線源は,地球内部に含まれる放射性の核種です.それらは約45億年前につくられ,大地に含まれるウラン、トリウム、カリウム40(K)などの自然の放射性同位元素です.
日本列島の自然放射能の濃度の分布の測定結果によると、東日本の地質は新しいため西高東低になっています.全国的にみると一番多い岐阜県と一番少ない神奈川県との差は、年間0.38ミリシーベルトあります.また、中国の広東省陽江県にも自然放射能の高い所があり、年間の平均被ばく量が5.5ミリシーベルトと報告されています。日本では、年間一人当たり約1.1ミリシーベルトですからすごく多いですね.
生活環境の違いも放射線の量に大きく影響します。 コンクリートの建物は、宇宙線や大地からの放射線を遮る力は大きいのですが、コンクリートや骨材自身が天然の放射性同位元素を比較的多く含むため、木造建築より建物から発生する放射線の量は多くなります。 花崗岩の敷石の道路は、海の上に比べてガンマ線の量が多くなっています。



食物より

飲料水中に含まれる自然放射能には、ウラン、トリウムなどでこれらは非常に微量なため、人体への影響は無視できる程度のものです。 食品中の放射能には、多くの自然放射性核種があります。これらのなかで、受ける放射線量の寄与の最も高いのはカリウム40です。その他の核種はいずれも微量で、それらを全部合わせても、その寄与はカリウム40と同じ程度です。カリウムという元素は,動物・植物体の必須な構成成分となっています。カリウムの放射性同位元素であるカリウム40は、カリウムの中に0.017%の割合で混じって存在していますので、食物の中には必ず入っています。私たちが食品を摂取することによって、カリウム40も体内に取り込まれることになりますが、私たちの体内ではカリウムの濃度が一定に保たれるように生理的に調整が行われているため、仮にカリウム濃度の高い食品を沢山摂取したとしても、また摂取量を意識的に減らそうとしても、体内の調整機能によって一定の濃度に保たれています。このために、カリウム40から受ける体内の放射線量はあまり変わらないことになります。


人工放射線の巻

人工の放射性物質の利用が盛んになるに従って、人工放射線を受ける機会が多くなり,一般の人々は不安になります.人工放射線源として医療放射線、原子力関連施設から放出されるものがあります。


医療より

病気の診断や治療の目的で、放射線を照射したりあるいは放射性医薬品の利用によって,人が放射線被曝を受けることを医療被曝といいます。医療被曝は、放射線によるリスクを受けることにより利益を受ける場合に限り適用されるのが普通です.以下が一般的なものです.
一般X線診断: 人体の各臓器や筋肉、骨や歯にたいするエックス線の透過率の違いを利用して体内の写真を取り、治療に役立てるものです.
X線CT検査: X線をあらゆる角度から照射し、透過率の違いをコンピュータで解析して、目的の臓器などを輪切りして撮影する.
核医学診断: 放射性医薬品を患者に投与し、体内の放射性核種分布を画像にして診断する.
歯科X線診断: 歯及び口腔全体の診断情報を得るためのエックス線撮影による診断する.
密封小線源治療: コバルト60からのガンマ線をつかったガン治療.
同じ画像ですが超音波画像診断は超音波,MRIは磁石の力を利用していますので放射線とは異なります.この二つの検査は無害である特徴がある. 放射線とは,違った特徴の物を映し出すため効率よく使いよりよい診断を行う必要がある.


原子力施設より

原子力発電は235U(ウラン235)を主な燃料として、その燃料を核分裂させてそこから発生する熱エネルギーを利用して蒸気を発生させてタービンを回す事によって発電する発電方法です。 原子炉で発生した蒸気は、タービン発電機を回した後、再 び原子炉に戻されます。原子炉の水には微量の放射性物質が含まれますので、 再利用する水はフィルターとイオン交換樹脂で浄化します。原子炉室の床を洗浄した水などは、蒸発させ、蒸発した残 りや、フイルターなどは固体廃棄物として保管管理されます。この他に、発電 所から放出される雑用水、洗濯水がありますが、これらもフイルター、イオン交換樹脂などで浄化し、放射能を測定して、放射能が十分に低いことを確認し てから海に放出しています。 このように気体・液体廃棄物は、含まれる放射能のレベルが安全性を十分確保 できるように設定された基準値以下で環境へ放出されます.もちろん,これに よる周辺住民の被ばく線量が計算されますが著しく低いものです.



電磁波の巻

電磁波というと難しいようですが、紫外線や赤外線、可視光、電子レンジに使われている極超短波などすべて電磁波の仲間です。 また、レントゲン撮影に使われるエックス線も電磁波です。エックス線はガンマ線より一足先に発見された放射線でエネルギーの大きさも同じ程度なのですが、原子核からではなく、原子核の外の軌道電子から放出されるので違う名前で呼ばれています。 電磁波には波のような性質があり空間を振動しながら伝わっていきます。1秒間に振動する回数を振動数、一回振動する間に進む距離を波長と言います。

発熱効果
電磁波が生体に入ると分子を振動させたりして熱を発生させるものです。又人体が変動磁場にいると、体内に電流が発生し、それが熱をつくり出し人体に悪影響をもたらします。

非熱効果
電磁波が体内に入ると熱が発生するだけでなく、細胞の間で電子の移動が起き、生体電気反応が乱されるという影響が起きます。これら発熱効果と非熱効果は同時に起きます。

高圧線や一般の家電製品から出る極低周波の電磁波に人の末梢血リンパ球をさらしたところ、癌などの腫瘍細胞に対する攻撃機能を強める性質を持つ蛋白質「TNF−α」の生産量が落ち込み、免疫機能がかなり低下する
と言う記事が新聞に掲載された.
しかし,現在の我々の生活を見ると衣(アイロン・洗濯機など)食(電子レンジ・ホットプレートなど)住(パソコン・携帯電話・コードレステレホン・テレビ)など欠かせない物が多く見られます.
電磁波症候群と疲労からくる症状が類似しているので、はっきりとはまだいえないのですが、電磁波によるなんらかの関連は有りそうです。身の回り何から何まで電磁波を発生する機器ばかりですが、なるべく本当に必要なもの以外は使用しないようにしていくしか今のところ方法はないようです。 現在,研究は進んでいますが,これらの電子機器からの「電磁波が人体に及ぼす影響」について絶対大丈夫との結論がでていないのが現状である。
また,近年報告のある症例が疲労からくるものと類似していることから,ハッキリと区別できず,そのような情報により,電磁波恐怖症候群にかかったような気になってしまっている人が居るのも現状です.
それに対し,電波を発射している設備(放送局、アマチュア無線局、中継局、携帯電話中継局など)から放射される電磁波が健康に与える影響はないのだろうかと思われる方が多いですが、ほとんどの場合人体の健康に影響を与えることはないと判断している。 それは、電磁波の発生源と人間が生活している場所に距離が大変あります。つまり電磁波のエネルギーが人が生活して居る位置では相当弱くなっていることになります.この根拠は,距離の逆二乗則と言い,距離を100cm離すと1cmの時の10000分の1になるのです.そのため人体への影響は全く無視できる範囲になると思われる。 今のところは,手立てはないのでゴム性のもので防護し,できるだけ不用なものは使わないことです.また,できるだけ距離をとることが大切です.



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