同室にOさんという婆さんがいた。
この方、昔、M医師のオペを受けたことがあり、またM医師を追いかけてやって来た、という因縁(怨念)の持ち主。
Oさんは一人暮らしで、某有名宗教団体の信者であった。
困ったのは朝の5時から経を唱えることである。静かに声を出さず、ということができないらしく、クレームがでてようやく静まった、というかんじ。
この婆さん、とにかく不潔であった。婆さんなんてこんなもの、というレベルじゃない。
ある日、病室の床にあきらかにウンコを車椅子で轢いた跡があり凍りついた。
跡を辿るとそれは間違いなくOさんの車椅子へと続いていた。
同室のHさんはとても小奇麗な若奥様。
彼女の隣がOさんのベットということもあり、いつも気分を害している様子であった。
ある夜、いきなりベット横のライトが点灯し驚いた。(私は夜更かししてたけど)
Hさんも、その夜はついに堪忍袋の緒がきれたらしく声を発した。
「Oさん、何かしてるんですか?看護婦さん呼びましょうか?」
「いえいえ、ごめんなさいね。ふふふ」
そこでパチッとライトは消えたがしばらくガサゴソと物音は続いた。
翌朝、Hさんが誰も居なくなった病室で私に言った。
「夕べね、Oさん、おもらししちゃったんだって」
Oさんは尿意をもよおし目が覚めたが車椅子に乗るのに手間取ってしまい失禁してしまったとか。
Hさん、知らずにあんなこと言っちゃったからなあ、と私は思っていた。が、
「もう、あの車椅子、近寄れない」
確かに車椅子は大洪水だったことでしょう。
しかし、私の予想を大きく裏切った奥様のお答えには笑うことしかできなかったが。
Oさんはそういうこともあって(どういうことなんだか)キャラも無頓着。
何事もマイペースな方だった。
病室内でのテレビ鑑賞、イヤホンしてるくせに独り言で解説、そして人目を気にせず大爆笑してしまう方であった。
私とKちゃんはそんなOさんをからかうのが日課になっていた。
毎朝、朝食をとりながら「ズームイン朝」をみるのがOさんの日課だった。
私とKちゃんは替わるがわる、Oさんのテレビに向けてリモコンを発信、チャンネルを変えるのである。(なぜか各テレビ同じリモコンで操作可能)
「あらっ、私、今ズームイン見てたのにっ!!」
と何度も不思議そうにチャンネルを元に戻すのだが、毎朝こんなことを5、6回は繰り返していた。いい加減飽きて来た頃、テレビ壊れてる、とOさんがナースにちくったのであっさりとこのゲームは終わったのだが。
ごめんなさい、Oさん。でももっとイタズラしたかった(本音)
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