主

どこの病室にも必ずと言っていいほど「主」なる存在のオバさんがいた。
主の条件としては滞在日数の長さ、ガタイのでかさ、そして気の強さ。
私も数回の病室移動のなか、そういった主に遭遇した。
中にはキップの良いオバさんもいたが、心底そこ意地の悪い奴もいた。
311号室の主、Hさんは足首を骨折、リハビリも兼ねての入院とか。
311号室が居心地いいのか部屋の移動を頼まれても「嫌っ」の一点張りで聞く耳持たず。看護婦、介助さんたちの舌打ちが廊下に響く。
何かとお節介、そしておしゃべりなため日々ストレスが溜まっていく。
婦長に部屋移動を要請したが、Hさんはまもなく金抜きオペだから、そのタイミングで有無を言わさず強制的に移動させる、という。
その移動先の病室というのが3階病棟ナンバーワンの主がおあせられる部屋。
婦長ったら、もう(喜)
まさに病棟はサル山のごとし無法地帯と言えるだろう。
特に女部屋は大変である。
後々、こういった闘争に参る私を見かねて唯一平和な310号室への移動という恩赦があり、ようやく治療に専念できたという。
まあ、見ず知らずの人間同士が同じ部屋で寝食を共にするのだから仕方ない、とはいえ、ある程度の謙虚さがないまま入院しちゃうオバさん、というのは困ったものである。

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