イリザーノフを装着してから10日目、これから日々のお勤めが始まる。
それはイリザーノフのボルトを朝夕2回レンチで回すのである。
これによって1日1mmづつ、延長の場合は骨の間隔が開き、矯正の場合は角度が正常に近づく、という仕組みである。
病院、とは思えないほど大工的な作業であった。(レンチはハンズで買ったらしい)
しかし、人体の神秘かな。こんな鉄屑が足に仕込まれようがワイヤーが飛びだそうが歩けるのである。
最初のオペの後、初めて自分の足を見た時は卒倒しそうになった。
ベタな香港B級スプラッタ映画よりも迫力がある。(だってホンモノだし)
しかし日々のお勤めでボルトを回す度に筋肉と皮膚の引き伸ばされる痛み、というやつに泣く日々が続いた。痛み止めのボルタレンはいつも私の常備薬となり、尻に挿入することなんて朝飯前であった。
さて、そうこうするうちに社会復帰する時期となってしまった。
ある程度、ボルトも回し終わったし、あとは骨が出来上がるのを待つばかり。
M医師いわくイリザーノフで日常生活なんてへっちゃら、らしい。
多分に彼は身体的なことしか頭になく、精神的な事に関しては一切頭がまわらない、虫並みな脳の持ち主であった。
消毒薬、ガーゼ等お持ち帰りグッズをもらい、シャバに戻ることになった私。
この先一ヶ月間、「病院」という場所がいかに弱者のパラダイスだったかをシャバの冷たい風に吹かれて思い知ることになる。
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