孤島パズル  有栖川有栖  創元推理文庫


南の島に浮かぶ嘉敷島に十三人の男女が集まった。英都大学推理研の江神部長とアリス、そしてマリアも島での夏休みに期待を膨らませる。
折悪しく台風が接近し全員が大気していた夜、風雨に紛れるように事件は起こった。
滞在客の二人がライフルで撃たれ、無残にもこときれていたのだ。無線機が破壊され連絡船もあと三日間は来ない絶海の孤島で、新たな犠牲者が……。犯人はこの中に!?



<作品紹介>

1989年「このミステリーがすごい!」宝島社国内編16位 
月光ゲームに続くデビュー第二作

<あらすじ>

推理研の会員であるマリアの誘いで江神とアリスは嘉敷島にパズルを解きに出かける。彼女の祖父が時価三億にも及ぶダイヤモンドをかの島に隠したのだ。パズルに本格的に取り組む間もなく、事件は起こる。
島にあったライフルで二人が殺害されていたのだ。しかも密室で!
司会進行役になった江神をはじめ全員にアリバイがない。人間関係が少しずつ明かされていくあいだにまたしても第二の事件は起こった。
この事件が三年前の事件と関連している事を知った江神は、あのパズルを解かなければならなくなる。

<感想>
いやぁ 堪能した!
こんな事を書くとファンの方がたにお叱りを受けるかもしれないが、初期作品は面白さの度合いが違う。
どんなミステリー作家にもいえるかと思うが、やはり初期作品はいい!

トリック自体はさほど大掛かりではなく、僅かな犯人のミスを見つけて……というものだが、その遊びの多さと個性豊かな登場人物たちの個性溢れる会話がとても楽しい。
ちりばめられたいろんな色のパズルが楽しい。
表現がまずいかもしれないが「若さ溢れる」ミステリーなのだと思う。



ダリの繭  有栖川有栖  角川文庫


幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリスムの巨人・サルバドール・ダリ。宝飾デザインも手がけたこの天才の心酔者でも知られる宝石チェーン社長が神戸の別邸で殺された。
現代の繭ともいうべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであった髭がない。そして他にも多くの不可解な点が……



<感想>

読み終わってみると、たいしたトリックでもないのにどうして読まされてしまうのだろうか?けっこう長い本なのに
いや、複雑怪奇のトリックではこの読後感は得られないんだろう
シンプルで納得のトリックだったから、作品の中に挟まれる会話も状況も描写も……とにかくいろんなものが楽しめるんだろうな
そして「脱力」系のトリックでもないから、腹も立たない

正直ダリは名前を少々知っている程度
作品も「あれだな」とイメージ出来ない(それを”知らない”という)
だから、ダリの奥さんもイメージ出来ないし、その奇行もさっぱり知らない
……こういう本は読んだ後「おしい!!知っていれば!!」と思わされるんだよね……