レオナルドの沈黙  飛鳥部勝則 東京創元社




「私は遠隔の地にいたまま、目的の人物を思念によって殺してみせる」
交霊会の夜、霊媒師によって宣言された殺人予告と、その恐るべき達成。すべての家具が外に運び出された状態の家の中で首を吊って死んでいた男。密室状態の現場。踏み台にされたレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿本と鏡文字の考察
第二の不可能犯罪の勃発。そして「読者への挑戦」
本当に犯人は霊媒師なのか?違うとすれば果たして犯人は誰なのか?
≪さかさま≫尽くしの大胆不敵な事件に挑む美形の芸術家探偵・妹尾悠二の活躍





<作者紹介>

1964年新潟県生まれ
98年「殉教カテリナ車輪」で第9回鮎川哲也賞を受賞しデビュー
自ら描いた絵画を内容に取り入れる斬新な作風で話題となる

<感想>

本格を書きたい気持ちはわかる
読後感は……三津田信三?

つまり、論理に破綻はないだろうし(微妙な個所もある)、ミステリ的にはとても魅力的な謎なのに、どうにも面白くないのだ

「これは本格だぞ!」と、煽る煽る そして文中にはご丁寧に≪探偵小説作法十三箇条≫なるものまで挿入されているのだ
しかし、私は本格中の本格は方向転換せねばならない……と、思っている
美しく解決されるミステリは、それは大好き でも、そこにもう一つプラスαがなくては満足出来なくなっている

ましてや、この本、少しわらっちゃうようなトリックが使われていて脱力
雰囲気を盛り上げるはずの霊媒師は、まるで道化
その話し方も、格好も……一頁のなかに警察を愚弄する単語がいくつ使われているやら
「お前は馬鹿か?」とか「お前のボンクラ頭は……」とか、設定上警察は大嫌い、という霊媒師なんですが、これじゃまるでコミックですよ(いえ、単なる好き嫌いですが)

まあ、粗筋で紹介されていた第一の事件のほうが、おもいっきり脱力でしたが
芸術家というのは理解しがたい人種である……という事でしょう