11枚のトランプ 泡坂妻夫 創元推理文庫


奇術ショウの仕掛けから出てくるはずの女性が姿を消し、マンションの自室で撲殺死体となって発見される。しかも、死体の周囲には、奇術小説集『11枚のトランプ』で使われている小道具が、壊されて散乱していた。この本の著者鹿川は、自書を手掛かりとして真相を追うが……。
奇術師としても高名な著者が、華麗なる手さばきのトリックで観客=読者を魅了する


<作者紹介>

昭和8年東京生まれ
昭和51年「DL2号機事件」でデビュー 第2長編「乱れからくり」で第31回推理作家協会賞受賞
平成2年「蔭桔梗」で直木賞受賞 幻影城出身

<感想>

奇術とミステリーというのはとても近いものがある
TVで見る番組「トリック」も、半分以上奇術でしょ……という突っ込みはありでしょう

奇術師でもある泡坂の作品は読んでいて楽しく、トリックも華麗
一級の娯楽作品だと断言出来る
おまけに作中作の『11枚のトランプ』は、それだけでも一級品!それが推理に結びつき、少しの無駄も無いのはさすがだ

泡坂の作品は「亜愛一郎」シリーズしか読んだことがないので、少し見くびっていた

やっぱTVじゃなく、本物の奇術を見たいなあ〜




乱れからくり 泡坂妻夫 創元推理文庫


玩具会社の部長馬割朋浩は降って来た隕石に当たり命を落としてしまう。その葬儀も終わらぬうちに彼の幼児が過って睡眠薬を飲んで死亡する
さらに死神に魅入られたように馬割家の人々に連続する不可解な死
一族の秘められた謎と、ねじ屋敷と呼ばれる同家の庭に作られた巨大迷路に隠された秘密を巡って、男勝りの女流探偵と新米助手の捜査が始まる
日本推理作家協会賞受賞作


<感想>

すごいったらすごい
このこだわりとミステリとの融合

作者本人がからくりに興味があるんだろうな、奇術師だし
で、うんちくが語られるんだけど、全然退屈しないうえに「私も欲しい」なんて思ってしまうなんてさ!
すきって言うのは本当に強いよね、作家さんにとっては!

あまり深く書いてネタバレしない自信がないから書かないけど、これはオススメの一品ですよ!

↑こんなの感想でもなんでもないね……



湖底のまつり 泡坂妻夫 創元推理文庫


傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。ロープを投げてくれた埴田晃二という青年とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。
村祭りでにぎわう神社で、紀子は晃二が一月前に殺されたと知らされる。
では、昨日、晃二と名乗っていた人物は誰か? 読む者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない華麗な騙し絵の世界


<感想>

晃二が殺される<晃二の名を語る者がいる<それは誰が……とくれば、バリバリミステリを期待します
それが彼の泡坂であれば!

……冷静に考えればミステリかもしれないが、どうも違うんだな、読後感
で、ミステリでないなら満足いかないか、というえばそうでもないから、あんまり問題にしない方がよろしいか

主な登場人物が四人、それぞれに一章ずつ割り当てられている
まず、摩訶不思議な体験をした紀子
二章は前章で殺された晃二
三章は突然粧子 前二章には表立って登場しなかった人物
四章は晃二の妻・緋紗江

それぞれが主人公で語られる話には、紀子以外何の不思議もないのだが、全体を通すと納得の物語・それこそ騙し絵が完成する
「私は三章でトリックがわかった!」と叫んでも「そんなの別に隠してないし」と言われそうで、ちょと哀しい

不思議な世界を堪能しました