スラム・ダンク・マーダー・その他 平石貴樹 創元クライム・クラブ


更科ニッキ再び登場
連作ミステリーも最後まで読むと二度美味しい


<感想>

気になって仕方ないんですが、この作者って何故苗字をカタカナにするんだろう
字は体を現す……とまでは言わないけど、カタカナにどんな意味があるんだろう

誰の指紋か知ってるもん
このタイトル!受けてしまった この調子でいけばどんなミステリーにも応用可能だ(^^)

密室で殺害された被害者の側には、正体不明の指紋が床に残っていた
しかし、容疑者全員の指紋を照合しても同一のものは現れない
そこでニッキの一言「誰の指紋か知ってるもん」いい!

スラム・ダンク・マーダー
スラム・ダンクを決めた瞬間、表情をゆがめて床に落ちた選手
彼の首には毒針が刺さっていた 角度からも、犯人の居場所は限定されるが、それらしい人物は判明しない

途中、長い人物紹介やエピソードでばててしまって、肝心の伏線を読み飛ばしてしまったらしい
もちろんトリックの個所を飛ばしたりはしない私です、……が、動機がイマイチわからない
トリックは面白いと思ったんだけど、惜しいことをした

木更津のむかしは知らず
フェリーの中で殺人がおきるが、犯人としてダイイング・メッセージに書かれた男にはアリバイがあった
ニッキはこのアリバイを崩す事を依頼される

切られ与三郎ってよく知らない……お富さんもよくわからない
こんな私はダメダメ?
♪死んだハズだよお富さん〜〜〜♪の歌は知ってるんだけどな

複雑な設定で、これまた面白い
ただ、深刻な話なのになんか飄々とした印象をもつのは、作者がそう意識しているからでしょうか?
そういう作風の作者なのでしょうか?……どっちでもいいような疑問でした

エピローグ
このエピローグで前三作が結合します
……こういうきっかけで犯罪を犯す事があるのかな?
全編動機が弱いのがこの作品群の弱点なのですが(それを作者自身このエピローグに繋いでいる)、その弱点を補うはずのお話がまた動機が弱いと思うのよ
楽しかったからいいんだけど




だれもがポオを愛していた 平石貴樹 創元推理文庫


エドガー・アラン・ポオ終焉の地、米国ボルティモアの郊外で日系人兄弟の住む館が爆破され、沼中に消えた
テレビ局にかかった予告電話通り「アッシャー家の崩壊」さながらに始まった事件は、ほどなく「ベレニス」、「黒猫」の見立てに発展、捜査は混迷を呈していく
オーギュスト・デュパン直系の名探偵がクイーンばりの論理で謎を解く、オールタイムベスト級本格ミステリ


<感想>

ふざけてるぜ!と思った更科ニッキは、この名作からもう出ていたのね
いえ、その前の作品「笑ってジグソー……」にも出ていたような
ということはデビュー作の「虹のカマクーラ」からたぶん登場しているだろうね
……探偵の名がニッキなんて、なんて、なんて、……いえ、すばらしい作品だからこそ、嫌なんですよお

さて、見立ての殺人の場合「そんなばかな!」と思わせては、作者の負け!だと思っています
ある意味、トリックよりも気を使う場面かもしれません
すばらしい! 完璧!!
まず、アシヤ家の人々が「ポオが好きだから、ボルティモアに屋敷を建てる」
つまり「アッシャー家の崩壊」というキーは、アシヤ家の人々のお膳立てだという事
その後「ベレニス」「黒猫」と続く見立ては、これぞロジックの究極というにふさわしい

☆オススメ☆マークをつけなかったのは、一重に私のこだわりがあるからです
殺人をゲーム(知恵比べ?)にするニッキがきらい
かりにも人を殺す事件で「すばらしい」とか「嬉しい」とかは、例えそういう設定の主人公であっても許せないんです
あまりこだわらず、どんな作品でも読む私ですが、ここだけは譲れない

ただ、作品自体にはなんのマイナスにもなっていません
だから、そこの部分にこだわりがない方には☆オススメ☆マークです!