長い腕  川崎草志 角川文庫




ゲーム製作会社で働く汐路は、同僚がビルから転落死する瞬間を目撃する。
衝撃を受ける彼女に、故郷・早瀬で暮らす姉から電話が入る。故郷の中学生で女学生が同級生を猟銃で射殺するという事件が起きたのだ。
汐路は同僚と女学生が同一のキャラクターグッズを身に着けていたことに気付き、故郷に戻って事件の調査を始めるのだが…… 現代社会の「歪み」を書ききった衝撃のミステリ





<作者紹介>

1961年 愛媛県生まれ セガ・エンタープライゼス、バーチャルゲームセンターを経て、現在ゲーム製作会社に勤務
本作で第21回横溝正史賞ミステリ大賞を受賞しデビュー

<感想>
「現代の歪み」と過去の計算された「歪み」の融合でお話は進む
不可解な共通点(グッズ)をもつ自殺者たちに、現実のつながりがない
いったい何が共通し、またその共通点を生み出した者はいるのか?

まず、ゲーム業界の暴露話が面白い
今の世の中、どんな職場に就職しても「一生安泰」という状況にはない
で、腕一本で食べているといっても過言ではない「ゲーム業界」においては、年齢すらネックになる
普通の職場では年齢を重ねれば、経験がものを言うようになるんだけど、時代遅れになる職業ってのも哀しい
まあ、この本ではそんなこと語ってはいないけど
一ゲーマーとしてはゲーム業界の繁栄を願いたいものだ

今、こんな時代だからこそ書かれても不思議ない小説といえるだろう
これが10年も前だったら、設定そのものが拒否されている(かもしれない)
ネタバレになると困るので言えないが、なるほど「歪み」そのものといえるかもしれない

興味をそそる展開と、現代の最先端ともいえるバーチャルな世界観と横溝風のちょっとレトロな不気味さが同居していて、とても面白い
なるほど、大賞を取れる作品だ