翼ある闇メルカトル鮎最後の事件  麻耶雄嵩 講談社文庫




首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。
京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見紛うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れたとき、惨劇はすでに始まっていた。
二人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末。島田荘司・綾辻行人・法月倫太郎、三氏の圧倒的賛辞を受けた著者のデビュー作





<作者紹介>

1969年(昭和44年)生まれ
京都大学工学部電気系学科卒業。京都大学推理小説研究会の機関紙「蒼鴉城」に中篇「メサイア」を掲載。
この作品が講談社の編集者の目にとまり、あらたに長編として大幅加筆して完成したのが本作である。
麻耶雄嵩当時21歳


<あらすじ>

「私」こと香月実朝が尊敬する名探偵・木更津悠也と共に今鏡家・蒼鴉城に出向いた、まさにその時、すでに事件は起こっていた。
名探偵を雇い入れた本人・伊都(いと)が息子の有馬と共に首なし死体となって発見され、警察が出向いて来ていたのだ。
新たな犯罪を予見する木更津の直感は正しく、翌日伊都の弟・畝傍(うねび)も同じく首を切られて発見される。

何故首は切られるのか、密室はどうやって作られたのか、殺人は止まる様子もみせず、探偵はミスを繰り返し……

<感想>

いっぱい死にましたねぇ。
金田一といい勝負の名探偵登場です。でも、……その探偵、メルカトルは登場した次の日死体で発見されるんですよ!
だからデビュー作なのに「メルカトル鮎最後の事件」なのか〜。ふむふむ。

一言でいうなら「同人誌」を読んでるみたいでした。自己満足の世界というのか。
状況説明は不親切この上ない、登場人物紹介もないまま名探偵の推理が進むという最悪の展開。
ミステリマニアの遊び心満点の作品……と評価すればいいのかもしれないけど、読者にとってはもう少し何とか親切設計にして欲しかった。基本的に新本格は好きなんですよ、私。人間が描かれていないのはいいんです、楽しければ。
でも、そろそろ推理のための事件というのには飽きてきたのかもしれない。





 麻耶雄嵩 幻冬舎



弟の襾鈴の失踪と死の謎を追って、地図にない異郷の村に潜入した兄、珂允。 襲いかかる鴉の大群。四つの祭と薪能の儀式。蔵の奥の人形。錬金術。嫉妬と憎悪と偽善。五行思想。足跡なき殺人現場。連続殺人。人殺しの手に現れるという奇妙な痣。盲点を衝く大トリック。村を支配する大鏡の正体。ふたたび襲う鴉。そして、メルカトル鮎が導く、逆転と驚愕の大結末。 「’98本格ミステリ・ベスト10」第一位に輝く神話的最高傑作!




<あらすじ>

弟の死に疑問を持つ珂允は生前襾鈴が半年間滞在した異郷の地に紛れ込み、鴉の襲撃にあって危ない所を千本木の頭儀に助けられる。
なぜ村を訪れたのか、を秘密にしたまま捜査する珂允は思うように身動きがとれない。
そんな中、蔵から奇妙な声がするのに気づいた珂允は美しい等身大の人形を発見、しばらくの間その人形と共に過ごすが、ちょうど同じ時刻に珂允に辛くあたっていた大鏡の信者・翼賛会の遠臣が殺されてしまう。
村の人間は「殺人者には痣ができる」という大鏡の教えを信じているのに、あえて危険を冒すものはいないという理論のもと、珂允は危うい立場にたたされる。
一方、事件を連続殺人として捜査する人物がいた。
橘花たち子供のグループだ。橘花は野長瀬の自殺は本当は殺人ではないかと思っている村内ただ一人の人物だった。
そんな折、遠臣が明らかに殺人とわかる方法で死んだ事が、捜査を勢いづかせる。
そして、メルカトルも参加する。彼は龍樹家に滞在していると珂允に話す。
しかし再びメルカトルに会おうとした珂允は、村人が龍樹家について語るのを嫌がっている事を知る。
そして、第二の(あるいは第三、第四)殺人が……

<感想>

どうしてこんなに面白い本をきれいさっぱり忘れているのだろうか
やっぱ、おかしい……私の記憶中枢……
もう忘れないように、あらすじをちょっと長めに書いてみました

こういう時間軸が交差しているようなお話は、いったいこの人物はいつの時代の誰なんだろう……という疑問がわく。
時代をさかのぼって、人物を置き換えて考えてみると、会話が現在だし、これで破綻していないのなら、同名の登場人物がいるのか、同じ事件が過去にもおきているのか……。面白いんだけどな、きちんと理解出来れば……

一方の兄弟の確執
自分は末っ子なので「そういう事もあるかも」と思うくらいで、これが全ての兄弟に共通してたら怖いよね。
でも逆もまた真。兄を見習え……状態の弟もいる。
どっちかと言うと我が家が後者だったので、育児のときは絶対兄弟比較はやめよう!!と、固く心に誓ったものでした。
でも潜在的に「私は長男」として自分に重荷を科す長男がいるのは事実。
それってやっぱ末っ子には想像するしかない重荷なんだろうな。
申し訳ないけど、生まれる順番は自分で選べないしね。